今回の米大統領選の結果は面白かった。日米のほとんど専門家、ジャーナリストが目の節穴を見せつけた。明日はどんな顔をして出てくるのか。私は今回の米大統領選を初期のうちから見てきた。比較的早い内に「トランプさんでは」という感触を得た。それは米国民が「政治を変えよう」としている事が分かったのだ。
当初予想の民主党クリントンvs共和党ブッシュの構図だけは避けてほしかった。もう飽き飽きする政治家一家だったからだ。
それには一冊の本がある。ステイグリッツ教授の「これから始まる「新しい世界経済」の教科書(徳間書店 2016.2)」を読んでからだ。それによると、アメリカ型グローバリズムで世界各国の経済は強くなったが、その冨は富裕層に集中し中間層は弱くなる格差拡大を生む結果になった。
アメリカ社会が活性化するには1%の富裕層のための政治、経済、司法制度を中間層以下の国民のための制度に変える必要があると指摘しているのだ。これが新し世界経済を目指すことになるのだ。
そして今回のアメリカ大統領選でも米国民は「政治を変える」事に期待しているのだ。ところがクリントンさんはエリート層を中心に現状維持の政治を目指し、一方のトランプさんは中間層以下の若者、失業者、生活困窮者の声に耳を傾けていた。
私はアメリカに行ったことはないが、日本のテレビが伝える米国の現状は、炭鉱の街、鉄鋼の街、自動車産業の街の疲弊を伝え、住民はトランプさんが仕事を持ってきてくれることに期待を持っていた。
これではクリントンさんは大変だろうと思った。
しかし、これでもメデイアはクリントン優勢、最後はクリントンと論調する始末だ。私も暴言を吐くトランプさんに危惧はしていた。米国民は最後は良心的判断をすると思っていた。それでも「もしかして」の期待は大きかったが、クリントン218vsトランプ244当たりから確信に到った。
敗者の弁は、「政治を変えてほしい」という国民の意識を専門家やジャーナリストは読めなかった。オバマ大統領は「CHANGE」と言ったが何も変わらない。今度はトランプが変えてくれるのではないかと考えた。
不法移民や海外からの安い製品の流入で製造業は海外へ出て行くなど国民の仕事はなくなっている。だから保護主義と批判されようがTPPなど貿易協定には反対なのだ。
それでも得票数はクリントンが20万票多いという。でもこれは選挙制度のためで選挙人数には影響していない。日本だってそうだ。各党の得票数と獲得議席数を見るとおおきなへだたりがある。
米国を大きく分断した。融和するのは大変だろうという。反トランプデモ、カナダ、NJへの移民手続きなど話題は尽きない。
予想を外した専門家、ジャーナリストはどんな顔をして明日テレビ画面に映るのか。木村太郎さんを除いて。
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