2012年5月31日木曜日

消費税増税への採決は、混迷国会打開の最善策だ


消費税増税に向けての採決は、今混沌としている政治打開の最善策ではないか。野田・小沢会談で妥協点が見いだせず、「次にどうするのか」と聞かれた野田総理が「会談内藤をよく反芻して考える」という意味のことを囲い込み会見で言ったと思ったら、早々と採決へ向けて準備するという。

6月21日までの今国会期中での成案は、野田総理が国民に約束していたこと。総理の揺るがない姿勢を示すとともに、小沢グループを離れ、自民党に軸足を移していることになる。

大手新聞はこぞって会談物別れの結果、消費税増税に向け自民党との協調を提案し、自民党にも話し合いに応じるよう要望した。

一方、小沢元代表の「その前にやることがある」、「仕組みを変えて財源を見つける」、「マニフェストの原点に返れ」式の反対に異論を唱えた。

しかし、小沢元代表の主張は真っ当なもので、「マニフェスト違反」、「あの政権交代は何だったのか」と疑う国民も多いはずだ。そのため、選挙区での有権者の民主党政権嫌悪の反応に小沢元代表に群れる議員も多いだろう。

残念なことは、反対意見も小沢元代表が絡んでくると、「即政変」のうごきになり、せっかくの反対も歪曲化され条件闘争へと変わっていく。

一方、野田総理が期待する自民党も増税賛成の一枚岩ではない。一部の長老にひっかけ回されるとか、今の経済環境下では賛成できないと異を唱えている。

政権基盤の脆弱な野田総理が、自民党案をどの程度飲み込むことができるか、民主党案の見直しに党内がまとまるのか。

気がかりなのは、社会保障の一体改革の全体像が見えないのに消費税増税だけに力が入りすぎていることだ。先に河野元衆院議長が、細川内閣の時、政治改革のためのトップ会談が、いつの間にか小選挙区制にすり替わったことに不明を恥じていた。

今回も社会保障一体改革が、いつの間にか消費税増税にすり替わることにならないか。

国会は、これから各党の駆け引きで益々混沌としてくるだろう。

そのためにも、早めの採決は一つの策だ。

私も、以前「野田、輿石、小沢、谷垣、大島、石原のみなさん、メンツを捨て、政治を前に」というタイトルの記事で、「一旦採決したらどうか」と提案した。色んなしがらみをクリアーするためにも最善の方策ではないかと思ったのだ。

党議拘束などと言わず、私たちが国政を負託した国会議員が一人一人自分の判断で賛否を決める。

万一否決されれば、その時は総理は伝家の宝刀「解散権」を行使すればいい。そして総選挙で新しい議員で社会保障と税の一体改革を審議したらどうか。

当然のことながら、増税反対もあるだろう。その時は経済成長路線も真剣に検討されるだろう。

ここは採決することが最善の策とみる。

大飯原発再稼動、消費税増税採決へ:野田総理の決断で政治が動き出したか


再稼動の条件が整ってきたので自分
の責任で再稼動を判断すると発言
した野田総理
2012.5.30 テレビ朝日 報道
ステーション

突如、30日に大飯原発再稼働と消費税増税法案の今国会会期末までに採決の野田総理の決断が下り、政治が前に動き出した。大飯原発再稼働では地元の了解が取れそうなこと、消費税増税では小沢元代表との会談が不調に終わったこと、今国会会期中の成案を約束していたこともあって、採決に舵切りをしたのだろう。

大飯原発では、再稼働に向けた判断基準、安全基準の是非、規制庁ができていないこと、福島第一原発の事故調の調査結果が出ていないことなどから周辺自治体、住民が再稼働に不安を訴えていた。

しかし、夏の電力需要から計画停電が現実味を帯びてくると回避したい政府が再稼働の判断をしているらしいことを事前に関西広域連合が察知し、「再稼働なら限定的」に行ってほしいと要望した。

関係自治体の理解が得られつつあると判断した総理は、安全が確保された原発は再稼働する必要があるとし、総理大臣である自分の責任で判断を行いたいと表明した。

再稼働にあたっての判断が適正なものであるかどうかは、原子力規制庁発足後に、大飯原発の安全性を見直すことにし、政府の安全基準は原子力規制庁ができるまでの「暫定的」なものであることを確認した。

当然の措置であると思うが、その原子力規制庁の構想も政府案と自民・公明案ではかなり性格が違っている。早急に妥協点が見いだせるのか。

消費税増税の法案を会期末までに
採決するように執行部に支持したと言う
2012.5.30 テレビ朝日報道
ステーション
消費税増税に向けては、今日の野田・小沢会談はターニングポイントになったようだ。小沢元代表は「その前にやることがあるだろう」と主張するのは当然のことだが、野田総理も「そこはしっかりやります」と答えたようだが、同時に一体的、包括的にやって行かなければならず、法案を提出した以上は、取り下げることはできないとの考えを示したようだ。

野田総理は会談後の取り囲み会見で、「今までのことをよく反芻し、考える」とコメントしていたようだが、結局は採決に向け舵を切ったことになる。

今後は自民党との話し合いになるが、自民党だって全員が賛成ではないはずだ。小沢グループを切って、算術的にあうのだろうか。国会は厳しい局面になってきた。






















2012年5月30日水曜日

野田・小沢会談:小沢元代表が増税反対、「大方の国民も同じ考えでは」と言う


会談後の囲み会見に応じる小沢元代表
2012.5.30 テレビ朝日 スクランブル

会談前の野田総理の「乾坤一徹」、小沢元代表の「反対の考えは変わらず平行線」から推し量ると「妥協点は無し」と思っていた野田・小沢会談が1時間半で終了した。小沢元代表の会談後の取り囲み会見で、小沢元代表は従来からの考えを述べ、国民の声を代弁したようだ。

輿石幹事長も会見後の記者会見で、話し合いは平行線ではなく、「仕組みを変える」「国民の生活第一」「政治主導」では2人の思いは同じで、党内不一致ではなく一致、結束して大きな課題に答える必要があるとコメントした。2回目以降の話し合いは必要があればの話で、必要がなければやらないということらしい。

1.5時間という長い時間での話で、後はざっくばらんな話と小沢元代表は表現したが、意外にここに重要は話が出たのかもしれない。小沢元代表の真剣な顔を見るとそう想像できる。

小沢さんが、国民の声を代弁して主要点を3つ挙げた。

一つは、国民に大きな負担を強いる前にやることがある。増税はそれをやってからの話ではないか。政権交代し、仕組みを中央集権から地方分権に変え、大改革で矛盾、無駄を省く。その財源で当面はやっていけるのではないか。

