2013年6月6日木曜日

成長戦略・「勝てる経済」:安倍総理は意気込み、市場は失望、これで家計を刺激できるのか

講演する安倍総理
2013.6.5 NHkニュースウヲッチ9
アベノミクスの第3の矢である成長戦略は「勝てる経済」だ。安倍総理の意気込は大したもので、「民間活力こそアベノミクスのエンジン」と民間活力の爆発を誘うが、法人税減税、雇用改革を期待していた市場は冷めた目で失望感を示し、出足からその効果に疑問符が付いた。これで家計を刺激できるのか。

いつの政権も成長戦略には、規制改革、民間の力の利用を説くが、今までうまくいった試しはない。小泉内閣では規制改革会議の民間議員が郵政民営化で自分の企業に有利にしようとしたし、主導者の一握りの人脈の利権に走った苦い経験がある。

その悪例の根源には、「政策決定のプロセスの不透明さ」が上げられる。各種会議で委員の利権が絡み、それに与党の思惑も絡んで成長戦略の政策に大きな影響を及ぼし、内容が変更されるか、先送りになる。選挙を控えれば尚更のことだ。

今回も、規制改革会議での薬のネット販売解禁では安倍総理の強い意向もあったと言うが、民間議員である通販大手の楽天の三木谷さんが自分の議員辞退もかけて強く要求したという。自らの事業の利権に直結する動きをしたのだから、国民の福祉はどうなっているのかと問いたい。

こんな政策決定での経緯があると規制改革への信頼も落ちることになる。

アベノミクスの最終章とも言うべき成長戦略も数値目標をしめすなどその意気込みが評価されても良いのではないか。

「勝てる経済」では世界で稼げる経済を目指すという。企業が収益を上げ、失業を減らし雇用増に持って行き、賃金が上がれば家計も潤う。そうすれば消費も増え好循環に入ることが出来ると言うのだ。

そのためには、再編で競争力を高め、再編促進策として税制面も考えるというのだ。秋には産業競争力強化法(仮)を国会提出すると言うのだが、税制面では財務省が難色を示しているらしい。

可笑しなもので、以前は企業の公正な競争を促進するために似たような企業の設立を促進していたが、今は海外の巨大企業との競争にも勝つために大企業が再編成に向かっている。これで製品の価格などで自由競争が確保できるのか。
その競争力強化には、国内の古い設備を更新し、最新鋭にして競争力を高める事が目玉の一つになっている。

内需拡大には、魅力的な製品を作り消費を喚起、供給力をアップし、成長力の底上げをするという。ところが今は、魅力のある事業、製品が思いつかないのではないか。低金利のカネはジャブジャブしているが事業家がその気にならない。

規制改革も市販薬のインターネット販売解禁が注目されているが、他にはエネルギー・環境、保育、健康・医療、雇用、創業の分野で即効性があり緊急度の高い政策が上げられているが、緩和すれば何とかなるものか。今まで緩和できなかったから同じ項目が上がっているのか。

問題は、官僚や業者の既得権益をどう突破出来るかだろう。一時脚光を浴びた風力発電も既得権益者との関係で足踏み状態と聞いたことがある。

いろんな政策が上がっているが、それぞれの整合性が図れる体制が出来ているのか。各種政策を提案したのは官僚や民間議員、縦割り行政の中で浮いていては効果は期待出来ない。

「民間活力の爆発」というが、「政治の暴発」に終わってはならないのだ。

アベノミクスの第3の矢成長戦略にも
市場は失望
2013.6.5 NHKニュースウヲッチ9
市場は、サプライズがなかったこと、60%になる海外投資家は成長戦略を余り評価しなかった事が、株価が518円安の13014円で終わったことになる。

少子高齢化をモノともせず、内需拡大で国内経済を活性化するには、企業が得た収益をどう分配し、家計を刺激できるかだ。

経団連会長も「民間企業も果敢にチャレンジする必要がある」と言う意味のことを経団連総会で言っていたが、その通りなのだ。日本経済の強さは政治に頼らず成長することにあったのではないか。


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