2014年2月23日日曜日

首都機能移転(1):何故、再燃しないのか

首都崩壊
高嶋哲夫書
幻冬舎 2014.2
何故、首都機能移転問題が再燃しないのか。最近出版された「首都崩壊(高嶋哲夫 幻冬社 2014.2)」を読んでいる内に気がついた。新聞広告で知り取り寄せて読んでいるが、どういう根拠に基づいて崩壊する危険を論じているのか知りたかったためだ。

それによると、首都直下型地震の発生確率が東北地方太平洋沖地震発生で高まり「5年以内に90%、M8」を想定している。それにより100兆円を超える経済損失が出て日本発世界大恐慌が発生するというのだ。格付け会社は日本を2段格下げにし、ヘッジファンドが金儲けの為に動き出したという想定だ。

そうなると大変なのでアメリカ政府が日本に対応を迫っている。日本政府の動きは鈍かったが、取り敢えず数年前にまとめた「首都移転」計画を再検討するチームを立ち上げたところまで読んだ。

首都直下型地震の発生は、何時起きても不思議ではないと言われているが、「5年以内にM8クラス 90%」と言われると「ただ事ではない」という気になる。発生確率8%と言われた兵庫県南部地震がすでに起きているのだ。

そこで今までに検討された首都機能移転問題を調べてみた。

1990年に「国会などの移転に関する決議」が採択され、1992年「国会などの移転に関する法律」が出来た。1999年に、愛知/岐阜、栃木/福島の2地区が答申され国会へ提出された。国会等移転特別委員会は結論が出ないまま廃止され、2005年には政党間協議も途絶えたという。

1999年の答申書を見ると、上記2地区の他に可能性のある候補地として「三重/畿央地区」が挙げられている。候補地の条件として首都東京からそれほど遠くないこと、陸、海、空で国際的な将来性を持つ地域、自然災害の少ない地域、広大は平地を持つ地域、交通の便利性が挙げられている。

この時、群馬に住んでいた私にとって何故、前橋/高崎が誘致運動をしなかったのか不思議だったが、その理由に学校や処理場などインフラ整備とその都市を維持する費用が嵩むなど誘致したメリットは大きくないと言うのだった。公務員だって東京に住んで群馬に通う者も多いはずだ。

確かに10万人規模で4兆円の移転費用と言われていたが、東京都は2000年に6兆円の試算を発表した。

ところが東北地方太平洋沖地震で関西の財界を中心に再燃した。

20113月、橋下・大阪府知事、大村・愛知県知事が首都機能分散を訴え、大阪国際空港跡地、県営名古屋空港跡地、万博公園、愛知・地球博記念公園などを候補地に挙げた。

移転賛成派は、東京一極集中の抑制、政治経済の改革、災害対応力の強化を挙げるが、反対派は移転費用が莫大であること、効果への疑問、自然災害などリスク分散への疑問、移転先の環境問題、国事行為、東京都の意向などが挙げられていた(首都機能移転 ウィキペデイア)。

東京は危ないことは理解できるが移転ともなると10万人規模、移転費用は4~12兆円と
驚くべき大事業になる。

石原慎太郎さんが参院議員の時は、首都移転を言っていたが、東京都知事になって最近、首都移転に反対していた。東京都民は首都移転に戸惑っているだろう。

今、大災害が発生しても企業が事業を継続できる対策を講じるようにしているらしいが、それも大企業の一部ではないか。

首都直下型地震の発生で首都機能が麻痺、崩壊すれば世界的大恐慌の引き金になる事は容易に想像出来る。ファンドにとってはカネ儲けになるだろうが、生活を維持しなければならない我々にとっては大変な事態になる。

「危機管理、危機管理」と叫ばれてはいるが、実際に巨大地震、津波災害、原発事故が発生すると「何ら役に立たなかった」ではあまりにもお粗末すぎる。

首都移転は非現実的事態ではなく、喫緊の課題であることを肝に銘じるべきではないか。何時起きるか分からないところに難しさはあるが・・。

最近、経済や物理の本を読むと10分ぐらいで欠伸が出てくるが、この首都崩壊は時間はかかるが読み尽くせそうだ。


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2014.3.3掲載
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