二つ目は、社会保障一体改革も、今まで行って来たビジョンがどこかに行ってわからなくなり、増税だけがクローズアップされている。

三つ目は、日本経済はデフレから脱却できず、再建も途上で不安定な状況は深刻になり世界不況に震災復興も加わり、大増税は看過できない。

大方の国民も同じ思いで、13兆円に近い増税に賛成か反対かと言われれば反対だと主張したという。

「増税の前にやることをきちんとやる」、これが民主党政権だと言い、野田総理の「財政事情、少子高齢化、福祉を考えた時に消費税増税は待ったなしなので協力してほしい」との要望にNOと応えたようだ。

これで、野田総理は自民党に軸足を移しつつあると政治評論家は解説するが、「小沢切り」で採決の算術が合うのか。


実際に採決になると、小沢グループに処分覚悟で反対する議員が何人いるのか。たとえ反対を掲げて離党、新党結成しても、総選挙で何人が当選してこれるか。


野田総理は、仮定の問題には答えないという姿勢をとっているが、万一のことを考えた対応がしっかり出来ているのか。他人任せでなく国民に理解を得る説明をすべきである。

2012年5月29日火曜日

原子力規制庁審議:既得権益を守る民主党案、改革を打ち出す自民・公明党案


原子力規制庁案は既得権益を守った民主案か、改革を打ち出した自民・公明案か。原発再稼働、エネルギー比率として原子力をどの程度と見るか、原発の廃炉など原子力規制が重要な政治課題となっている今、やっと原子力規制庁設置案の国会審議が始まった。

原子力規制庁を環境省の下にどう置くか、原子力委員の人事権を誰が持つか、職員が出身省に帰れるかどうかなど民主党案と自民・公明党案では基本的に大きく違いがみられる。

民主党案は、批判の大きい原子力村などの既得権益を守ると見られ原子力委員の人事権は環境大臣が持ち、職員は出身省に帰れる案になっているが、一方で自民・公明党案は原子力委員を国会承認人事とし、原子力委員会の下に原子力規制庁を置き、職員は出身省に帰れないようになる案だ。

どう考えても自民・公明党案の方がよさそうで、何故民主党はこんな案を出してきたのか。最大の支持母体である連合、官公労の意向を反映させたのか。

それと原発再稼働が緊急の政治課題に上って来たための付け焼き刃的な案なのだろうか。

3.11の大参事の原因究明が、今、国会事故調で関係者の招致喚問が行われ、6月に報告書がまとまると言われているのだ。常識で考えれば再稼働のタイミングを遅らせてでも、反省に立った原子力の安全確保のための規制庁の構想を練ってほしい。

それとも報告書の後では、既得権益を守った原子力規制庁の設置ができないので焦ったのか。

エネルギー政策として原子力をどう考えるかは消費税増税より重要な案件だと思うのだが。

福島第一原発事故調・菅前総理招致:では、逆の展開だったらうまく行ったのか


事故調査委員会で弁明する菅前総理
2012.5.28 NHKニュース

福島第一原発の事故調査委員会の参考人招致が枝野官房長官(当時)、菅前首相と続き、当時新聞などで政府批判の記事が目立ったが、その真相はどうだったのか。国のトップとして当時どう考え、行動したのか、政治責任が検証できるチャンスだった。

情報が思うように入ってこない状況下で判断を下さなければならない菅前総理にとっては、相当のプレッシャーがかかったはずだ。イラ菅の異名を持つ菅前総理があたりチラシ、周囲に喚いたことは容易に想像できる。

事故発生翌日には、官房長官の中止アドバイスにも拘わらず、早々と現地視察に飛び立った。事故対応に最終的責任を持つ菅前総理にとって現地の様子を確認することは絶対に必要だったのだ。この気持ちはよくわかる。そのためにベントなどの緊急対応が遅れたとの批判もあるが、その点がどうなったのかはきちんと検証すべきである。

よく比較されるのに、阪神大震災の時の村山元首相の行動だ。村山さんは「責任は俺がとるから、存分にやってくれ」と担当大臣に指示した。新聞は「本来こうあるべきだ」と菅前総理を批判していた。

また、危機管理として情報を官邸に集約することに手間取ったのはなぜか。東電の「福島第一原発からの撤退」連絡に、菅前総理は敢然と拒否し、東電本社に乗り込んで確認した。そして東電に「事故対策統合本部」を設置した。

撤退について東電は否定しているが、あの東電のことだ。従業員の安全を考えて決めたことは容易に想像できる。周辺住民のことなど二の次なのだ。

でも、この菅前総理の指示・決断は被害の拡大を回避した重要な決断だったのだ。

原子力災害対策特別措置法にも不備があると菅前総理は指摘した。緊急事態宣言が遅れたこと、海江田経済産業相(当時)が本部設置を進言したが、菅前総理から法的根拠などを聞かれ、説得するのに時間がかかったいう。官僚が法的根拠を求めた法律集をあさっていたのか。

毎年訓練をやっているのだから知っているはずだと危機管理の専門家は指摘していたが、その訓練は、関係者の知識の範囲内のストーリーに沿ったもので、多忙な総理が覚えているはずがない。

そのために危機管理担当の人間がいるはずだが、何故か目立つ存在ではなかった。

原子力安全委員会、経済産業省安全・保安院の存在も薄かった。こんな甚大な災害の経験はないのだから、対処のマニュアルもなく、右往左往していたのではないか。菅前総理があちこちから専門家を内閣参与に連れてきたのも、わからないことではない。

特に注意が必要なのは情報公開だが、政府としてはどこまで情報を流すかに腐心したはずだ。思うように情報が集約できない、東電は当然重要な情報は隠すだろう。そして何よりも未曾有の事故だ。次々に発生する事象に的確に対応できる能力など持っていない。

メルトダウンも早い時期に想定され、安全・保安院のスポークスマン、NHKの解説員が言及していたが、いつの間にかテレビ画面から姿を消した。政府や東電からの圧力があったことは容易に想像がつく。

枝野前官房長官が、「「調整と情報発信」を一人でやるのはしんどかった」と述懐していたが当然だろう。政府の役割分担がしっかりしていない。菅前総理や枝野前官房長官が前面に出過ぎていなかったのか。パフォーマンスのチャンスではなかったのだ。

今回の事故対応での国民の目は厳しい。政府が批判されるのは仕方ないことだ。

しかし、今まで挙げられていた不手際と思われている問題が、逆だったらうまくいっていたか。

「緊急事態宣言が早かったら」、菅前総理が「東電の撤退を受け入れていたら」、「翌日の現地視察をしなかったら」、「ベントが早く出来たのか」、「海水注水を中止しなかったら(実際には継続していた)」、「東電に本部を置かなかったら」、「スピーデイーの予測結果を流していたら」、「避難区域をスピーデイーの拡散結果に従って指定していたら」、「メルトダウンを隠していなかったら」、そして「当時の総理が菅総理でなかったら」など。

