2018年9月11日火曜日

GPSでの「ひずみ」解析:分かるか? 「次の巨大地震の発生は何処」

図1

進むGPSでの「ひずみ」解析で「次の巨大地震の発生はどこか」分かるようになるか。それとも発生後に「やっぱりそうか ひずみ帯か」と言う事になるのか。

「何時、何処で、規模は」が分かる地震予知は不可能と言われているが、時期は分からずとも場所は推定できないか。GPS測定とスロースリップ追求解析で期待は出来ると思うのだが。

9月6日早朝の北海道胆振東部地震、震度7は近くに石狩低地東縁断層帯付近、6月の大阪府北部地震、震度6弱は有馬-高槻断層帯がありもしかしたらその活断層が動いたのかと思われたが震源地が分からず、結局は「隠れ断層」の可能性が強いという。

地盤が押し合いへし合いし「ひずみ」が出来、貯まる量が増えるとバランスが崩れて地震が発生するので切迫性を警告することが出来、また「ひずみ」が崩れて破壊され地震が発生すると次に発生するのはその「ひずみ」が貯まるまでで、ある程度の時期が計算できる。

だから「ひずみ」をうまく使えば地震予知にも活かせるのだ。

そこで今、「ひずみ」解析がどの程度進んでいるのか、新聞報道のあったニュース記事を選んで見直してみた。

YOMIURI ONLINE(2018.9.8)の「震源域「ひずみ」蓄積しやすく・・関東地方も」では北海道胆振地方の震源域周辺は「ひずみ」が貯まりやすい。こういった地域は東北、北陸、関東地方にも有り「地震にも備えよ」と警告する。京大の西村准教授はGPS解析で北海道東部は年に2~3cm西へ移動して、胆振は東西の地盤が押し合っている形で「ひずみ」が蓄積しているという。1924年、27年にはM6.2,2017年のはM5.1が発生しているのだ・・図1。

こういった「ひずみ」の貯まりやすい地域が国内には複数有り備えを進める必要があるとも言う。

読売新聞(2014.10.3) 「火山列島「地震と連動 噴火繰り返す」では、日本には火山が列状に集中する火山フロントが2本ある。海溝には海のプレートが地下に沈む込み、陸側プレートとの境界で巨大な地震が起きる。

図2
マグマの動きで地震が活性化し火山活動を誘発、東日本大震災は北海道~九州に至る21火山で噴火の前兆の火山地震が観測される。「日本の火山フロントと海のプレートの関係」を見るとエネルギーの貯まりやすい場所が分かり、巨大地震との関連も想定できるのではないか・・図2。

3.11東北地方太平洋沖地震後、富士山も噴火のエネルギーに迫っていたが、何らかの条件が整わず噴火を回避できたと専門家が指摘していた。

朝日新聞(2013.10.31)「大地震の定説 本当か」「慶長、南海トラフではない」に石橋神戸大名誉教授らが南海トラフ巨大地震とみられていた1605年の慶長地震は南海トラフではなく、伊豆小笠原海溝で発生した巨大地震とする研究結果を報告した。古文書などの研究結果だが、これにより今まで100年間隔だった南海トラフ地震の間隔が200年に一回程度とみられるというのだ。

図3
この中で静岡大の生田助教がプレートの動く速度と過去111年間の地震計の記録からエネルギーのたまりやすい場所を解析、M9クラスの巨大地震が起きる場所が日本近海も含めて17か所あるというのだ。その場所が「日本列島周辺のプレート」でマグネチュード6~9で表示されている・・図3。

それによると、千島海溝、日本海溝、伊豆・小笠原海溝、南西諸島海溝でM9の地震が発生するエネルギーがたまっているのだ。多くの他の報文とも一致する。

毎日新聞(2016.6.2)「発生確率算出 ひずみ鍵に」では熊本地震の震源が内陸部の地盤の「ひずみ」がたまりやすい地域であることを、これも京大防災研の西村准教授がGPSデータ解析で確かめた。

図4
熊本~大分、中央構造線に沿って四国北部~和歌山市へ、淡路~神戸~京都~琵琶湖~福井に至る領域も「ひずみ」がたまりやすく、多くの地震が発生している・・図4。

阪神大震災、大阪北部地震はこの線上だし、今の地震災害は9世紀に酷似しているとすれば京都では4回も大きな群発地震が発生しているのだ。いつか大きな揺れが来るのか。

読売新聞(2018.6.19)「同規模地震を警戒 ひずみ集中帯で発生」には内陸部地震発生でよく指摘される新潟~神戸ひずみ集中帯が乗っている。
大阪北部地震、阪神大震災、新潟中越地震、長野県北部地震、福井地震などはこのひずみ集中帯で発生している。集中帯はひずみがたまりやすく、逆断層が多い・・図5。

図5
気を付けることは南海トラフ巨大地震が発生する前には内陸部で大きな地震が発生することだ。そういうことを考えるとこの集中帯は要注意だ。

最後に南海トラフ関係ではいつ起きても不思議ではないと言われている東海地震だが、産経新聞(2016.5.24)によると東海地震の想定震源域の南西側に「ひずみ」が蓄積していることを海上保安庁の海底観測で分かり、今後の防災に生かさなければならないという・・図6。

図6
また、三重県沖、四国沖、日向灘でも大きなひずみがたまっており南海トラフ巨大地震の3連動、4連動の震源域を絞り込むことも可能だ。

そして、GPS測定では測量学の権威者である村井先生の研究を忘れてはいけない。

「MEGA地震予測」でGPSの異常値を検出し異常変動全国MAPを作成、週刊ポストでその情報を知ることができる。

最新版週刊ポストで「北海道「震度7」で高まる「関東」「東海」巨大地震の危険」記事が掲載された。MEGA地震予測では北海道胆振地方の危険性を「震度4以上の地震が3か月以内に発生するリスクを6段階のリスクが高いレベル4であると警告していたという。

駿河湾沿い、伊豆諸島、付近は沈降傾向にあり「ひずみ」がたまっている。異常変動も起きているそうだ。万一伊豆周辺で地震が発生すると首都圏の震度も日出生に高くなり甚大な被害をもたらすと警告している。

先生の説だと4cm以上隆起すると異常というが、三宅島では9.5cm、鳥海7.1cm、二本松8.8cm、広島県蒲刈8cm、高知県久礼7.1cm、熊本県水上8.5cm、垂水8.6cm(いずれもアップデート版 異常変動全国MAP‘18 VOL1 週刊ポスト)。

当たりはずれは別として近辺地域は防災を考える機会になってほしいと思う。


0 件のコメント: