2017年2月14日火曜日

トランプ大統領の「毒」か、「薬」か

トランプ大統領の繰り出す政策は「毒」か、「薬」か。トランプ大統領の反グローバリズム、保護主義は支持者である白人中間層以下の米国民にとっては「薬」だろうが、世界の多くの人たちにとっては「毒」かもしれない。

朝日新聞(2017.2.14)の経済気象台「トランプ大統領の「毒」」という記事を見て考えた。

経済気象台によると、トランプ大統領の強硬姿勢は、国内雇用を守るという公約をひたすら実行しているだけでそのスタンスは一貫している。しかしそれらの政策は支持者の期待とは裏腹にアメリカ経済にとっては強い「毒」となって成長力や雇用を奪う可能性があると指摘する。

保護主義、移民の制限はイノベーションの可能性を萎縮させ経済の構造的課題に向き合っていないと言い、闇雲に対米追随することは日本経済を危うくすると警告している。

正論だが、「薬」になっている面はないのか。

「為替操作の批判」は第一の矢に異次元の金融政策を訴えるアベノミクスへの再検証の場となる事を期待していたが、今回の首脳会談では話題にもならなかった。「在日米軍の駐留費用を全額負担」は在日米軍の存在を根本的に考える場になると思っていたが、これも言及なしだ。

今のところ世界で唯一の友人のはずの安倍総理も異例の厚遇を受けたが「薬」とは思っていないだろう。寧ろ「毒」への扱い方を知ることが出来たことが唯一の収穫か。

案の定、今日の国会でもゴルフ外交を質問されていた。「中東問題(確かイスラエルでの大使館移転?)をどう考えるか」という意味の質問にトランプ大統領とのゴルフ外交での内容は「コメントできない」と逃げたが、質問者は「安倍総理がどう考えるか」という質問だった(仕事をしながらNHKの中継を聞いたので詳細は分からない)。

プーチン大統領との「新しいアプローチ」にしろ、トランプ大統領とのゴルフ外交にしろ「お互いの信頼関係」にたった内容は話せないという。
アメリカ式のグローバル化→世界の格差拡大→アメリカ社会の疲弊化をもたらし改革が必要であるがトランプ大統領はそれを利用した大富豪、何かやるにせよ裏に利権が動いているのではないかと疑う。

「中国を共通の敵」に仕立てようとした安倍総理のシナリオを会談直前に習主席に親書を送り、電話会談し日本を牽制した強かさはビジネスマンらしく日米関係も何時豹変するか分からない。

やっぱりトランプ大統領は「毒」になるのか。だとすると解毒作用のある政策を持っていなければならない。


今テレビで驚くニュースが流れた。対日キーマンだったマイケル・フリン氏が電撃辞任したという。どうなっているのか、トランプ政権の閣などはそれぞれの利権をもっているらしい)。

今日の新聞を読んで(57):これがトランプ大統領とのゴルフ外交だ

今日(2017.2.14)の讀賣新聞に目を引く記事が出ていた。「トランプ氏とゴルフ 首相「外交的資産」」に安倍総理がプレゼントしたドライバーについて「練習ではじめて使い、(感覚が)合わなかったようで、(トランプ氏は)本番では別のクラブを使っていた」という。

今回の日米首脳会談は時間的にもメインはゴルフ外交にウェートを置いた内容で、2人の信頼関係の上に立って展開される事になり、外交政策、経済政策でも不明確な点が目立ち、国会審議でもそこが問題になるだろう。

一方、トランプ大統領にとっては、国際社会で孤立(?)しようとしている状況下で安倍総理が今のところ唯一の友達として今回厚遇したことになる。安倍総理も孤立するトランプ大統領を国際舞台で支持するデメリットはあるが、無理を承知で会談を持ったのだろう。

先の記事を頭に置いて今回のゴルフ外交を考えると、「今回の会談は唯一の友達である安倍総理とはじめて正式な会談を持ったが、本音として基本的な考え方が合わず、今後は経済対話の場に委ねるが場合によってはツイートするぞ」と言うことにならないか。