菅前総理の批判ばかりでなく、もし逆だったらうまくいっていたのか。しっかり検証することだ。

そしてそれでもうまくいかなかったと思われるときは、そこに原因があるのだ。

2012年5月28日月曜日

タバコのポイ捨て:何故、雨水溝のフタの開口部か




私の住んでいる東京都大田区久が原はたばこの吸い殻のポイ捨てが目立つが、何故か道路の雨水溝の合流マスやフタの開口部への投げ込みが多い。大田区には「清潔できれいな街づくり条例」があり、道路のところどころにはポイ捨て禁止の表示、マンションの生垣にもポイ捨て禁止の表示板が差し込んである。

家の周りは家人が、商店の周りは店の従業員が毎朝掃除すればいいと思うのだがそうもいかないのだろう。空き倉庫のまわり、駐車場の周りは掃除をする人がいないので目立つ場所だ。

雨水溝の中に30本ほどの吸殻が
投げ込まれている
でも一番ポイ捨ての多い個所は、雨水溝のフタの開口部だ。降雨で流されやすい場所は吸殻が溜まらないが、雨水の量の少ない場所では相当数の吸い殻が溜まっている。掃除のしようがない(勿論フタを挙げて掃除すればできるが)。

だったらフタの開口部をなくせばいいと思うが、そうすると道路の表面を流れる雨水を雨水溝に流れ落とすことができない。

開口部のあるフタにポイ捨て禁止の表示を付けることも考えられるがカネがかかる。


最近は自宅の周辺の縁石に「たばこの吸い殻を投げないで」の表示をする家もある。

愛煙家のマナーの悪さが、きれいな街づくりの障害になっている。


写真はいずれも大田区久が原ライラック通りで
   

2012年5月27日日曜日

福島第一原発4号機:これでも安全と言えるのか


1535本の核燃料棒が保管されている
プールの映像
2012.5.27 TBS サンデー・モーニング

使用済み核燃料の撤去のための作業が続く福島第一原発4号機の無残な現場映像みて、驚くとともに、今のところこれで安全なのかと不安がよぎる。実際には建屋でもない、装置でもない状況だ。現場視察した細野原発相も「楽観的にならず、厳しく安全性を確認することが必要だ」とコメントしたことが新聞で報道されていたが、誰が楽観的になっているのか。

震災後、海外の専門家からは使用済み核燃料棒がプールに保管されていることから、アウターライズ地震による再度の津波による災害の危険が指摘されていた。そして24日未明には余震ではないが、男青森県東方沖地震が発生し、青森県東北町では震度5強の揺れが観測された。

26日の報道陣公開を報じる
読売新聞 2012.5.27
現場では、1535本の核燃料棒の撤去を目指した作業と安全対策が進められ、プール底部の耐震補強工事も見学できたようだ。

水素爆発で建屋が傾いているのではないかという専門家の指摘で、プールの水平をチェックしたが、その心配はなかったという。

その使用済み核燃料プールは白いシートで覆われ、水は濁って中は確認できなかったらしい。

そんな危険な現場で作業するエンジニアリング会社の社長が、先日テレビの情報番組で危険性を指摘していた。具体的に指摘された危険を覚えていないが、被爆のことを考えると作業員も底をつくらしい。  

今回の福島第一原発事故で関西まで放射能汚染が及んでいる。地震そのもので被害が出たのか、津波による総電源喪失で冷却が不能になり発生したのか、定かではないが「あの時津波対策をやっていれば」という後悔が東電にあるのか。

事故調の喚問に、実力者の勝俣会長は責任逃れの発言をしていることを考えると何とも思っていないのかもしれない。そんな人間が原子力村を形成に、原子力事業を牛耳っていたかと考えるとゾッとする。

私が大学生のころは、原子力発電は巨大技術では一番安全だと言われていた。それも「事故が起きるまでは」という条件が付いていたのだ。
今後、安全対策を取りながら廃炉に向かって作業が進むのだろうが、その費用は天井知らずで、安全を怠ったツケはあまりにも大きすぎないか。

2012年5月26日土曜日

野田、輿石、小沢、谷垣、大島、石原の皆さん、メンツを捨て政治を前に


野田総理、輿石幹事長、小沢元代表、谷垣総裁、大島副総裁、石原幹事長、ここはメンツを捨て、政治を前に進ませないか。一体何に拘っているのか。こだわることが国民のためになることなのか。「話し合い解散」は緊張感を欠くなれ合い政治ではないのか。小沢切りをやらなければ新しい政治をつくれないのか。そして民主党内融和を優先する価値がどこにあるのか。

大きな争点の一つは、民主党の「マニフェスト違反」の追求だ。2009年の衆院選マニフェストで選挙戦を戦い、民主党が大躍進し自民党は大惨敗した。実際に政権に就くと財源不足などで実施に支障きたす結果になり、見直し、廃止の繰り返しで支持根拠が疑わしくなってきた。

そこで自民党は、謝罪と国民に信を問へと早期解散を要求している。最近になって国会審議で野田総理が謝罪する機会が多くなってきた。でも自民党は許さない。自民党を大惨敗させたマニフェストへの恨み辛みがあるのだろうが負けたことにちがいはない。何時まで根に持っているのかと言いたい気分だ。

民主党は「反自民」、自民党は「反民主」の政策を打ち出しこだわるようでは政治は前に進まない。ここはメンツを捨て、妥協点を見出すために努力すべきだ。

社会保障と税の一体改革関連法案の内容をよく詰め、相違点も明確にして、与野党ともに賛成、反対がどのくらいになるか定かではないが、今国会会期中に一旦採決をするべきではないか。

賛成多数で成案になればいいが、万一反対多数で成案出来なかった場合は、野田総理は解散・総選挙に打って出ればいい。

そして、2014年の実施前にもう一度経済条項をチェックし、実施に踏み切るかどうかを審議したらどうか。この時の政権は解散・総選挙後に成立する政権で、野田政権であってほしくない。

9月に民主党代表選、自民党総裁選がある。もし成案出来ても野田総理の芽はないだろう。国民の信を問うことなく総理のたらい回しはやってはいけない。谷垣総裁も「話し合い解散」でなければ総裁の再選はないと噂されているが、他に適任者がいるのか。野田vs谷垣は「引き分け」というところだろう。
小沢元代表グループは、小沢さんを代表に担ぐにしても国民からどう評価されているかだ。離党、新党結成で国民に信を問うたらどうか。支持が大きければ第一線で頑張ればいいが、支持されなかったら第一線から引くべきだ。政局のたびに親小沢vs反小沢ではあまりにも情けない。

