2017年1月21日土曜日

今日の新聞を読んで(44):トランプ宣言、習主席講演に見るグローバリゼーションは限界か

グローバリゼーションは急落下するのか、再上昇するのか。最近のメデイアのニュースでその限界が見えてきた。1月20日のトランプ・米大統領就任式での宣言、17日のダボス会議での中国・習主席の基調講演を見て世界のトップ2経済国の相反する考えに今のグローバリゼーションの限界を感じる。

トランプ大統領の宣言の主要点は「米国第一主義」だ。雇用創出、国境管理強化で「安全で偉大な国」を取り戻すと言う。当然TPPも離脱だ。自国が繁栄しなければ犠牲になって世界のことを考えることなど出来ないというのは当然だ。

今の中東の国内内乱を見ても自国民を犠牲にして難民を多く出しながら自らの利権を守ろうとする政権、それにかこつけてアメリカなど自由主義国対ロシアなど社会主義国の覇権争いは国際紛争を解決する事などみじんも考えられない。

更にトランプ大統領は「既成政治との決別」、「国民融和と結束」を訴えた。「権力はワシントンからあなたたちへ」と言うのだ。これは今までグローバリゼーションを進めてきた政権、官僚機構に対しての挑戦だ。従来の大統領に比べて頭に焼き付く言葉がないと批判する専門家もいるが、トランプ大統領は重要な事をわかりやすく言ったのではないか。

一方、17日のダボス会議での中国の習主席の基調講演は自国の輸出産業を擁護し、中国国内市場の不自由、不公平さを無視した身勝手な講演であり呆気にとられた。

新聞報道でも年次総会はグローバル化が問題になった。このまま格差が拡大すればポピュリズム政治家の台頭、反グローバル化の台頭で先進国の経済、社会への衝撃が大きいのではないかとみられているのだ。

私もグローバリゼーションは無条件で推進することは無理だと考える。ある程度良識を持ってコントロールしながら進めるべきであり政治家、利権者、利益者の倫理感が問われるのではないか。

倫理なき社会、経済は衰退するのは目に見えている。

ところでグローバリゼーションの基本予想には3つのシナリオがあると言う。それによると(シナリオ1):コントロールされたグローバリゼーションで実現可能と思われていたが解放の程度は劣ると言う。(シナリオ2):後戻りするグローバリゼーション、保護主義の気運が高まり経済の弱体化、高失業率が現れるというのだ。(シナリオ3):凋落したグローバリゼーション、グローバリゼーションに背を向け、成長に悲惨な結果をもたらす。特に最貧国は無残な結果になると言う(「2050年の世界」英・エコノミスト誌 文藝春秋 2012.8)。

併せて、「どうなるかは米国の政策次第」というが、今はシナリオ2なのか。

グローバリゼーションも倫理感を持って進めれば良い結果になると思うのだが、政治家、経営者に倫理感が欠けていることの根深い問題があるのだ。


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