2013年7月31日水曜日

発表される経済指標は消費税増税へ向けGOへの布石か

最近発表される経済指標は、消費税増税へ向けGOへの布石と思われる内容が多い。安倍総理は増税への判断に有識者会議を開き意見を聞いて決めるという。内閣参与の浜田さん、本田さんも加わるというから段階的増税も視野に入れているのか。とにかくそのメンバーで動向が分かる。

メデイアも増税を後押しするような記事を掲載する。朝日新聞(2013.7.31)によると、中期財政計画で消費税増税を前提にすれば赤字財政は8兆円削減できるという。ところが安倍総理は縛られないように秋口、臨時国会前に判断すると言っていた。

何やら演出臭くないか。財務省、経済産業省は既に増税を前提に情報発信している。

そうなると発表する経済指標も疑いたくなるが、経済指標は増税に向けGO判断の布石だ。

2013年度のGDP成長率は、実質2.8%増、名目2.6%増の見通しで、2月での見通し実質2.5%増は上方修正だが、名目2.7%増は下方修正だ。14年度は消費税増税で1%増に減速するとみている。

30日に発表になった民間シンクタンクの4~6月のGDP速報値は平均で前期比0.8%増、年換算で3.2%増だとみている。

内閣府は8月12日に、4~6月の速報値を発表する。1~3月期は4.1%増で4~6月期も良い数値が見込まれているという観測が多い。

6月の失業率は0.2ポイント減の3.9%で4年8か月ぶりの低い水準だ。

有効求人倍数も0.02ポイント増の0.92倍でこれも4カ月連続での改善だ。

所得の改善はどうか。厚生労働省の31日の発表の勤労統計調査速報では、1人平均現金給与総額は前年同期比0.1%増の43万3568円と言うが、フルタイムでは0.5%増だが、パートでは0.2%減だ。

上の数値はボーナスなどが入った金額だが、所定内給与をみると前年同月比0.2%減の24万3262円で、13か月連続で減少している。

安倍総理の経済界への賃上げの働きかけもあって、多くの企業で一時金の満額回答はあったが、所定内賃金の増加は遅れている。アベノミクスで家計所得に効果が出るのは、少し後になるのだろう。

消費者物価指数も1年2カ月ぶりにプラスになったという。総務省が26日発表した全国消費者物価指数(2010年=100)は総合で100.0で前年同月比0.4ポイントの増だ。

これでデフレ脱却の動きが出てきたという見方もできるが、円安→原油、LPG高→ガソリン、電気、都市ガス高の好ましくない消費者物価指数の上昇ではないか。

景気好転へ判断が難しい状況ではあるが、必要な措置は講じているという。産業競争力強化法で日本産業復興、戦略市場創造、国債展開戦略の3つのプランを進めるようだ。投資減税で70兆円の設備投資の水準に持って行くというし、法人税も引き下げ、日本が一番企業にとって活動しやすい国づくりを約束している。

経済指標はパッとしなくても、必要な措置は着々と講じているので改正消費税法・附則第18条の景気条項はクリアー(?)するとも考えられるのだ。

また、政府、日銀こぞって景気判断を好転させている。

日銀は「景気回復宣言」を出したし、7月の月例経済報告では景気基調判断を「着実に持ち直し自律的回復に向けた動き」と上方修正している。財務省の6月の経済情勢報告をみても東北を除き、10地域では「緩やかに持ち直し」と上方修正だ。

肝心の企業の設備投資も持ち直す見方が多い。

安倍総理は増税への判断に慎重な姿勢を見せつけてはいるが、これも演出で、既に決めているのではないか。

経済指標も0.?ポイントの差で比較するのであれば「ねつ造」の可能性も出てくるが、正しい情報を国民に示してほしいものだ。






全柔連・上村さん 「自分しかいない」は大きな誤解では

全柔連の上村会長! 「自分しかいない」は大きな誤解ではないか。そう思う人間ほど、組織にとっては必要ないのだ。内閣府から早期辞職勧告を受け、やっと8月末に辞任すると発表した。こんな不祥事が明るみに出ない限り、上村さんが全柔連の会長で講道館の館長であることなど知らなかった。