民主党も多数党の寄合世帯では政策の真意がはっきりしない。旧社会党、旧民社党、旧自民党系と分裂再編成した方がいいのではないか。

二大政党制は、もっと政策の違いが判る政治体制であってほしい。

メンツを立てることは大事なことだが、今の民主党、自民党にメンツを立てるほどの価値はない。



2012年5月25日金曜日

格付け会社(フィッチ)の政治への口出しは是か非か


フィッチの日本国債の格下げ
2012.5.23 読売新聞

一体改革で政治が混乱している時に、またまた格付け会社フィッチが日本国債の格下げを発表し、財政再建への取り組みが切迫感に欠けると指摘した。まだ結果が出ていないのに一国の政治に口出しするその是非が問われないか。

消費税率を引き上げることが前提での格下げで、今国会で法案の成立がなかったら、更に格下げするというのだ。だから今回の引き下げは、一体改革の国会審議のモタモタに懸念をしめしているのだ。

でも不思議なことは、フランス大統領選で財政再建,緊縮派のサルコジ氏が、反緊縮で成長路線支持派のオランド氏に敗れたことはフランスが財政再建の路線変更を選んだことになるが何故格下げにならなかったのか。

フランスの2012年の政府債務の対GDP比は、102.4%、フィッチの長期国債格付けを見るとAAAの米国103.6、英国97.2、ドイツ87.3だから特に問題はない都みているのか。

いろいろ考え方はあるが、日本の政府債務の対GDP比は断トツに高い219.1%だ(財務省 債務残高の国際比較より)。

我が国は財政健全化の方針に異論はない。ただ増税しててっとり早く税収増を図る方法と今のデフレ下では増税は税収減になるから成長路線をとるべきだと分かれている。

増税しても税収減では逆効果だし、成長路線には財政出動が必要で、一時は赤字財政を続けることになる。

どちらにせよ財政再建の道は険しいが、フィッチは消費税増税を最優先事項と考えているようだが、増税で税収減になる可能性をどう考えているのか。

フィッチが格下げしたのが22日、2324日の株価、円相場を見たが24日の株価が17269銭安で大きく下落しているがフィッチのためではなく、日銀が金融政策決定会合で追加緩和を見送ったため機関投資家が売りを進めたようだ。

日本国債の格下げを伝えるフィッチ
2012.5.22 フィッチHPより
フィッチの格下げ決定が、消費税増税派の野田政権を勢いづかせるという見方もできるだろうが、野田政権の稚拙な政権運営による政治機能不全を警告しているのではないか。

数土・NHK経営委員長辞任ドタバタ劇:それまでの人間だったのだ


数土・NHK経営委員長の辞任ドタバタ劇はやっぱりそれまでの人間だったのかと思わざるを得ない。公的仕事に就く人間には高度の倫理観、常識が必要であるが、残念ながら能力を持ち合わせていなかった。

何故、公共放送のNHKのトップである経営委員長の役職にありながら東電の社外重役の話に乗ってしまったのか。そんなに役職がほしかったのか。NHKでは満足できなかったのか。それとも「お前しかいない」と説得されたのか。

批判続出(?)で、本人も政府も「法的には問題ない」と抗弁するが、そうではないだろう。

問題は、「立場上引き受けできない」という倫理観の問題ではないかと思うが、当初甘く見ていたのではないか。問題の指摘の大きさに驚き急遽経営委員長を辞任することを決めたのだろう。

辞任の理由にNHKの仕事は誰でもできるが、東電が新しいスタートに躓くなら日本国民が悲惨な状況になることを考え、東電の社外重役の方が重要だと判断したと思うが、NHK には視聴者からのメール、NHK内の批判などを考えNHKにいや気がさしたのではないか。

本来なら、NHK経営委員長の任期も残しているのだから、東電の社外重役の話を断るのが筋である。

今回の人事騒動は政府も反省すべきであるが、所詮はこの程度の人間を国会同意人事につけていたことだ。

公的職に就こうとする人間はしっかりした倫理観を持つべきである。

「決断する政治」に必要なのは、野田総理の決断力


政治が前へ進まないと嘆き、決断する政治の必要性を強調する野田総理は何も決まらない停滞する政治に決別する決意を示しているように思うが、結局のところは自らの決断力の欠如、決断の先延ばしが原因であることがわかっているのか。

国会審議やメデイアの報道を見ると、野党に向かって「話し合いの土俵に上れ」、「譲れるところは譲るから妥協せよ」と言っているように思える。

消費税増税反対の最大グループを率いる小沢元代表と打開に向けて話し合う予定だというが、お互いに「反対」、「党議で決まったことだから賛成してくれ」では平行線で何も前に進まないのではないか。

そもそも、こんな状況になったのは、政権交代をめざし「自民党政権とは違うんだ」と改革を訴え、何やら期待できそうな感じを有権者に持たせたのは良いとしても、民主党政権が消費税増税のようにマニフェストに反する政策を打ち出したり、相次ぐ見直しを国民の信を問うことなくやっていることだ。


民主党内にも、これ以上の譲歩は支持を得られないと前原政調会長は苦言を呈する始末だ。

野党・自民党からは、話し合い協議に入る前提として、マニフェスト違反にけじめをつけ解散・総選挙、小沢元代表との決別、社会保障一体改革では自民党案の丸のみ、そして問責決議された2閣僚の交代が要求されている。

そして自民党の提案に対しては、国会特別委員会で「検証してみる」ともいう。

民主党内では政治基盤が脆弱で、党内調整に及び腰の野田総理が、党外に向かって口先だけの決意を述べているのではないのか。


更に、「法案が成立しなかったときはどうするんだ」と聞かれ、「仮定の問題には答えら得ない」という。ケース・スタデイーをやっていないなんて考えられないが、やっていないとしたら、一国のリーダーとしてはお粗末過ぎないか。

この停滞した政治を打開するのは、野田総理の決断しかない。政治を前に進めるには政策ごとに問題点、野党との不一致点に決断を下さなければならない。

日本国債の格下げを報じるフィッチ
2012.5.22 フィッチHPより
22日には、格付け会社フィッチが日本国債の格下げを決定した。財政再建に向けた取り組みに切迫感がないと言い、法案成立がない場合は、更に格下げするとも言う。

何やらまだはっきり法案の不成立決まったわけではないのに、早々と格下げで脅してくるなんて民主政治を冒涜する如何極まりない格付け会社の暴挙ではないか。結果が出てから判断されるべき問題ではないか。

