2014年4月12日土曜日

四苦八苦の安倍政権「成長戦略」:「特定国立研究開発法人」指定は苦し紛れの戦略か

アベノミクスの成果を急ぐ安倍政権だが、四苦八苦の「成長戦略」と言えないか。「特定国立研究開発法人」指定は政権の苦し紛れの戦略なのか。評判の悪かった第三の矢の見直しがされ、国家戦略に基づき世界最高水準の成果を目指そうと研究開発に人材と資金を集中的に投資する「特定国立研究開発法人」の指定が急がれた。

その研究開発法人として、産業技術総合研究所と理化学研究所が考えられていたが、STAP細胞疑惑事件で理化学研究所にみそが付き指定が遅れることになった。大きな利権を手に入れるべくSTAP細胞をアピールしたまでは良かったが、「改ざん」「ねつ造」疑惑が発覚し完全に裏目に出た。

「特定国立研究開発法人」指定を急いだことがSTAP細胞論文疑惑の遠因になっている可能性も否定できないのだ。

それが、研究者の倫理の欠如、人材教育の必要性、理研の組織管理の拙さを浮き彫りにした。「特定国立研究開発法人」指定などあり得ない状況なのだ。

何故こういう構想が出て来たのか。

人材と資金を集中し、効率的に使えば成果も上がるだろうと言う考えか。メデイアの報道によると、理研の野依理事長が文科省と交渉して作り上げた制度だという。ノーベル賞受賞者らしい発想だ。うまく行けば海外から優秀な科学者を集めることも出来、年収1億円の研究者生まれるというのだ。

でも本当にこういう制度が必要なのか。

今、大学改革で「世界に競える教育研究拠点作り」が課題になっていることは以前から知っていた。国立大学は人材育成、研究開発、地域への貢献が期待されていたが予算は削られヒトも減らされている。そんな中で予算配分でも国立大学間の格差は広がる一方で、研究教育拠点など望めない。

そこで人材、カネを集中的に投資し成果を出そうというのだ。

2月14日の総合科学技術会議で小保方さんを招き、安倍総理と握手することも考えられた。安倍総理が女性登用を唱えていることと相まって、成長戦略としてSTAP細胞論文は格好の政策PR材料だった。

しかし、結果はSTAP細胞論文疑惑の発覚でドタキャンされた。その時の新聞報道で政府側は「予定がつかなくなったのだろう」と言ってたはずだが、もし疑惑発覚が遅れていたら安倍総理は世界へ向けいい恥をかいていたことになる。さぞかし冷や汗をかいたことだろう。

そしてこの制度を文科省と交渉しまとめたとされる理研の野依理事長も赤っ恥をかかされたことになる。

ところで、問題は手っ取り早く成果を出そうと稚拙な政策を提案している安倍政権にあるのではないか。

地方の大学だって大きい花火を打ち上げることは出来なくても、研究をしながら人材育成、地域に貢献している大学はあるはずだ。

研究課題として予算をつけたら、その分野の実力者、多くは御用学者である○○大学の○○教授が予算を配分し差配する悪しき慣行がやり玉に挙がった事もあるがまずこの辺から改革していかなければならないのではないか。

1極に資源を集中し成果を上げることも大事であるが、必要なのは平均点を上げることではないのか。

成長戦略への政策といえども稚拙な政策は止めた方が良い。

急がば回れ成長戦略だ。


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