辞任時期を先送りする発表ごとに、評判を落とす結果になった全柔連であるが、どうしてここまで粘ることができたのか。

先には世界柔道連盟の会長が来日し、上村さん擁護の記者会見をしたし、講道館創設者の孫に当たる方も上村さん擁護の発言をしていた。

そこまでしても辞任の先送りをしたかったのだろう。

「今辞任したら組織が混乱する」、「組織改革は自分の手で道筋をつける」ことが主な理由だったのだろうが、自分の息のかかった人間を執行部に配しているところをみると、背後に大きな利権が転がっているのだろう。

その利権を手放したくないために、講道館の館長職は切り離して問題解決にあたろうとしている。

おそらく会長辞職後、守ろうとした利権が週刊誌などで暴露されるのだろう。

私の少年のころは柔道は子供の憧れだった。今は野球、サッカーだが、65年ほど前は柔道だった。「少年」という雑誌だったと思うが、柔道着に日の丸を付けた少年(名前は忘れた)が主人公の漫画が流行ったのだ。

今でも人気はあるし、日本オリンピックの発祥のスポーツのはずだ。

人事の一新、外部人材の登用、選手の強化育成、そのほか助成金の返還など難しい問題を短期間に解決していかなければならない。

今までの執行部が関与すると人脈の維持、利権の維持で大胆な改革などできない。しがらみの少ない新しい人材で大胆な改革を推進すべきだ。

特段の理由がない限り、新しい執行部に以前の理事が名を連ねることは、重ねて全柔連に自浄能力がないことを世間に示すもので、あってはならないことだ。

「自分しかいない」と思う人間ほど組織にとっては必要ない人間なのだ。



2013年7月30日火曜日

消費税増税は成長を損なわず?:では、その根拠を示せ

消費税率と税収の関係 japan.comより
日銀の黒田総裁が29日、都内の講演で「消費税増税は成長を損なわない」という主旨の話をしたという(讀賣新聞2013.7.30)。増税賛成派の考えを代弁しているが、増税反対派は、過去の消費税増税と税収の関係を示し増税は成長を阻害すると主張する。

では、「成長を損なわない」という根拠を示してほしい。そうでないと増税の是非の判断が出来ない。

今回の黒田総裁の発言も、消費税増税→財政健全化→日本国債の信認→長期金利の抑制→成長と言うことになるのだろう。

日銀は金融政策だけではダメで、財政再建、財政政策への取り組みが不可欠と必ずコメントする。

言い方を変えれば、日銀が量的・質的金融緩和で巨額の国債を買い入れて金利の上昇を抑えており、今のところ日銀の想定通りであるというのだだろうが、政府の財政健全化政策がうまくいかなければ効果も期待出来ないと言うことか。

政府が策定しようとしている中期財政計画に注目したいが、消費税増税を考慮しなければどうなるのか。

政府、日銀は増税と税収の関係をどう見ているのか。「増税が成長を阻害せず」の根拠を示すべきだ。

民主党・野田政権での国会審議を聞いていても増税に反対する議員の質問では、フリップで根拠が示されているが、野田総理や閣僚答弁では、早口で何かしゃべっているが、その発言の根拠となる資料の提示がない。

だから聞いていて説得力がない。反対に増税に懸念を示す議員は竹下内閣、橋本内閣の時のデータ、イギリスの事例を挙げて論戦に挑んでいるのだ。


希望的観測ではなくて、確固たる論拠を示すべきだ。

2013年7月29日月曜日

消費税引き上げ法附則第18条・景気条項をどう考えるか

秋口に消費税引き上げに向けて判断を下す時期が迫ってきたが、この改正消費税法附則第18条・景気条項で財務省と官邸、与野党を問わず増税反対派と賛成派の思惑の違いが出て来ているが、この附則第18条・・消費税率の引き上げに当たって、当時の民主党・野田政権での審議を思い出してみよう。

財政再建、社会保障費の恒久財源として消費税増税は自民党が早々と10%を公約に掲げ、民主党政権で財務相を経験した菅総理(当時)が参院選前に唐突に消費税引き上げ、自民党の税率10%を参考にしたいと発表し惨敗、続いてこれも財務相経験者の野田総理(当時)が財務省の援護を受け強力に推進し成立させた。自民党総裁だった谷垣さんも財務相経験者だった。