それにしてもこのフィッチの決定が野田総理を後押ししているように見えなくもないが、実際は政治機能不全で野田総理の政治力に疑問を呈しているのだ。

他人任せでなく、自ら決断していくしか打開策はない。

2012年5月24日木曜日

24日未明・青森県東方沖地震M6:巨大地震の前兆か


NHK地震情報
2012.5.24

23日、今日のニュースを見て寝ようと思っていたら、地震発生のニュースが流れた。急いでNHKにチャンネルを合わすと、24002分 震源は青森県東方沖 深さ50km、M6.0、東北町で震度5強で、震源の位置が下北半島沖に印がついていた。ここは、巨大地震の発生が予想されている区域だ。その前兆かと疑った。

NHKは、これ以外は情報がないらしく、同じことを何回も繰り返していた。

そして2時間後の2時に気象庁が記者会見をするというのだ。もう寝る時間ではないか、何で2時間後だと不満に思ったが、大きな余震もなさそうで寝ることにした。これが関東近辺の地震だったら起きて、会見を聞いたかもしれない。もっとスピーデイーな会見がほしいものだ。

気象庁 地震情報
朝、一番に気象庁のHPで地震情報を見た。07分発表で震源地は青森県東方沖(北緯41.3度、東経142.1度)と発表になっていた。この近辺では21日 2146分にM3 震度1の地震が発生している。

あわせて記者会見で配布された資料「平成2452400時02分ごろの青森県東方沖地震について」開いた。それ以降の余震の発生はなかった。津波の心配はないが、揺れの強かった地域では土砂災害、家屋損壊などの危険が高まっているので、余震による揺れに注意してくださいと言う。

この資料の中で、私にとって一番役立ったのは周辺の過去の地震活動 震央分布図だ。

今まで、青森県沖地震、浦河沖地震、十勝沖地震、三陸沖地震、三陸はるか沖地震などいろんな呼び方での地震が発生しているが、その震源(震央)の位置関係がはっきりわからなかった。また、地震研究者の研究報告でも好き勝手な名称を使っているのではないかと疑問に思っていたのだ。

平成24年5月24日00時02分頃の青森県東方沖地震
周辺の過去の地震活動 震央分布図
しかし、今回の震央分布図で整理ができるのだ。記者会見でのコメントも理解できる。

大震災の想定余震域から560㎞離れていることから東日本大震災の余震ではない。この周辺は2003年の北海道十勝沖地震も起きるほど地震活動の活発なエリアだそうだが、大震災がこの地域の地震活動を活発化させたとは認められないともいう。

しかし、東日本大震災の広範な震源域の北と南の端には、まだ割れ残りが残っており、巨大地震が心配されているのだ。北の端がこの震源域に重なるのではないか。

今年初めに「下北沖にM9級の震源域がある」という説を北大の平川先生が発表した(朝日新聞 2012.1.26)。それによると過去の津波の堆積物を再点検した結果、陸中~下北沖にかけて次の地震の切迫性が高い可能性があるというのだ。このほかに常磐~陸中沖、襟裳岬~根室沖が挙げられている。

最近、テレビで「地震がありました」という表示が少ない気がする。安心ではなく、警戒しなければならない。

一体改革国会審議:野田総理の政権運営にこそ「違和感あり」


社会保障と税の一体改革の国会審議で野田総理の政権運営にこそ「違和感」を感じないか。野田総理は衆院・特別委員会で自民党議員の質問に、「大きな違いはない」、「違和感はない」、「よく検討させていただきたい」を連発しているが、どう考えても「大きな違いがあり」、「違和感がある」。野党の提案に「よく検討したい」と言っても、検討した結果がわからない。

今国会の特別委員会での審議を聞いていると、与野党の質問者が自説を延々と述べ、総理以下大臣の答弁はごくわずか。自民党長老の質問に至ってはお説教まがいの質問であり、これでは審議時間の短い委員会にあって、ますます質疑は不十分になる。

また、質問者はテレビ中継を意識してか、ボードで資料を示しながらの自説の開陳と質問であるが、政府側は相変わらずの官僚ペーパーに沿った答弁でデータで説明していない。

それでいて、自民党が社会保障一体改革の対案を出すというと「政策論で違いはあるとしても基本的に違和感はない」と答えてみたり、党内調整をどうするのかと聞かれ、「違いを折り合えるか、詰めさせてほしい」と言ってみたり、民主党の一体改革関連法案はこのままでは自民党は賛成できないと畳み掛けると、野田総理は「良く検証させてもらいたい」と答弁している。

消費税増税へ向け、自民党の賛成が不可欠と判断した野田総理は、何が何でも自民党にすり寄っていこうとしているのか。

一方で、党内基盤の脆弱な野田総理が自民党案に乗ればマニフェストを否定する結果になりかねないことを考え、党内での抵抗も大きくなるはずだ。

小沢元代表への説得もモタモタしている野田さんに、党内慎重派、反対派を説得できるのか。

野田総理は今国会中に採決する姿勢を崩していないが、勝算があるのか。

格付け会社のフィッチが日本国債の格下げを決めたが、その理由に消費税増税の成立が見通せないことを上げている。

この決定は野田総理に味方するものではなく、野田総理の政権運営のまずさを指摘しているのではないか。

一方で、自民党は早期解散を目指しながらも、審議拒否は国民の批判を受けると判断したのか。対案など積極的な動きを見せてきたが自民党だって一枚岩ではない。一部執行部の先走り、今の経済環境下での実施には反対論も多いはずだ。

本来は国民に一番影響の大きい社会保障と税の一体改革で民主党案、自民党案が入り乱れての混戦で、採決もさることながら内容がいったいどうなるのか。

一体改革がまとまるのか、市場が政治機能不全と判断するのか、どっちに転んでも野田総理の責任が大きすぎる。

2012年5月23日水曜日

東京スカイツリー、その明暗


向島3丁目からみた東京
スカイツリー
2012.5.23

22日、東京スカイツリーがオープンした。期待と不安の入り混じる大事業だが、その明暗も分かれそうだ。あの雨模様の中を多くの見物、観光客が集まったことは、地元墨田区ばかりでなく日本全国から期待される事業に違いはないが、ここは下町且つ近い将来発生するであろう巨大地震・東京湾北部地震の震源域に建つ634mの超高層タワーなのだ。

私も工事中に何回か見学、最近では開業1ヵ月前に見学したが、オープン翌日の23日、ウィーク・デイに様子見に訪れた。

新聞報道によると、施設全体で年間3200万人の来場を予定しているが、東京スカイツリーのために、この周辺のイメージも変わり都市開発が様変わりしそうなのだ。数校の大学のキャンパスも移転してくるらしい。

付近の商店街も観光客で売上増進を目論んでいるだろうが、それは期待できないのではないか。団体バス駐車場で係の人に「この観光バスは入ってから出るまで、どのくらいの時間ですか」と聞くと、「ここにいるバスは、だいたい2時間です」という。2時間というと商業施設ソラマチを出て廻りを見学する時間などない。そのためか、団体フロアーには記念写真撮影所がセットされている。絵で描いた東京スカイツリーを背景に記念写真を撮るのだ。

