2014年4月28日月曜日

混乱を招く新健診基準値:ここでも「正しく恐れることの難しさ」?

4月4日、人間ドック学会が発表した健診の新基準値は、自然災害、天災で寺田寅彦博士の言が引用されている「正しく恐れることの難しさ」(寺田寅彦随筆集第五巻 小爆発二件)を示している。この数値を信ずるか信じないかは「健康は自己責任」に通じるのだ。

今度の新基準値での血圧値が「~129mmHg」、「~84mmHg」から「88~147mmHg」、「51~94mmHg」に緩和されたことで従来の基準値では血圧高めだったが、新基準値で異常なし」の健康体に変わった。医者の前では血圧が高く注意されてばかりでウンザリしていたのだ。

その他の数値も緩和され、今、高脂血症、高尿酸値で治療しているが服用の必要はなくなる可能性があるし、血糖値なども少し余裕が出て来た。

最近の週刊現代、週刊ポスト、讀賣新聞2014.4.27でいろんな意見が出て来ている。「従来の基準値は厳しすぎた」、「無駄な治療は慎め」、「安易な緩和は危険」、「毎年高騰する医療費の削減に厚労省が動いている」「学者、製薬会社、医師の大儲けの癒着」など何年か前にも繰り返された議論だ。

身近に疑問と思うこともでてきている。数年前に同じ自治会の班の知人の奥さんが亡くなった。聞いてみると朝方起きてこないので見に行くと布団の中でなくなっていたという。知人は「今日、医者に行く予定だった」と言うのだ。

病名は聞いて忘れたが、たしか脳内出血か脳梗塞だったと思う。高血圧の治療をしていても亡くなるのだが、週刊現代(2014.5.10,17)で「何故か血圧を下げる薬を飲んでいた患者さんばかり脳梗塞になる」という記事が目についた。庭のホースの中にゴミが詰まったらどうする」と例を上げて説明していた。

年を取ると老化で血管が硬くなる。その分血液を隅々まで送るのに血圧は高くなっていく理屈はよく分かる。

だから以前、「年齢+90」が高血圧の目安になっていたのを覚えているが、いつの間にか140,130mmHgに迷わされ忘れていた。

このことを医者に話してみた事があるが、「そんな事はない」とにべもなかった。

要するに医者のほとんどは、血圧を測り基準値と比較し「異常なし」「要経過観察」「要精検」「治療」の判断をしているだけで血圧、その数値について議論は出来ないのだ。

一方で、医者に「血圧が高い」と言われていながら薬は飲まず、酒もよく飲む元気な友人もいる。ガマンすることが一番良くない気ままに過ごすことが大事なのだという自説を開陳する。

病気の8割がストレスが要因という人もいる。これもある意味で正しいのだろう。

要は、先に記した寺田寅彦博士の「正しく恐れることの難しさ」が健診の基準値を考えるにも当てはまる。

「年齢+90」か、今回発表になった新基準値か、また従来の基準値のどちらを目標にし自己の血圧を管理していくか。

健康維持は自己責任なのだ。

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