その審議過程で、増税に反対する議員達が景気条項を附則に加えることで高いハードルを築くことになった。

当然、財務省は反対だ。増税に足かせとなるし、経済成長率を数値で記すことは法律の内容にそぐわないと抵抗したが、押さえつけられる結果になり譲歩した。

当時のNHKの予算委員会の審議を聞いたが、野党議員の質問に安住財務相(当時)は「今の経済状態でも増税はGOだ」という意味の答弁をしていたのを覚えている。デフレ下でも経済は成長しているし、増税に問題はないという発言だった。

しかし、消費税増税は景気の腰を折り経済成長に支障を来すことの懸念は、今も拭えないし、十分に議論された形跡もない。

そこで今、安倍総理は「秋口に自分で判断する」と財務省の増税既定路線を制止し、財政再建に関わる「中期財政計画」も増税を前提にしない考えを示した(讀賣新聞2013.7.28)。

メデイアの報道によると、その判断時期も臨時国会前という。だとすると、国会の衆参予算委員会での審議なしに判断を下すことになるのか。

しかし、いつものことであるが、抜本的改革は後回しで国民に負担を強いることが先行する政治が続く。

この「消費税率の引き上げに当たっての措置・・附則第18条を財務省のHPから開いてみた。

その趣旨には、世代間の公平を確保するために社会保障制度改革、行政改革、財政再建、税制改革などに取り組むとし、経済状況を好転させる政策を講じることを条件に税制の抜本的改革の一環が消費税の引き上げなのだ。

今までメデイアで景気条項の問題が指摘されていたが、附則第18条を全部読んでみるのも重要だ。いずれも財務省「社会保障の安定財源の確保などを図る税制の抜本的か改革を行うための消費税法などの一部を改正するなどの法律案の概要」による。

第1項:
消費税率の引き上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施する為、物価が持続的に下落の状況から脱却および経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長のあり方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講じる。

第2項:
この法律の公布後、消費税率の引き上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応するかんてんから、第2条および第3条に規定する消費税率の引き上げに関わる改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目および実質の経済成長率、物価動向など、種々の経済指標を確認し、前項の規定を踏まえつつ、経済状況などを総合的に勘案した上で、その施行の停止を含めて所用の措置を講じる。
 
私も、まともに読んだのは初めてだ。

法律の附則にしては条文が長たらしい。こういう条文は何とでも逃げ道がある。必要な措置、所要の措置を講じるでも逃げ道はありそうだ。

第1項の名目3%、実質2%の成長が達成出来なければ経済状況は好転したと言えないのか。目指す成長率が平成32年度までの平均と言うが、そんな先のことまでどう判断するのか。

第2項でも、目標達成の為の措置を講じさえすれば増税は出来るとも解釈できる。

政府、日銀、エコノミストの一部には名目3%、実質2%の成長率の達成は可能を考えているが、民間エコノミストの多くは不可能と見ている。

安倍総理は「自分が判断する」と言うが、それは無理だろう。賛否が二分した時、どう判断を下すのか。専門家の判断に任せるだろうが、その公正を期すための方策を考えた方が良さそうだ。


2013年7月28日日曜日

消費税増税反対:野党は安倍総理に論戦が挑めるのか

消費税増税へのGO判断をする時期が迫り、麻生財務相率いる財務省と官邸の思惑の違いが目立ってきた。今回の参院選では、安倍総理は消費税増税には言及しなかったと思うが、自民党圧勝は安倍政権を支持したことになるので、消費税増税でも文句は言えない。

しかし、野党はこぞって消費税増税反対を訴え、安倍・自民党政権との政策の違いを鮮明にしていた。

街頭演説では、景気の後退を理由に挙げていたが、これから実際に臨時国会で野党は果敢に論戦を交えることが出来るのか。

論戦の舞台となる衆参予算委員会の委員数も自民党が圧倒的に多いだろう。質疑時間も与党議員は多く、野党議員は少ないだろう。

そんな状況下で、選挙戦で訴えていた消費税増税反対で安倍総理に論戦を挑むことが出来るのか。

4~6月の経済指標で景気をどう読むか。当然政府と民間エコノミストでは判断が異なるだろう。その時のせめぎ合いは出来るのか。増税しても税収は増えず、逆に減収になる危険があるが、理論的に攻めることが出来るか。低所得者対策はどうなのか。今だってアベノミクスで物価高にあるが、増税は更に生活を圧迫するのではないか。国民に代わって聞いてほしいことは沢山ある。

