「脱原発」を誰が責任を持って議論を進めていけば良いのか。国家基本問題研究所などは具体的な対応策、工程を示さず「脱原発」を言うのは無責任ではないかと言い、メデイアは国政に関する原発・エネルギー問題を首長選で争うのは無理の論調を展開した。
その結果、今回の東京都知事選では脱原発外しになり、小泉―細川連合を封じ込めることに成功し舛添さんが圧倒的多数で当選した。
「脱原発の他にもっとやることがあるだろう」と言うことだ。
讀賣新聞(2014.2.10)の有権者が重視した政策を出口調査から掲げている。「医療や福祉」20%、「景気や雇用」18%、「原発やエネルギー」17%、「防災」7%、「少子化、教育」4%、「オリンピック」3%となっている。
3%の「オリンピック」の成功を掲げ、17%の「原発」問題を国政の問題とかたづけて良いのか。
安倍政権は、舛添さん当選で自分たちの政策が「承認された」と誤解して、選挙前に延期になっていた「エネルギー基本計画」を閣議決定するという。それには「原発をベース電源」としているのだ。
経済産業省の有識者会議がまとめたようだ。脱原発を求める声も大きいので原発への依存度を下げるために太陽光など再生可能エネルギーの活用を推進するらしい(讀賣新聞2014.2.11)。
でもそれぐらいのことだったら候補者だって主張していたではないか。政府は責任を持って具体的対応策をどう提案していくのか。
国政の問題だから国会で審議すれば良いことになるのだろうが、自民は再稼働、民主は野田政権で再稼働許したが本当はどうなのか。共産、社民は反対、みんなの党は賛成? 維新の会はどうなのか。
自民が圧倒的に強いのだから、国会で審議も反対意見は押さえ込まれるのだ。委員会審議も従来のように平行線で議論はかみ合わない。そのうちに時間切れで政府の言うとおりになる。
一番大きな問題は景気対策だろう。アベノミクスの腰折れだけは避けたいのだ。原発ゼロ→燃料費など3.6兆円の出費→電気代高騰→企業の海外移転→国内雇用の確保が難しい。
そこで原発再稼働→貿易収支改善→アベノミクス腰折れ回避→デフレ脱却→国内経済の活性化を狙うのだ。
脱原発派も最終的には国内経済まで言及しなければならないが、誰が責任を持って議論を進めていくのか。「脱成長」論も出てくるが直ぐには理解されないだろう。
ドイツでは「脱原発相」を設置したという。電気代高騰で一般家庭は苦しんでいると言うニュースを見たことがあるが、それでも進めようとしているのだ。
国政の問題だから首長選には似合わないと議論を封じ込めてはいけない。これから原発立地県の知事選が始まる。当然、脱原発が公約になり住民の判断を待つことになるのだ。
具体策は立てられなくても理念として脱原発は論じるべきだ。そして脱原発の声が大きくなると必然的に国政でも議論しなければならなくなる。
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