憲法「押しつけ」論、自民党議員は大学で、あるいは自分で「憲法」を勉強したことがあるのか。そんな疑念がわいてくる讀賣新聞(2016.11.3)の国会議員へのアンケート調査が載った。
安倍総理が憲法改正に意気込んでいるが、その理由に「GHQが8日間という短期間に作成した押しつけ憲法」と言い、独立国家として日本が自ら作成した憲法が必要だと言うのだ。だから自民党はこの考えに「15%の議員に賛同」「60%がどちらかと言えば賛同」という結果だ。
その他の政党では、民進党は「13%がどちらかと言えば賛同」、公明党は賛同なし、日本維新の会は「8%がどちらかと言えば賛同」、共産党は100%賛同しないだ。
大学でしっかり憲法を学んだ人間であれば、戦争放棄は当時の幣原首相がマッカーサーに直談判して加えるよう依頼したと書かれているし、それしか日本が世界に認められる道はないと決断したのだ。
そして決して「押しつけ」ではない。マッカーサーは日本に対して草案作成を指示した。日本も数ルートで検討し政府草案を提出したが、その内容は民主政治にはほど遠く、GHQが直接作成することになったという。
GHQの草案は国内で検討され、修正を加え新しい国会で承認されたのだ。GHQの草案がなければ現憲法の民主政治は確保できなかったのだ。
これは憲法の教科書、教本には記載されていることで、私の持っている「憲法Ⅰ 清宮四郎 法律学全集 有斐閣 昭和32年9月」にも詳しく載っている。
変わったところでは「経済学は人びとを幸福に出来るか 東洋経済 2013.11」でも宇沢弘文先生が触れている。
そして最近、憲法草案作成時の詳しい状況が分かったと新聞に載っていたのを記憶している。
自民党国会議員はしっかり憲法を勉強して改正論議した方がいいのではないか。
昨日3日のテレビ朝日・報道ステーションで佐藤という人の書いた憲法の教本(?)から「憲法を国民が守り、憲法が国民を守る」と言う意味のコメントをキャスターがしていた。
よく分からないままに改正を煽って国民投票するとイギリスのEU離脱の是非を問う結果になる恐れもある。賛成した人が「やってしまった」では済まされない。
そして国民投票の結果をどう評価するかも問題なのだ。過半数の賛成では心許ない。本当に民主的に判断するのであれば「65%以上の賛成が必要だ」と言う専門家の話が載っていた。
現行憲法は改正が難しい世界でも稀な硬性憲法だ。そもそも改正など念頭に置いていない制度だ。世界的に見ても一度の改正もされていないのは珍しいと批判する人もいるが、だからこそ民主政治、戦争放棄が守られてきたのだ。
「安倍総理の下での改正論議には参加出来ない」とした民進党の判断は正しいかもしれない。
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