米国政府高官は会談後「次はこんなに甘くないぞ」と言ったそうだが、日本政府の関係者もそんな事は念頭に置いているだろう。

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今日の新聞を読んで(56):日米会談、高官曰く「次はこんなに甘くないぞ」

2017年2月13日月曜日

今回の日米首脳会談の成果?:大方はうまく行ったと言うが何時豹変するか

テレビの情報番組は今回の日米首脳会談の成果を報じている。大方はうまく行ったが豹変するだろうとの見方だ。トランプ大統領には先進国の首脳で友達と言えるのは安倍総理しかいない。これから始まるG7などの国際会議は初めてで他の首脳がどう出て来るか分からない状況下で安倍総理を一時的に味方に出来れば安心だ。

だから今回の首脳会談は異例ずくめの招待になった。

安倍総理の外交は、プーチン大統領との4島問題では「新しいアプローチ」と言ってみたりいろいろ批判されたトランプ大統領とはゴルフ外交をしてみたりで中身がよく分からない。国会審議で野党議員に会談内容を聞かれても外交には相手のある事と重要な事項には「2人の信頼関係」というオブラートで包んでしまうのでどういう会談になったかは分からない。

期待出来るのはトランプ大統領がツイートでつぶやく事だ。トランプ大統領だからやってしまうかもしれない。期待したい。

今回の首脳会談ではトランプ大統領は事前の予測に反して厳しいことを付いてこなかった。親しい友達関係を創りたい一心だったのだろう。

でも、こんな事でトランプ大統領の支持者が満足するはずがない。ある時突然豹変することは十分に考えられるのだ。

その時は先進国の首脳の中で誰か良い友達が出来たときだが、ロシアのプーチン大統領はG7に入っていない。中国は貿易不均衡、為替操作で問題があるが、会談直前に親書を渡したり、電話会談したり、「1つの中国」を再確認したり何を考えているのか分からない。

イギリスのメイ首相とはEU離脱で理解し合う仲であったが一時入国禁止令で批判される側に廻った。今後どうなるかは分からない。

二国間協定を進めるトランプ大統領はEU諸国とはうまく行かないだろう。


そう考えると日本とは経済対話で厳しく当たりながらトランプ大統領は表面的に安倍総理と仲良くするしかないのか。

今日のテレビニュースを見て(3):絶好のタイミングで北朝鮮が又、ミサイル発射

日米会談、ゴルフ外交に継ぐ最後の夕食会を狙って又、だだっ子北朝鮮が絶好のタイミングで弾道ミサイルを発射した。慌てて夕食会を中断し安倍総理、トランプ大統領は記者会見で北朝鮮の挑発行為を批判した。

こう言う挑発行為に決まって安倍総理は安保理決議違反を厳しく批判していたが、今回は隣にトランプ大統領も立ち「日本と100%ともに立つ」と日本擁護を訴えていた。テレビニュースでは夕食会には緊張感が走ったという。

北朝鮮がこの時期に弾道ミサイルを発射するのではないかという事は、事前の兆候で見て取れ、インパクトはそれほど大きくはなかっただろうが日米会談の最終日と言うことで日米に緊張が走ったことになる。

こういった「核、ミサイル開発を止めろ」「挑発行為を止めろ」、「安保理決議を守れ」と北朝鮮に対し経済制裁などを強化するが中国の動きが鈍い。時々テレビニュースで中朝国境の町では商行為が以前と変わらないという。

北朝鮮にとって核やミサイル開発を止めることは国そのものの存在を危うくすると言うことを海外の事例で学んでいる(?)ようで、ちょっとやそっとのことで放棄などしないだろう。

6ヶ国会談でなく、アメリカとの2ヶ国会談を望んでいるが、アメリカは従来6ヶ国会談を主張している。トランプ大統領は多国間でなく二国間交渉を主張しているので対北朝鮮政策が変わるのではないかとも見られるがどうだろうか。

弾道ミサイルの開発は既にアメリカ本土も射程距離に入っている。日本を守ると言うよりもアメリカ自体も危なくなってきたのだ。

今回の日米首脳会談の共同声明を読むと、北朝鮮に対して、「核及び弾道ミサイル計画を放棄し、さらなる挑発行為を行わないように強く求める」とともに「日米同盟は日本の安全を確保する完全な能力を有する」と言うが、アメリカが日本を守るだけでなく、アメリカ自身も脅威になってきたのだ。

