夜空はこのようなクリーム色 「宇宙の果てに何があるか」 戸谷友則 講談社 2018.8より |
真っ黒闇の夜空と思っていたら本当は「クリーム色」だなんて信じられるか。相当前に随筆か天文学の本でか忘れたが「夜空は真っ暗闇ではなく明るいのだ」という記述を見たことがあるがすっかり忘れていた。ところが「宇宙の果てに何があるのか」(戸谷友則 講談社 2018.8)を読んでタイトルのような文章に再び出会ったのだ。
イメージとは違ってよく目を凝らせば宇宙空間は「クリーム色」に輝いているのだそうだ。
都会などでは街灯、ネオン、照明など町の灯りで明るく星を見にくいが、山間部に行くと「天の川」がボーッと淡くひかって見られる場所があるがよく目をこらせば「クリーム色」に見えるのか。
宇宙物理学の専門家である戸谷友則先生はほぼ下記のような理由を挙げておられるが、詳しいことは戸谷先生の本を読んで欲しい。
ビッグバン以来宇宙はかって高温だった。温度を持った物体が放つ電磁波が宇宙一様に満たされている。これを宇宙背景放射と言い、可視光域の宇宙背景放射がゼロでない強度を持っていれば色があるはずというのだ。
なかなか見る事が出来なくなっている「天の川」がボーッと淡くひかって見える放射も宇宙背景放射なのだそうだ。
既存の望遠鏡で見て、何も天体が映らない漆黒の空の領域でもまだ検出出来ない無数の暗い遠方銀河がボーッとひかっているというのだ。だから黒闇ではない。ただ目の感度が悪いだけなのだ。
こんな事もあって、「夜は暗いどころか無限に明るい」という「オルバースのパラドックスがあるぐらいだそうだ。
宇宙背景放射の温度は3K絶体温度だ。
ところで最後に宇宙はどうなるか。興味あるところだが最近東大と国立天文台の研究チームが宇宙がこのまま膨張を続けたとしても世界が終わりを迎えるのは1400億年先だという。これにはいろんな説があり一点に収縮する「ビッグクランチ」や、無限大に膨張する「ビッグリップ」などがあるが宇宙の質量は膨張を止めるほど大きくはないと無限大に膨張するとみられているがそれまでには1400億年かかるらしい(毎日新聞2018.9.26)。