ソラマチ広場
観光バスも引っ切り無しに入ってくるのかと思ったら、駐車場の表示は空、ウィーク・デイのためだろうか10台程度だ。はとバスには「東京スカイツリーと浅草・隅田川ツアー」と表示されている。普通車の駐車場も空の表示になっていた。公共交通機関を勧められていたためか。

団体フロアーに入ると、この東京スカイツリーの足元部分の材料、技術を見ることができる。材料は高強度鋼管を使用、足元は直径2.3m、厚さ10cmになるという。これらを特殊な分枝継手でつないでいるのだ。メーカーがこのために新開発した材料だという。

外に出て、ソラマチ広場を歩くと、観光客、見学者が集まっているが混雑してはいない。数社のテレビの取材クルーがインタビュー相手を探していた。フジテレビ「知りたがり」のレポーターが年配の女性に「何時放送されるの」と聞かれていた。

634mの便乗商法もあった。「ひがしん定期預金」記念に店頭金利の6.34倍にするというのだ(531日まで 100億円で終了)。ATMの壁面が面白い。墨田区の旧町名が壁面にデザインされている。過去と現在と未来をつなぐ場所になることを想定してデザインしたという。

東京スカイツリーの足元部分 特別に開発された高強度鋼管
が使用されている
東京スカイツリーと商業施設ソラマチの年間入場者数を3200万人としているらしい。「新タワーによる地域活性化など報告書」では年間550万人(スカイツリーだけ?)、オープン当初をピークに減少するとみている。東京タワーが520万人だったが、今は50%減の270万人という。人気も長続きはしない。

観光バス駐車場 ほとんどのバスが
2時間の駐車
観光客はこれらの施設内で見学、買い物
を済ませてしまう。街に繰り出す観光客は
期待薄か
この報告書では街への来訪者を年間1260万人と見ていたが、今言われている約3200万人とどういう関係にあるのかわからないが、往々にして予測は大外れするものだ。

昨年、ある区議会議員が「地元商店街には観光客のカネは落ちない。いずれ衰退するだろう」と言っていたが、その通りかもしれない。商店主が「勝負は開業まで」とも言っていた。工事中の見学者が街に来てくれるまでが商売だというのだ。

ここは下町なのだ。向島3丁目を歩いてみたが、中小企業、古いアパートや民家が密集、東京スカイツリー施設とは別世界で静かだ。

そして忘れてはならないのは、首都圏直下地震とくに東京湾北部を震源とする巨大地震の震源域あるいはその極近に超高層タワーが存在するのだ。地盤だってそんなによくはない。日本全国で発生する地震の長周期地震動に襲われることになる。開業当日、風速15mでエレベーターが止まったというが、巨大地震での揺れは侮れない。

北十間川の水面に映った
東京スカイツリー
「けいせいばし」から
工事中はここがビューポイント
の一つだった。
水質の外観が悪い。
また粋と雅のライトアップは見事だろうが、LEDで消費電力は50%削減されているというが、問題は総電力量ではないか。相当な電力が使用されていることが想像される。

無事なオープンを迎えたが、高いところから東京を見下ろすことは東京タワーで経験している。東京スカイツリーがどう人気を維持できるか。そのうち明暗もはっきりしてくるだろう。

2012年5月22日火曜日

消費税増税:やった時のマイナス効果?、やらなかった時のマイナス効果?


消費税増税をやった時のマイナス効果、やらなかった時のマイナス効果、両者を考えた時に、どちらが悪さ加減が少ないか。21日の衆議院社会保障と税の一体改革特別委員会のNHK国会中継で、みんなの党の江田幹事長はやった時のマイナスを主張すれば、野田総理はやらなかった時のマイナス効果をバランスを取って考えなければならないと応戦した。

江田幹事長は、消費税増税を将来にわたって反対するものではないが、今の経済状況下での増税は税収減になりマイナス効果だと言い、今は成長路線に持って行くのが常道だというのだ。

雇用の創出を伴う成長戦略は、民主党でも菅政権時代に新成長戦略を提案したが、その409件の政策のうちで効果が確認できたのは36件と低い確率でなかなかうまくいかないようだ。

問題はやはり財源で、どのくらいかかるかわからないし、財源に国債を発行すれば財政をさらに圧迫する可能性もある。財政再建を謳う野田政権ではなかなか取っつきにくい政策である。

しかし、国会でも「増税一本やりではない」と成長路線の重要さも認識し、G8でも強調したところだ。

一方、野田総理はやらなかった時のマイナス効果も考えなければバランスしないという。

何故、マニフェストにも掲げなかった消費税増税に野田政権は突き進むのか。どんな大義があるのか。

恐らく財務相経験者として、我が国の政府債務は対GDP200%超で先進国一悪い状況だ。このまま財政再建の道を歩まないと、日本国債の信用下落で長期金利も上がり、世界経済に大きな影響を及ぼすことになる。我が国がギリシャになるのは避けたいのだ。

でも、対GDP200%には専門家の間でも異論がある。我が国は資産としても対GDP120%もあるんだから差し引きの対GDP80%の債務は問題ないというのだ(数値には違いもあるが)。

財務省は資産の中でも即現金にできないものもあると予防線を張るが、日本の国家財政の現状をしっかり国会で議論された形跡はない。

「何故消費税なのか」についても議論がある。公平に安定財源を確保するには消費税が適するというのだが低所得者層には不利な逆進性がある。その対策として軽減税率が上がってきたが、これを採用すると逆に減収になるというのだ。

もっと基本的なことでしっかり議論してほしいが時間がないという。

野田総理は不退転の決意と気ばっかり焦っているようだが、内容はどうでも「消費税増税」という名の法案がほしいのか。

「歩み寄り」コール連発で消費税増税審議が前に進むのか


今国会会期中に増税法案成立の
厳しさを表明する野田総理
2012.5.22 NHK国会中継より

どうしても今国会での社会保障と税の一体改革、消費税増税法案の成案に政治生命をかけるという野田総理は「胸襟を開き話し合い」、「修正に応じる」、「知恵を出し合い結論を」と譲歩も含めた歩み寄りコールを野党・自民党に送っているが、これだけで政治が前に進むのか。

自民党の話し合い協議に加わる前提条件は、2009年のマニフェストの撤回、マニフェスト違反にけじめをつける解散・総選挙、増税に反対する小沢元代表との決別が挙げられていた。

自民党は常に、「マニフェスト違反を国民に詫びろ」というのに対して、野田総理は「財源の問題、税収減などの要因もあったが、認識が甘かったことをお詫びする」と非を認めているが、自民党は一向に納得しない。結局は早期の解散・総選挙を要求しているのだ。

