プロジェクトＸ：ＮＨＫを改革せよ（１）

政権とどう距離を取るか　揺れるＮＨＫ
ＮＨＫホームページより

今、ＮＨＫがおかしい。ＮＨＫ存亡の危機と言っても言い過ぎではない。あの籾井会長の発言からいろんな問題が明らかになってきた。あのＮＨＫの人気番組だった「プロジェクトＸ」流に言うと「ＮＨＫを改革せよ」と言いたい。

朝のニュース番組改編で新人女性アナウンサーが地方局から東京へ転勤になり番組を担当するという新鮮なニュースが流れていたが、逆にＮＨＫは会長人事、会長発言、佐村河内さんのスペシャル番組、その他放送内容に安倍政権を意識し過ぎた面があるのだ。

ＮＨＫは国民の受信料６５００億円で運営している為に「みなさまのＮＨＫ」と国民目線のＮＨＫを標榜しているが、権力に弱いＮＨＫをさらけ出しているのだ。

ＮＨＫの経営委員、会長人事に官邸の意向が大きく影響し、あの会長発言が飛び出した。事情通は当然の発言と驚かない。

籾井・新会長は慰安婦問題の他に、「政府が右と言ったことを左とは言えない」と発言している。「安倍政権の方針には従うのだ」と公共性、中立性を捨ててしまった発言をし、会長の資質を問われている。

本人は「私的発言は取り消した」として平然とし、官房長官も「取り消したのだから問題はない」というスタンスだ。

でもメデイアに映り出されるあの馬鹿面を見ると、ＮＨＫ受信料を払いたくなくなる。

おまけに、自分の仕事は「ボルトとナットを締め直すこと」と公言し、メデイアの報道によると何やら局内で可笑しなことをやっているようだ。

ＮＨＫだから「放送内容はしっかりしたモノなのだ」と信頼していたが、とんでもない姿勢を保っているのだ。

昨年１２月２３日の天皇陛下の誕生日の「お言葉」がメデイアで放送され「平和と民主主義を守る日本国憲法」に言及されたことは知っていたが、ＮＨＫはそこの部分をカットして放送したというのだ。

週刊ポスト（２０１４．２．２１）によると、「戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました」という箇所をカットして放送したというのだ。週刊ポストは安倍政権が憲法改正をうったえているので都合が悪いと考えカットして放送したのだろうという。

連合国からの押しつけ憲法を改正しようとタカ派は言うが、その現・憲法が検討された過程を聞くと、日本が提出した憲法案より連合国の憲法案の方が民主主義政治を推進するには優れていたのだ。決して押しつけではなく、我が国でも十分に検討され、修正されて成案になったのだ。

戦争経験者は、その案を見て,これから民主主義の政治が始まるのだと涙が出るほどうれしかったという。

佐村河内さんの作曲がゴーストライターの疑惑が持ち上がっているが、ＮＨＫはスペシアル番組まで作って賞賛していたという。番組作成を外注しているのだろうが真偽の程も確認できないほどＮＨＫは落ちたのか。先日ニュース番組で謝罪していた。

３．１１東北地方太平洋沖地震でＮＨＫは東電・福島第一原発が外部電力が確保できず冷却不能に至りメルトダウンした可能性があると報じていたが、何時の間にかその解説員は画面から姿を消した。官邸から批判があっての処置だろうが、実際にはメルトダウンに至っていた。海外のメデイアも早い時期にメルトダウンの可能性を記していたのだ。

公共性、中立性を重視しなければならないＮＨＫにあってこんな調子では受信料を払いたくなくなる。

いま、安倍政権は右傾化が危惧されている。その安倍総理にいい顔をしようと思っているのであれば、大間違いだ。東京都知事選で細川さんの応援演説に立った瀬戸内寂聴さんが「安倍さんは戦争を始めますよ」という意味のことを言われていた。

日本から戦争を仕掛けることはないだろうが、安倍総理の推し進める集団的自衛権の行使、離島警備、自衛隊法の強化、そして憲法改正は近隣国が戦争状態を仕掛ける危険をはらんでいるのだ。

ＮＨＫは国民目線に立ち賛成、反対両論を論じて中立性を保つ必要があるが、一方でキチッとした持論をも展開することが要求されているのではないか。

ＮＨＫは何かにつけ政治部と社会部の主導権争いになる。政治部が力をもつとおかしなことになるようだ。

過去に海老沢という人がいて政治部出身で政権寄りのスタンスが問題になって受信料支払い拒否運動が起き、ＮＨＫの運営の危機が叫ばれたことがある。

今、籾井体制は政治部主導ではないのか。

公共放送が中立性を保つのは至難の業だろう。人事に官邸や政治家が絡んでくると尚更だ。籾井さんの馬鹿面を見る度に「ＮＨＫよ何処へ」と思う。

「信頼を回復するのは至難の業だが、失うのは一瞬」と言ったのは、海老沢さんの時だったが、また性懲りもなく同じことを言うことになるのか。

ＮＨＫ部外者から参入した経営委員の仕業、ＮＨＫ管理者の政治との距離の近さを疑う仕業といえ、バカな人間を登用したものだ。

ＮＨＫに「改革せよ」と言ってもトップがこのようでは出来かねる。我々視聴者が放送内容をよくチェックし、その正当性を判断する力をつけなければならないのだ。

そのためには子どもの頃からその教育が必要になるのだ。あの評判の悪かった「ゆとり教育」は、そういう意味では重要な時間だったのではないか。

今、教育は道徳教育、歴史が見直されているが、大人になるまでに役立つ教育として「ゆとり教育」は必要だったのだ。

豪雨、地震、地滑りなど災害情報はダントツにＮＨＫを頼っている。福島第一原発のメルトダウンの可能性もいち早く報じた（勿論、その後解説員は画面から消えたが）。国民の信頼を裏切るようなことがあってはいけない。

籾井会長、百田経営委員、長谷川経営委員、そして経営委員長は今回の責任を取って職を辞すべきではないか。