09衆院選 各党の政権公約 読売新聞2009.8.30 |
政権に就いて3年、財政再建に向けた社会保障と税の一体改革、消費税増税関連法案を何とか成立させた民主党政権だったが、造反、分裂で凋落傾向にある。その要因はマニフェスト違反よりも政権選択への期待外れが大きいのではないか。
2009年の政権選択選挙では時の政権政党の自民党は、景気回復、雇用、老後、子育てに不安のない「安心社会」、景気回復後の消費税率引き上げを掲げ「政党の責任力」を問えば、野党だった民主党は官僚主導の政治から国民参加の新しい政権を作り出す革命的目的を持った政権交代だとする一方で、「生活が第一」とわかりやすいキャッチフレーズで戦った。
当時、自民党は国民の信を問うことなく総理の座をたらい回しし、民主党から「すでに統治能力を失っている」と言わしめたが、今は全く逆のことが当てはまっている。
今一番野党から「マニフェスト違反だ」と追及され続けている消費税増税に自民、民主はどう考えていたのか。
自民党・麻生首相(当時)は、景気回復後に消費税引き上げをめざし、当面の景気対策は財政出動で「景気の底割れ」を防止することを最優先で考えていた。民主党の鳩山代表(当時)は、政権を取っても4年間、消費税増税はしないと宣言し政治の仕組みから見直して財源を捻出するというのだ。
この約束に反して消費税増税に突き進む野田総理は、支持率を大きく下げることになった。野田総理は、マニフェストに載せていなかった政策でも緊急性があり、やらなければならないものもあると抗弁するが理解されにくい。おまけに2009年当時のマニフェスの作成過程も問題になり、新聞報道では次回の衆議院選でのマニフェストでは実現可能で、作成過程も分かりやすい見直しをやっているという。
2009年の政権選択選挙で国民は政策(マニフェスト)で民主党を選んだのだろうか。
朝日新聞(2009.7.19)の世論調査によると、投票先を決める判断材料では実績(20%)よりも期待(79%)を重視するといい、投票した政党が政権を担当し、実績が期待を外れたら次の選挙では「別の政党に投票」(59%)するという。投票先は比較的容易に変わるのだ。
政党や候補者を決める時も重要な判断材料は、「これからの期待」(47%)が「政党の掲げる公約」(19%)を大きく引き離している(同上)。
その政党の掲げる公約を、当時9団体が比較検証した「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)が主催した公約検証大会が開かれた。
それによると、総合評価で3団体が自民優位、4団体が民主優位で2団体が同点だった。数値目標をより明確に示したとして民主党への「期待値」が高まる一方で、政策の実現性については自民党に「安定感」の評価が集まった(朝日新聞2009.8.10)。
実績、実力のほどは不透明であるが、民主党への期待が大きいことがわかる。
政権運営ビジョンでは民主党が全団体から高い評価を受け、自民党は首相がコロコロ変わり政権運営でのビジョンが重視されていないと指摘されていたが、今はどうか。民主党も首相がコロコロ変わり政権運営なんて全く不安定だ。政策決定プロセスも不明朗でゴタゴタの要因になっている。
比較検証した9団体もいい加減な評価か。
麻生さんは2009年衆院選で、「経済成長戦略を持たない民主党に経済政策をやれるはずがない」、「党内の意見集約もできない政党に日本の安全を任せるわけにいかない」と民主党の経済政策、外交・安保に批判の矛先を向けていた。
今考えると麻生さんの指摘は的中していないか。
新しい政権が新しい政治を印象付けるには「政策の刷新」が必要であることはわかるが、「新しさ」、「改善」だけを訴えるメデイア戦術先行型のキャンぺーンには注意しなければならない。
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