2009年の衆院選での自民党大敗の要因は、自民党マニフェストとは内容的にほぼ反対のマニフェストで国民の気持ちを掴まれたことだ。

子ども手当、農家の戸別保障制度、最低保障年金制度を含む社会保障制度改革、後期高齢者医療制度の廃止、増税は任期中はない、仕組みを変えることで約17兆円の無駄削減などなど。

マニフェスト実施にメンツの戦いもあった。子ども手当は財源不足で減額で始まったが、野党のバラマキ予算反対で従来の児童手当に戻す議論になったが、「子どものための手当」などマニフェストからくる名称に拘ったが、最終的に児童手当になり、野党が一本取り返した感じだ。

自民党は社会保障と税の一体改革の対案を出すからの飲めるかという。

マニフェスト撤回は勿論のこと、自民党案を飲むということは民主党の公約を破綻させることであり、民主党内にあって野田政権が持ちこたえられるのか。これ以上のマニフェストの見直し、撤回は政権交代の根拠が崩れることであり、避けなければならない事態である。

それでも、野田総理は消費税増税法案を通したい一心で自民党など野党に譲歩するつもりなのか。
社会保障の一体改革で、「基本的方向性で見解が違うとは思わない」と野田総理は歩み寄りの姿勢を示しているようだが、国会中継で見る限りあのポーカーフェイスからは真意がくみ取れない。

暗雲が掛かった民主党政権の社会保障と税の一体改革に、どう私たちの代表である国会議員が判断するのか、混とんとなればなるほど財務省が付け込むチャンスを与えるばかりだ。

それとも政治主導で一気に決着する勝算でもあるのか。

良い事より悪事を企てている時の方が脳は活性化?


人間の創意工夫が最もよく発揮されるのは、人のため世のため、良いことをする時よりも、自分の利益のために悪事を企てている時ではないか。これは相当前に出版された「詐欺とペテンの大百科(青土社出版)」の読書雑感に書かれていた書評だ。

ところが、このことが最新医療で分かってきたのだ。米国テンプル大医学部などの研究で、嘘をついている人と本当のことを言っている人の脳の活性化をMRIで断層撮影した結果、嘘をついている人の方の脳の法が活性化していたというのだ(読売新聞 電子版2004.11.30)。

今、身の回りの出来事を顧みると、頭がフル回転している時は、国民のため、世のためになるよりも、自分の利益あるいは悪事を企てたり、悪事がばれて、どう繕うか知恵を絞っている時なのではなかろうか。関係者が雁首揃えて創意工夫している姿が想像できる。

政治家に多いのは、政治資金規正法で収支報告書に虚偽記載が見つかった時、どう辻褄をあわせるか。秘書に責任を押し付けるか、「知らぬ存ぜぬ」で逃げるか。責任を認めて辞任するのは簡単だが、逃げ切るには工夫がいる。

原発再稼働での安全性の確認をどうするか。電力需要を考えると電力不足にどう対応するか。電力会社は電力需給の背後に原発再稼働を企む想定をする。

財務省をはじめ中央官僚の既得権益確保は並大抵のものではない。国民は税金の無駄使いと思っていることも彼らにとっては当然のことなのだ。究極は、国会で審議した法律でも官僚に不利益になる条文には後で文言を追加して不利益を回避する。後日、国会で追及された時、官僚は「いわゆる接続詞のようなもの」とバカ面で答えていたのはつい最近のことで覚えている。

大震災で発生した原発事故は日本全国に多大な被害を及ぼしている。放射能汚染をシミュレーションするシステムを持っていながら住民避難に役立てず、寧ろ被爆する結果になった。その時の関係者の言い分がでたらめだ。

もう忘れかけているが牛肉などの食品偽造は経営者の経験で驚く手法が使われていた。下火になったと思っていたが、まだ存在するオレオレ詐欺などの巧妙な手法にも驚かされる。

善悪は別として、政治の世界でも多いはずだ。

民主党のマニフェスト違反、メインであった「子ども手当」も野党から批判され、メンツをかけて名称を「子どものための手当」とか何とかしようとしたが、従来の「児童手当」に戻っていった。

やっと社会保障と税の一体改革が国会審議に入ってきた。野党の質問者はテレビ中継を意識してボードまで用意しての質問だが、大臣側は官僚が作成したペーパーを捲っての答弁だ。整合性するために官僚は四苦八苦しているはずだ。

一体改革も「胸襟を開いて話し合いを」とか「修正に応じる用意」とか、内容の定まらない改革のような感じがするが、野田総理は今国会期中に成案に持って行くという。

党内の反対グループの小沢元代表との会談を希望したり、自民党案にすり寄ろうとしたり一体改革案の内容よりも一体改革という法案に気持ちが走っている。

良きにつけ、悪しきにつけ野田総理以下関係者は雁首揃えて作戦を練っているのだろう。国民のためには、良い方向で創意工夫してくれていると思うのだが。

言えることは、「騙す人は騙される人より頭がよくなければならない」ということだが、国会議員や国家公務員は国民の公僕として負託に真摯に答えるべきだ。

2012年5月21日月曜日

野田総理、G8で消費税増税ダメ押し:頓挫した時の市場の動きが心配


G8から帰国後、国会特別委員会での
野田総理
石原幹事長から新成長戦略について
聞かれ、満足な答弁はしなかった
2012.5.21 NHK国会中継

野田総理がG8で消費税増税をダメ押しした。「消費税増税を是非成立させたい」と発言したそうだ。国内での勝算が不明朗なままに、国際公約すればするほど頓挫した時の市場の動きが心配になるが、寧ろ国際公約を錦の御旗に政局を動かそうとしているのか。

確かに今回のG8は、従来からの財政規律への取り組みを維持しながら、フランス、ギリシャの緊縮財政から新しい動きである成長路線への動きも考慮しなければならなくなった。そのための力説だったのかもしれない。

更に「経済成長2%」にも言及した。

折しも21日の国会の特別委員会で自民党・石原幹事長が、「成長に向けた経済成長戦略に何があるのか」と問いただした。野田総理は、2010年に財政再建と新成長戦略を訴えて、日本再生戦略を示した。復興需要で2%台に持って行く考え方に変化はないと答えているが、石原幹事長は「具体策は何も示せない」と不満を呈した。

財務省に言わせれば、我が国は先進国一の財務国、財政再建は欠かせない。万一市場が財政健全化が遠のいたと判断すれば国債の信用は下落し、世界経済は混乱を極める。野田総理が、国際舞台で消費税増税を繰り返すのは、この市場の混乱を回避したいためだろう。

