2013年6月12日水曜日

アベノミクスの矢:安倍総理! 市場の顔色ばかり伺う政治は止めよう

安倍総理! 市場の顔色ばかり伺う政治は止めたらどうか。勿論、安倍政権は経済再生で政権の座に着き、参院選までは経済政策一本で国民に支持を訴えていく方針だから、「市場の顔色ばかりうかがうな」と言っても無理だろう。

それにしても、「アベノミクスの3本の矢」で何か新しい政策を臭わせ、発表の度に円高から円安へ、株安から株高に市場も国民も大きな期待を寄せたが、ついにアベノミクスの本作用とも言うべき株価の乱高下というバブルを引き起こした。

このような厳しい経済状況下でも、「何が出るか」期待を持たせた第3の矢・「成長戦略」も市場が期待していた政策は先送りで失望から株価は下落、このままでは「NO」を突きつけられたことになる。

慌てた甘利経済産業相は法人税減税を言い出すし、安倍総理は東京・大井町で都議選応援の遊説で、秋には投資減税、成長戦略第2弾を出すという。

聴衆に、「アベノミクスを実感出来ていない人がいることも分かっている」と言い「景気は行き渡っていくはずだ。おカネは回り始め、その入り口に入っている」と、もうチョット待てば実感出来るようになると言いたげだった。

しかし、法人税下げ、投資減税を約束して日本の財政はどうなるのか。財源をどうするのか。そのしわ寄せが国民に降りかかってくるのではないか。

今実感出来ているのは、円安によると思われる輸入品などの値上げは食料品などを通じて国民生活を圧迫しだした。

株価の乱高下は海外のヘッジファンドがしでかしたコンピューターによる高速取引の売買の結果で、彼らは数千億円の利益を稼ぐことが出来たが、大半の一般投資家は大きな損失となったはずだ。

もう一方の日銀の政策決定「ゼロ回答」も市場の失望を買って、96円台の円高、株価は196円安の13,317.62円だ。

黒田総裁は、株価、為替にはコメントしないと言いながら、「次第に落ち着きを取り戻す」との見方を示した。

日銀は、「このまま買い入れを続ければ長期金利の上昇は抑えられる」とのスタンスなのだ。
隠し事のない一気に金融政策を出し切ったために、もう手はないのだろう。

「市場の顔色ばかりうかがうな」と言っても、今の安倍政権の政策を評価する手は、市場の反応しかない。

その他の政策としては、景気や雇用、社会保障、消費税など税制改革、TPPへの参加、東日本大震災の復興、外交や安全保障、選挙制度改革、憲法改正が、候補者や政党を決める時に重視する政策なのだという(讀賣新聞 世論調査 2013.6.11)。

評価は参院選の結果ということになる。地方の首長選では自民党が敗北しているので、安倍総理も必死で遊説しているのだろう。

でも、市場は1秒でも早く、1円でも多く稼ごうとする集団で、東京証券取引所では60%が海外投資家だ。国内のいろんな政策を海外のハゲタカファンドの判断に任せてはおけない。

「これでもか これでもか」と打ち出す政策に整合性がとれているのか。この辺で落ち着いて見直すべきではないか。安倍さんが頼る各種会議でそれぞれ報告書が出され、骨太の方針にも採用されるのだろうが、全体を把握するのが本当に難しいのだ。


[後記]
朝日新聞が社説で「相場の変動に振り回されるな」と警告する 2013.6.14

それによると
市場の動きに過剰反応すれば、政府と日銀の政策に対する信認が揺らぎ、かえって混乱に拍車を懸ける。
世界的な資金の流れを、日本国内の政策でコントロールしようとしても難しい。
株安の原因を「成長戦略が踏み込み不足だから」などと決め付けるのは的外れだ。催促されるままに追加策を講じるのは得策ではない。今は市場動向を油断無く注視すべき局面だという。

しかし、誤解を生んだ責任は政府にあるとも言う。株高の時はアベノミクスの成果と強調するあまり、その裏返しに株安の原因が政策の失敗とみなされやすいのだと警告している。
                                          (2013.6.14)




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