「法人税減税で税収増」は、安倍総理がすがる危ういパラドックスか。ダボス会議で今度は「異次元の税制措置」を断行すると打ち上げた安倍総理に、経済財政諮問会議の民間議員が英国、ドイツ、韓国の海外事例を挙げて「税率を下げても、税収を増やすことが出来る」と25%まで下げるべきだと提案した。
過去に日本では法人実効税率を下げたことで1.7%の税収減になったが、その要因は物価が継続して下がるデフレによる低成長を要因としているが、今の我が国はデフレを脱却したのか。経済も成長路線に乗っているのか。
アベノミクスも力不足の感がする中で、都合の良いところだけをとって法人税下げを主張していないか。
海外で大々的に政策を打ち上げて国内で前進させる手は、何やら民主党政権の手段と似てきた。
1%の減税では4700億円の減収になる。10%では4.7兆円だ。そんな財源をどうやって確保するのだ。財政健全化も重要なテーマになっていることを忘れたのか。
税率引き下げは本来なら税収減であるが、税収増に繫がるという「パラドックス」だ。でも海外の事例では、課税ベースを拡大しているし、所得税率が法人税率より高くなったことから個人事業主が法人にシフトもしている。
それなりの措置をしての税収増効果だ。我が国は税制が複雑になっており、企業にはかなりの優遇策が適用され、実質的には法人税は20%台だという研究者もいる。
今の税の本当の姿を国民に示すべきではないか。ただアベノミクスの効果を出すために法人税減税を謳っているのであれば、それはお門違いだ。
法人税下げが本当に企業の業績に繫がるのか。今企業の70%は税金を払っていないという状況だ。海外から国内に戻ってくるのか。輸出が増えるのか。すでに生産施設は海外で展開しているから輸出が増えることに期待出来ない。
円安は原材料高で悪い循環にのっている。燃料費増は電気代で競争力を落とす。
米・格付け会社のムーデイーズは日本の経常収支の黒字が減っていることで日本国債の信用低下を警告している(讀賣新聞 2014.2.18)。
政府は、6月にまとめる「骨太方針」に法人税制改革を盛り込み、法人税下げの議論を進めると言うが、法人税下げと経済成長の関係をしっかり議論すべきである。
「パラドックス」はあくまでも「パラドックス」で、いつもそうではない。いいとこ取りは禁物だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