「オリーブの木」構想を伝える読売新聞 2012.8.26 |
小沢「オリーブの木」構想がメデイアをにぎわせているが、19年前の細川連立政権は「何の木」だったのか。そして何故枯れたのか。新党「国民の生活が第一」が野党連立の「国民連合」をつくり、民意を反映させた第3極連合を画策しているようだが、それぞれに思惑の違いがありうまくいかないようだ。
今の民主党野田政権は民・自・公の3党連立で成り立っているようだが、それに代わる国民連合だというのだ。小沢さんの提唱する構想らしいが、数合わせでキャスティングボードを握ろうとしているのか。
政策、政治手法の違う政党が寄り集まってもうまくいかないのは約19年前に経験済みだ。その失敗を繰り返さないためにも、あの時は「何の木」で、何故枯れたのかを検証すべきだ。小沢さんという強力な肥料に頼る危険性は拭えない。
19年前、自民党・宮沢政権への内閣不信任決議案が可決した。その時自民党から武村さんらが離党し、「新党・さきがけ」、続いて小沢、羽田さんらが「新政党」を結成し、選挙戦では自民党が過半数割れし、小沢さんの新生党、細川さんの日本新党、武村さんの「さきがけ」が躍進した。
当時、細川さんは政治腐敗、既成政党不信に加え政治改革、行政改革が遅々として進まないこともあって、保守、革新の二大政党ではなく、政権交代の可能な保守二大政党を目指していた。
当時の自民党総裁は河野さんで、細川さんは自民党と連立を組もうとしたが小沢さんから首相を打診され6党派の連立になった。細川政権は、日本新党、日本社会党、新生党、公明党、民社党、新党さきがけ、社会民主連合、民主改革連合による非自民、非共産の連立政権になった。
こんなたくさんの党が政権の軸をつくるのだから主導権争いも起きるだろう。うまくいくはずがない。
政策も「政治改革」がメインテーマになり、細川さんと河野さんのトップ会談で小選挙区制が合意され、細川政権は公職選挙法、政治資金規正法、政党助成金など政治改革4法を成立させた。
河野さんは後日談で、政治改革がいつの間にか小選挙区制に鞍替えされたことを恥じ、小選挙区制より中選挙区制への再改正を望んでいるという。
これらの政治改革4法がその後の政治を改善したとは聞かない。
政治手法も対立があった。
小沢さんは、与党の意思決定機関として「連立与党代表者会議」を設置し、公明党との一・一ラインが権力を誇った。一方武村さんは官邸主導を提唱し、政府と政権与党でギクシャクする結果になった。権力の二重構造は小沢さんについて回る。
そして、政権内の権力闘争と相まって、消費税を止めて7%の国民福祉税構想が小沢、財務省で打ち上げられたが政権の反発もあり翌日撤回され、細川総理への求心力は一気に落ちて行った。
当時の連立政権の木は枝が細く、多すぎて見栄えの悪い木になり、剪定不良と小沢さんという強力な肥料で枯れてしまった。
政治手法は何故か鳩山政権での小沢さんも居た頃の民主党政権に似ている。小沢さんがいる限り権力の二重構造は避けられないのだ。
この「オリーブの木」構想もうまくいっていないと聞く。「政策の違い」が大きく、参加する政党、政治団体が結集を躊躇していることもあるだろうが、人気の高い「維新の会」との連立で生き残ろうとしていることに不純さを感じる。
第三極構想には注意が必要だ。
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