G8の成長と財政の両立を 伝える読売新聞 2012.5.20 |
仏大統領選、ギリシャ議会選で反緊縮への動きが強まり、G8では財政再建(規律)に加えて成長戦略も加えざるを得なくなった。経済成長と財政再建は本当に両立できるのか、それとも危機回避のための当面の妥協案なのか。
財政再建と経済成長を両立させる考えは少数派で、政府債務問題で危機を回避するには財政再建(緊縮財政)しかないと考えられていたのではないか。ギリシャ救済のための前提条件に緊縮財政を受け入れることだった。しかし、緊縮財政は国民生活を疲弊させ、選挙で国民の不満が一挙に噴出したことに、世界の指導者は戸惑ったはずだ。
G8でも欧州危機再燃の危機回避に向けて、こういった反緊縮政策への潮流に対応する必要から急遽、成長戦略が加えられた。しかし財政支出を伴う成長戦略には異論もあり、独・メルケル首相は「財政支出を伴わない構造改革」を主張している。
いわば妥協策であって、当面これで様子見と言うことになるのか。
我が国でも、先の国会の特別委員会で野田総理は「財政とともに経済成長も考えなければならない」と答えている。フランス、ギリシャの動向を見て、そう答えたのだろう。
野田総理は、また今までの成長戦略を検証し、新たな戦略を立てなければならないともこたえていたのを覚えている。
民主党では、菅政権の時にデフレ脱却、新成長戦略を策定し、2020年までに名目成長率3%超、実質成長率2%超、2011年までに物価上昇率プラス、失業率3%台に低下を掲げて11~12年度にデフレ脱却を目指すというのだ。
だが、まだ2年しか経っていないのだけれど、その成果を見ると409件の施策のうちで成果が確認できたのは36件にとどまっているという。
問題は、新経済成長戦略への財源がどの程度かだ。
それから中期財政、消費税増税、財界から要望の強い法人税の引き下げなどが出てくるのだが、そこのところがはっきりしない。むしろ財源不足で成果がでないことも考えられる。
新成長戦略で新規雇用の創出が500万人と言われているが今の失業者が約350万人であることを考えると、途方もない数値のようにも思えるが。
経団連も法人税を引き下げて、企業活動を活発にし雇用を創出する工程を描いているが、財政の持続可能性、社会保障の信頼回復により内需拡大が前提になる。
財政と成長の両立を求めているが、本当に可能なのか。
成長戦略のために財政支出をし、成果が出れば税収増になり経済成長とともに財政再建に効果が出るが、財政支出しても成果が出なければ借金が増えるばかりだ。
エコカー、震災需要に頼らない成長路線の模索が重要になる。しっかり国会で議論してほしい。
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