しかし、国内政局で勝算があるのかは不透明である。

国会審議での野田総理の様子を見ると、自信を持っている様子のポーカーフェイスであるが、言っていることは、「与野党胸襟を開き話し合いに乗ってくれ」というだけだ。

野田総理が、国際公約を繰り返せば繰り返すほど、頓挫した時の市場の失望は大きく、寧ろ逆効果になるのではないか。

国民が危惧するような言動は控えるべきではないか。

東京は薄曇だったが金環日食を捉える


欠け始め 遮光ガラス使用

東京で173年ぶりの金環日食だが、東京の21日、午前6時ごろの天候というと東の空は曇り、ところどころ薄曇りで見ることができるチャンスはある。直視は勿論厳禁だが、日食メガネは購入していない。昔ながらのガラス板にロウソクで煤を付けたガラスを使用することにした。

孫が「じいちゃん 安全かどうかをチェックする方法があるよ」といって、テレビのリモコンを持ってきた。孫の言うとおりにやって安全は確認した。

それを使ってデジカメで金環日食を撮ることにしたが、ズームを上げていくとピントを合わすのが大変だ。ピントが合った瞬間にシャッターをおした。






雲の合間の日食を撮っていたが、7時半ごろに薄曇りになり金環日食を捉えることができた。



7時半ごろ 遮光ガラス使用せず 

2012年5月20日日曜日

消費税増税先送り、野田、谷垣立ち腐れ道で政治はどうなる


谷垣総裁が、野田・小沢会談で消費税増税法案が先送りされれば、野田総理は立ち腐れの道を選ぶことになるとけん制したと新聞が報じたが、早期の解散・総選挙を要求する自民党・谷垣総裁にとっても立ち腐れの道ではないか。

共に立ち腐れの道を辿って政治はどうなるんだ。

消費税増税に賛成と思われる自民党も一枚岩ではない。党内には慎重派もいれば、今の経済状況下では反対派を抱えていることは民主党とも同じだ。しかし、自民党が民主党政権に要求することは一貫して、けじめをつけるために早期の解散・総選挙、反対する小沢切り、自民党案の受け入れの3点だ。

今まで何度も同じことを要求しているが、一向に進展しない。それがまた「政治が前に進まない」要因にもなっている。

確かに自民党の要求は民主党政権にとっては受け入れ出来ないものばかりだ。

自民党の言う解散・総選挙は「話し合い解散」のことだろうが、民主党・輿石幹事長は党内分裂回避のために先送りを目論んでいる。到底早期の解散は無理だろう。

小沢切りは、どうなるか。小沢さんにとっては自ら勝ち取った政権の座だ。簡単に手放しはしないだろうが、民主党内での権力闘争に負ければ離党の可能性もある。

社会保障の一体改革での自民党案の受け入れは、バラマキ予算と批判されるマニフェスト項目の見直し、削除を要求されていることだから、これ以上の譲歩は野田政権にとっても命取りになりかねない。

今の民主。野田体制、自民・谷垣体制では政局が立ち往生の状態になる。

時間の問題でもあるのだが、どうせ総選挙にでもなれば、民主党政権は終わり、議席数の大幅減だ。一方自民党は第一党で復権すれど過半数は確保できない。連立か政策ごとの協定になる。

ところで、民主党は先送りすることにより、党内分裂回避しても残り時間に何をしようとしているのか。もう民主党政権の稚拙な運営に国民は飽き飽きしているのだ。しかも9月には代表戦がある。先送りともなると野田総理の後はない。万一代表交代ともなろうものなら、またまた総理のたらい回しになり世界の笑いものだ。

避けなければならない事態に直面する。

自民党だって、早期解散・総選挙がなければ野党のままで、どうなるんだ。野党に転落して以来、政治資金も厳しいらしい。先の衆院選で大量の落選者を出したが、多くの人が返り咲きを望んでいるらしい。

そんなことなど国民は知ったことではない。力のない候補者、時代の流れに合わない候補者、疑惑にまみれた候補者は捨てられていく。使い捨ての時代だ。

しかし、困るのは政治の先が読めないことだ。小手先の駆け引き、騙しあいを避け、わかりやすい政治をやってほしいものだ。

G8成長と財政の両立:本当に出来るのか、当面の妥協案か


G8の成長と財政の両立を
伝える読売新聞
2012.5.20

仏大統領選、ギリシャ議会選で反緊縮への動きが強まり、G8では財政再建(規律)に加えて成長戦略も加えざるを得なくなった。経済成長と財政再建は本当に両立できるのか、それとも危機回避のための当面の妥協案なのか。

財政再建と経済成長を両立させる考えは少数派で、政府債務問題で危機を回避するには財政再建(緊縮財政)しかないと考えられていたのではないか。ギリシャ救済のための前提条件に緊縮財政を受け入れることだった。しかし、緊縮財政は国民生活を疲弊させ、選挙で国民の不満が一挙に噴出したことに、世界の指導者は戸惑ったはずだ。

G8でも欧州危機再燃の危機回避に向けて、こういった反緊縮政策への潮流に対応する必要から急遽、成長戦略が加えられた。しかし財政支出を伴う成長戦略には異論もあり、独・メルケル首相は「財政支出を伴わない構造改革」を主張している。

いわば妥協策であって、当面これで様子見と言うことになるのか。

我が国でも、先の国会の特別委員会で野田総理は「財政とともに経済成長も考えなければならない」と答えている。フランス、ギリシャの動向を見て、そう答えたのだろう。

野田総理は、また今までの成長戦略を検証し、新たな戦略を立てなければならないともこたえていたのを覚えている。

民主党では、菅政権の時にデフレ脱却、新成長戦略を策定し、2020年までに名目成長率3%超、実質成長率2%超、2011年までに物価上昇率プラス、失業率3%台に低下を掲げて11~12年度にデフレ脱却を目指すというのだ。

だが、まだ2年しか経っていないのだけれど、その成果を見ると409件の施策のうちで成果が確認できたのは36件にとどまっているという。

問題は、新経済成長戦略への財源がどの程度かだ。

それから中期財政、消費税増税、財界から要望の強い法人税の引き下げなどが出てくるのだが、そこのところがはっきりしない。むしろ財源不足で成果がでないことも考えられる。

新成長戦略で新規雇用の創出が500万人と言われているが今の失業者が約350万人であることを考えると、途方もない数値のようにも思えるが。

経団連も法人税を引き下げて、企業活動を活発にし雇用を創出する工程を描いているが、財政の持続可能性、社会保障の信頼回復により内需拡大が前提になる。

財政と成長の両立を求めているが、本当に可能なのか。

成長戦略のために財政支出をし、成果が出れば税収増になり経済成長とともに財政再建に効果が出るが、財政支出しても成果が出なければ借金が増えるばかりだ。

エコカー、震災需要に頼らない成長路線の模索が重要になる。しっかり国会で議論してほしい。