言い訳ばかりの日銀・黒田総裁では金融正常化への道は遠く、気がついたときは日本経済は混沌とした状況が目に浮かばないか。日銀の政策に対して市場は懐疑的動きをする。欧米の中央銀行がグローバルスタンダードの2%物価目標未達でも緩和縮小、利上げで金融政策正常化を目指すが、日銀は一人緩和強化続行だ。
日本経済は今、見通しは「緩やかに回復している」と言うが、輸出は「持ち直しの動きに足踏みが見られる」、消費者物価は「上昇テンポが鈍っている」といずれも下方修正だ。
企業の業績は向上、景気は良いが目標の2%物価目標は遠く及ばない。雇用は好調と言うが高齢者、女性の就業が目立ち賃金は抑制傾向では消費は伸びないし、物価も上がらない。
日本経済の置かれている立場が複雑なので日銀の政策も分かりにくくなっていると言うが、要は金融の専門家も右往左往しているのだ。それでは国民の消費行動も鈍ってくる。政府、日銀にわかりやすい政策、情報提供が望まれるのだ。
だから、日銀が「緩和強化」しているのか、「金融正常化」に向かっているのか分かりづらい。
黒田総裁は記者会見でいろんな「言い訳」をしている。要は安倍政権の経済政策の意向が明確でないから当然のことかも知れない。総裁選の争点は「アベノミクスでデフレ完全脱却、GDP600兆円」と言うだけ。
日銀が2%物価目標に拘っているのは安倍総理が「2%達成」に拘っているためではないのか。安倍総理に任命されたのだから裏切るわけにはいかない。アベノミクスが破綻することは安倍政権を否定することだ。
兎に角、2%物価目標は自分の任期である2023年までに達成するそうだ。でも3選を果たしても安倍さんの任期は2021年、その頃には緩和縮小に向かっているのではないか。
マイナス金利は地方銀行の収益を悪化させる副作用が出ているが、銀行経営を助けるために長期金利を上げることは経済にとってはマイナスになるので出来ないという。貸し倒れも増えるらしい。でも、政策委員の中で銀行出身の鈴木さんは「地域金融機関を含めて経営状況がどうなるか注視する必要がある」とコメントしている。業界団体なのか、国民のためなのか。
ところが、黒田総裁は「当分は現在の極めて低い低金利の水準を維持する」フォードガイダンスを主張、期間は設けないと強めのコミットメントを発した。
長期金利の変動幅も0.1%~マイナス0.1%、短期金利-0.1%に設定しているが国債市場の取引を見ても予期した方向で改善していると手前みその評価だ。
日銀の金融政策正常化への道は遠い。
そりゃそうだろう。安倍政権の予算は赤字国債発行に頼っている。国債を印刷し市場に出し国民や金融機関が購入するが金融緩和で日銀が市場から国債を買い上げ政府の財政赤字を助けている。
諸外国も注目している財政ファイナンスだが、いつまで続くか。国際会議での議論になれば日本も困った立場になる。時間の問題かも知れない。
安倍さんが3選を果たしても早い時期に「死に体」内閣になる可能性もあり政権放棄するか、黒田さんが日銀の主体性を取り戻し緩和縮小に向かうか。
難しい舵取りだ。
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2018.8.1掲載
日銀緩和政策修正;言い訳、副作用は政策の破綻と責任逃れでは
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