更に韓国大統領選では親北朝鮮の候補者が優勢になってきたという。大統領選の結果では北朝鮮対策も変わってくるのか。
北朝鮮の経済制裁では中国の役目が大きいが、トランプ大統領は中国敵視から親書を送ったり電話会談したり、「1つの中国」を継続して認めるなど中国に対する動きも変わってきた。

中国に対してアジアの平和を守るために北朝鮮への厳しい制裁を求めるのではないか。

北朝鮮もアメリカとの二国間協議を望んでいる。トランプ大統領の対北朝鮮対策に注目だ。



2017年2月12日日曜日

今日の新聞を読んで(56):日米会談、高官曰く「次からはこんなに甘くないぞ」

注目を集めていた(?)トランプ大統領、安倍総理の日米会談も事前の予想に反して荒波の立たない玉虫色の結果に終わった。トランプ大統領だから何を言い出すか分からないと身構えていった日本側もホット胸をなで下ろしたかに見えたが、米政府高官が「次はこんなに甘くないぞ」と声をかけたそうだ。

新聞の論調を見ると、米メデイアは「おべっか」と言っているが、日本のメデイアは、「経済対話新設 両首脳「同盟強化」、トランプ通商要求せず」(毎日新聞 東京新聞電子版)、「基盤は安保、明確に」(産経新聞電子版)、「強硬姿勢封印、巧妙な「トランプ流」」、「安保と経済の切り離しに成功したはずだが、拭えぬトランプ流「デイール外交」へ疑念」、NHKも朝の番組で「信頼関係は築けたか」で検証していた。

安倍政権も「尖閣に安保適用」の言質を取ったことで一安心のようだが、トランプ大統領は会談前に中国に親書を送り電話会談し「日本牽制」も忘れなかった。

自動車、為替、貿易、財政ルール作りでは麻生財務相、ペンス副大統領による経済対話を創設するという。

メデイア報道を読めば読むほど、「今回はこの程度だが、次回からは甘くないぞ」という米国側の本音も分かってくる。

そりゃそうだろう。こんな会談内容ではトランプ支持者が許さない。安倍総理個人への信頼関係などトランプ大統領に必要があるのか。


あるとすれば世界の首脳から煙たがられているトランプ大統領の「唯一の友」と言える存在だからだ。

トランプ大統領の「偽ニュース」攻撃:そんな事、安倍総理(政権)は既にやっている

米メデイアがトランプ政権の「偽ニュース」攻撃に苦心していると言うが、安倍総理(政権)だって同類で日本では既にやっていることだ。新聞報道によると大統領の意に沿わないニュースを「偽ニュース」と言えば、側近連中も「もう一つの事実だ」と開き直るという。

時の政権がメデイアを批判し始めると民主政治の根幹を崩すことになる。メデイアはいろんな見方を国民に伝えるが、政権にとって気にくわないニュースもある。そこを攻撃するとメデイアは萎縮する。日本のメデイアもそうだ。

先の総選挙で安倍総理が確かTBSのニュース23という情報番組(?)に出演したときだ。「アベノミクスの成果」とか言うことで街角インタビューを流した。

ほとんどの人が「身近にアベノミクスの成果は感じられない」と応じたとき、スタジオの安倍総理は反論に出た。「片寄り過ぎていないか」と言うのだ。

そこで安倍総理は通常引用される経済指標でなく、聞いたこともない指標を次から次に紹介しアベノミクスの成果は出ていると言ったのだ。

それ以降、安倍官邸のメデイアのチェックが厳しくなり、MCやコメンテーターの降板が始まった。「報道の自由」を掲げ政権に対峙するのではなく、経営者は政権の軍門に降ったのだ。

「もう一つの事実」は政治にはつきっきりだ。

国会の予算審議をNHKテレビで聞いていても、質問する野党議員はフリップで質問内容をテレビ画面に向けるので何を、何の根拠で質問しているかがよく分かる。

ところが一方で、答弁する閣僚連中は官僚の書いたペーパーの棒読みだから何を答えているのかよく分からない。質問者は「答えていない」と抵抗するのだから「もう一つの事実」で誤魔化そうとしているのだ。

