2017年1月11日水曜日

脱デフレに「シムズ理論」:アベノミクスの浜田参与の「考え直す」根拠なのだ

脱デフレには「シムズ理論」が有効と言うのか、アベノミクスの第一の矢の異次元の金融政策提唱者で、内閣参与の浜田エール大名誉教授が「考え直す」根拠とした経済理論だ。

今日の讀賣新聞(2017.1.11)「財政拡大 世界が注目」の記事が目についた。

それによると、デフレが長引く中では、金融政策だけでなく財政支出の拡大が有効であると言う経済理論が注目を集めている。その提唱者がプリンストン大のクリストファー・シムズ教授だというのだ。デフレ圧力がかかる中では、財政の悪化を招いても財政支出をする事がデフレからの脱却につながると説く。

経済理論には実証された理論はなく、「これでダメならこれでどうか」という提案が多いのではないか。「選択に自由」を書いたフリードマン教授のマネタリズムにも似ていないか。

昨年末、浜田先生がアベノミクスでの金融政策に成果が見られず「考え直す」と雑誌などで発言していたがその根拠に上げていた経済理論だ。

新聞記事によると、システムのイメージは「国債発行による財政拡大」→「需要拡大」→「物価上昇」→「税収増加」の好循環だ。

なにもシムズ教授に言われなくても今までに何度も聞いた目指す経済循環なのだが、それがうまく行かない。

安倍政権も金融政策に加えて財政出動もやっている。既にシムズ理論を実践しているように思えるが、一方で悪化する国の財政を回避しようと財政再建も唱え2020年にはPB黒字化を目指すも専門家は無理だろうという。

市場にジャブジャブカネを流すが物価は思うように上がらず日銀の2%物価上昇の期限は5度も延期され2018年度中になったが、日銀は誰も責任を取らない。

ところが今、原油価格の上昇で物価も上昇する好まざる経済循環が始まろうとしている。

一方、企業は円安、株高で企業業績は好転しているようだが投資には向かず370兆円という内部留保を重ねた。麻生財務相が内部留保ではなく「今こそ投資に回せ」という。経営者の質が落ちたのではないかとも指摘した。

企業も黙ってはいない。これほどの内部留保でも何かあったときに「つなぎ資金」(?)としては適正な金額だと反論する。

家計は伸びず、消費には廻らない。将来のことを考えると今、カネを使うことは出来ないのだ。高齢者は社会保障費の負担が増える。若者は将来の教育費などを考えると財布の紐は固い。

それでも株高、円安の恩恵を受け企業の業績の伸び税収は確か57兆円ぐらいになっているか。それから国土警備費の増加、公共投資、社会保障費の伸びなどを考えると赤字国債の発行が必要になる。

官製賃上げに加え日銀も賃上げを要求している。家計増収→消費増→内需拡大→物価上昇→税収増の好循環に持っていきたいところだ。

しかし、国民の20年に及ぶデフレ環境ではデフレマインドを払拭するには容易ではない。「働き方改革」で同一労働同一賃金を謳っているが、それが出来ないことは歴史が証明している。おまけに非正規労働者が40%にもなる格差拡大の社会だ。

欧州や米国の社会動向が何時日本にも波及するか。政治が国民の信頼を取り戻すとき経済環境は大きく変わるのではないか。

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2016.12.9掲載
どうなるアベノミクス?:浜田エール大名誉教授は文藝春秋で「考え直す」と


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