ジョセフ・ステイグリッツ教授曰く「アベノミクス」に必要なのは格差是正と所得の再分配だ」と。日本経済の再生を目指す「アベノミクス」に欠けているのは、「格差なき成長」、「所得の再分配」をどうするかなのだ。朝日新聞(2013.6.15)のオピニオンで「アベノミクスに欠けるもの」と言うタイトルでコロンビア大のジョセフ・スティグリッツ教授のインタビュー記事が載った。
先の内閣府主催のアベノミクスの学術会議に招待され、「アベノミクスは財政政策、成長戦略が同時になされることで正しい政策だ」という意味の発言をしたことが新聞で紹介されていた。内閣府に招待されたのだからアベノミクスに賛成する発言は当然だろう。
そんな中で、日本の経済学者がアベノミクスを懸念する発言をしていたのが印象に残っていた。
政府は、経済を成長させることによりGDPを増やし、政府債務の比率を下げ、財政赤字を減らすことが出来るが、財政再建を優先し成長を犠牲にすると財政赤字は減らせない。歳出削減と増税を急ぐ緊縮財政は常に失敗しているという。
日本は今、財政健全化は国際公約でもあり、財政健全化と成長戦略の両輪での経済政策を推進しようとしているが、妙手があるわけではない。
アベノミクスが成功すれば、やがては実質所得も増え、成長率も高まれば増税にも対処できるようになり、暮らしは良くなるはずだとも言う。
しかし、実体経済への効果として所得の増加、家計への刺激を目指しているが、今のところは富裕者層が得をしているだけで、低所得者層には家計圧迫の実感が出てきたのだ。皆の暮らしが良くなることはないのだ。
ステイグリッツ教授もそこのところが重要なんだと言い、格差の問題に向き合わなければならないと指摘する。
所得の再分配に工夫しなければならないのだ。
前川レポート、21世紀版前川レポートを思い出そう。輸出に頼らず内需の拡大で経済成長を目指したのだが、一向に成果は出なかった。その要因に企業の儲けをどう配分するかで意見がまとまらなかったのだ。
安倍政権は人気挽回に法人税下げを検討している。
ステイグリッツ教授は、企業減税が消費やGDPを増やす効果はないと断言する。
今、世界的に中央銀行の金融緩和で金融危機、政府債務の危機を回避しようとする動きであるが、それには十分な財政出動、構造改革が必要なのだ。日銀と政府が一体となっての取り組みが必要なことは分かるが、安倍総理は日銀任せの姿勢だし、日銀は構造改革を強く要求している。
GDP比245%に当たる財務危機は先進国一悪く、財政健全化が国際公約になっている我が国にとっては、国債の信用下落は避けなければならない課題なのだ。
アベノミクスもバブル経済の様相を呈してきた。「格差拡大」はアベノミクスの副作用ではなく、本作用なのだ。
アベノミクスが成功するかどうかは、所得の再分配で「格差の拡大」を是正、回避することである。
と同時に、経営者の意識改革が必要なのだ。
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