東京都の舛添元知事の「政治とカネ」の問題は「余りにもせこすぎる」議案で笑ってしまったが、舛添さんの記者会見を見ると「噓のオンパレード」で取り繕うとしたのだった。

豊洲新市場問題での小池都知事vs石原元知事の論争も石原さんがどの程度本当の事を話しているかだ。

昨日、BPOがNHKの「調査報告 STAP細胞 不正の深層」番組が元研究員の名誉を傷つけ人権侵害があったと認めた。これだって可笑しいことばかりだ。誰かが元研究員の研究室に入って資料にES細胞を混入させたと言うのだが、誰かが分からない。常識で考えると元研究員しか分からないことだが、「知らない」「私はやっていない」では本当は何なんだと言うことになる。

文科省の天下り問題は偽ニュースではなかったようだ。「法をくぐる小細工」をしていたようだが、中央官庁の官僚が違法行為である事を知らなかったとは思えない。こんな連中に教育行政を任せていて良いのか。

防衛省の南スーダンPKOが作成した日報に関して、日報は破棄したと言っていたが、実は見つかったという。「戦闘はあったのかなかったのか」の野党議員の質問に「法的な意味での戦闘行為ではなかった」と苦しい答弁を稲田さんはしていた。

政治家は噓、偽のニュースを繰り返す。メデイアも一時追求するが、そのうちに下火になり誰も責任を取らないで済むことが多くなった。

今の報道番組、情報番組を見ていて政権に物申す気骨のあるコメンテーター、MCはいなくなった。政権を批判でもすればすぐに官邸からクレームが付き、経営者が揺さぶられるのだ。


トランプ大統領、安倍総理も同類だ。米国のメデイアが反論しているだけまだ健全か。 

2017年2月11日土曜日

新しい道:米国に極度に依存しない日本の立ち位置は

トランプ大統領登場による米国民の分断、一時入国禁止令に見る米国内混乱にもかかわらず安倍総理が強行した安倍-トランプ会談は事前の危惧も何のその、相互に要求を満たした玉虫色の決着になったように思える。

一方で、アメリカに極度に依存しない日本の立ち位置を世界に示すことは出来なかった。

思いだしてみよう。先の伊勢志摩サミットでの安倍総理の挙動を。伊勢神宮では最後に登場したオバマ大統領と一緒に歩く姿、広島訪問では他のサミット参加首脳をほったらかしてのオバマ大統領に同行し記念碑に献花した姿は、米国大統領を十二分に利用した事になる。

日本はどうしてもアメリカに追随する外交しか出来ないのだ。しかし、トランプ大統領になって保護主義、一時入国禁止などで世界の首脳が批判する中での
会談は心配の種でもあった。

今回の会談は双方が国益を守る結果になった。でもトランプ大統領の強かさも覗いた。

中国の尖閣列島における不法行為に対して日米安保第5条適用の言質をとり、中国を牽制する事が出来たが、一方でトランプ大統領は「1つの中国」を認めたり、習近平氏と事前に親書、電話会談し日本を牽制することも忘れなかった。

通商では日本が譲歩したように見える。米国が要求する二国間貿易、投資の拡大で閣僚級の協議を設けるという。安倍総理が言っていたTPPはどうなったのか。

政治、経済、軍事面で多国間協議を避けると言うことは、資本主義国が求める「世界の警察官」を放棄したことにならないか。

欧州で「自国第一」を主張する右翼政党の台頭、トランプ大統領の「アメリカファースト」、国益第一はこれからのG7,G20など国際政治でどう影響するか。英国の離脱後のEUの結束にも影響する。ドイツでも社会民主党が支持率でメルケル首相を脅かしている。難民受け入れ問題でピンチらしい。
国際社会で1番安定しているとみられる安倍総理だが、不人気なトランプ大統領に異常接近するのは国益に反しないか。


安倍総理が帰国後、国会審議で今回の会談の意義、成果をどう言及するか知らないが期待は禁物だ。