この2009年の政権交代は、「小沢さんが高尚な(?)政治課題を掲げて始まり、小沢さんのご都合で終わる」いつもの政変のパターンになるのだろうか。だとすると期待を抱いた国民がバカだった。国会審議で「民主党政権になって何が変わったか」ときかれた野田総理は「地方交付金を増やしている。自民党政権時、毎年2500億円の社会保障費削減を辞めた」と答えた。
あの、政権交代時のマニフェストはどうなったのか。
3年前、「政権交代してみませんか」、「国民の生活が第一」のスローガンを掲げた民主党の姿に何かが変わると淡い期待を抱いたものだ。小沢さんはその時、民主党の幹事長(?)だったと思うが、最大支援組織である連合の会長と地方行脚を繰り返し支援に向けての組織固めを図っていた。
選挙のふたを開けると圧倒的多数の議席を確保、選挙制度のためとは言え、一抹の心配が頭をよぎったものだ。
政治手法も目立つ変化があった。
標榜する「官僚主導から政治主導へ」は国民の大きな支持を得たはずだが、鳩山政権早々から躓きを見せ始め、政府と党の仕事の分担は幹事長室に陳情を集中することにより、陳情と引き換えに票を確保する利権誘導をやりやすくするとともに、そのエゲツナサも目立った。これが民主政治かと思うとぞっとしたはずだ。
「政治とカネ」の問題は小沢さんばかりではなかった。鳩山さんは親から想像を絶する額の政治資金をもらいながら、「知らなかった」の一点張りで法を逃れ、小沢さんは、政治資金収支報告書の虚偽記載の疑いで強制起訴された。2人のトップの政治資金疑惑は衝撃を与えた。
そして今、一審判決で無罪を勝ち取り、資格停止処分も解除された小沢さんだったが、指定弁護人から「事実誤認」を理由に控訴され更に被告人の立場になった。
今国会で野田総理が不退転で進める消費税増税法案には、倒閣も視野に入れた反対を表明している。小沢さんは自書で消費税増税に理解を示していたが、何故か今回は強く反対だ。
「マニフェストを守れ」、「政権交代の原点に返れ」、「仕組みを変えなければ無駄の削減はできない」と、一番真っ当なことを言っているように見える。
その小沢さんをリーダーに50人、70人、否100人の国会議員が群れて増税反対を表明している。
無罪判決を受けた時点では、9月の民主党代表選に自らも立候補する意思もあったようだが、控訴されては無理ではないか。代わりに誰かを担ぐ方法もあるが、今まではそれですべて負けている。本人出馬以外は勝つ可能性はないと周りは言うらしい。
焦点になる今国会での消費税増税法案採決で、野田総理は「党で決まったことなので、最後は賛成してもらえるものと考えている」と決まり文句を言っているが、小沢さんが同調するなど考えられない。
採決で反対し、除名処分を受ける可能性もある。ところが小沢グループは「マニフェストを遵守する我々の方が本流で、出ていくのはマニフェストを見直している連中だ」と主張する。
主導権が握れなければ出ていくしかない。
どちらにせよ、民主党は分裂の危機にある。「数は力」、「政治は闘争」といって憚らない小沢さんだが、この時点で解散・総選挙は、グループ議員には不利で、どうしても避けたいのだろうと大方のメデイアは見ている。
小沢さんが関係する限り、「小沢さんで始まり、小沢さんで終わる」政変は続くのだ。
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