そして財政再建の国際公約があり、消費税増税は国際社会を説得でき、日本国債の信認を維持できる政策なのだ。

ここで「消費税増税のデメリット」「増税しないデメリット」の問題が出てくるのだ。

これはすでに民主党の野田政権時に国会審議で問題になった。

NHKの国会中継で、確かみんなの党の江田さんが、当時の民主党政権の野田総理に「消費税増税をやった場合のデメリット」について質問したとき、野田さんは「増税をやらなかった場合のデメリットも議論しなければ片手落ちになる」と応えていた。

当然の話であったが、議論はそれ以上進まなかった。国会審議というものは一から十までこんな調子だ。議論になっていないのだ。

予算委員会の委員配分がどうなるか知らないが、野党議員の質問者数、質問時間が短くなるが、質問課題が多いために「時間がないので、次の質問に行きます」式の審議では「総理出席の委員会を何時間開いた」の実績だけ残り、時間切れでの強行採決が待っているだけだ。

野党議員(勿論与党議員もそうだが)は、国民に代わって消費税増税の是非を議論するのであるから、国民が納得する審議をやってほしい。

今、野党は参院選惨敗が尾を引いてゴタゴタ続きであるが、しっかり検証し質問すべきである。

又、NHKの国会審議を聞いていると、質問者はフリップを用意してデータに基づいた質問をしており聞いていて理解できるが、安倍総理を始め閣僚、参考人の答弁は資料がないので、何を根拠にどう論じているのか分からない。

悪く言えば、早口でペーパーを早読みし、誤魔化しているのではないかと疑いたくなる。


国会審議は時間数が大事なのではない。その内容なのだ。

これでいいのか野党建て直し:民主はくすぶり、維新は橋下頼み、みんなは致命的溝

参院選で野党敗北を受け各党の立て直しが注目されていたが、主導権争いも絡んでのドタバタ劇を見せつけ、民主は内部くすぶり、みんなは致命的溝、維新は相変わらず橋下頼みで、これしかないのかとがっかりする。

こんな政党に一時とはいえ、希望を託していた国民が馬鹿だったのか。

民主党は責任をとって細野さんが辞任するが、海江田さんは「立て直しが道半ば」と言うことで続投意欲を示すが、党内では立て直し代表選を訴える者もいる。当然だろう。党員の総意も分からず、一部の国会議員の発言でシャンシャンでは理解に苦しむ。

海江田さんは何故続投に執着するのか。

そもそも、海江田さんが代表になったのは、野田さんでの壊滅的状態から立ち直る代表選で、なり手がなくて自ら手を上げただけではなかったのか。前に小沢グループに押されて代表選に望み野田さんに負けたことがある。

海江田さんが代表をやるというのであれば、それでいい程度の支持ではなかったのか。

メデイアの報道では、背後に野党再編を訴える生活の党の小沢さんの存在があるというが、政界の裏は分からない。

ここは、海江田さんの信認も含めて、出直し代表選をやるのが筋ではないのか。

維新の会は、想像どうり「橋下頼み」しかないのだ。国政政党として政策に大きな期待は禁物だ。大阪市長という立場で、国政に参加し、国会議員団と党運営で不一致が見られること自体が不自然ではないか。

大阪都構想で堺市長選、住民投票を控えているという大事な時期だ。大阪での地方政党として実績を積み上げていった方が良いのではないか。

松井幹事長は、橋下さんを「口は悪いが、心は良い」と批評したそうだが、政治家として口が悪いのは最大の欠点ではないか。橋下さんには「そこら辺の政治家とは違う」という自負が強いと思うが、その思い上がりは捨てるべきだ。思わぬところで問題発言が飛び出る。

一方、みんなの党は渡辺代表と江田幹事長の路線対立の溝が深いようだ。

政策が一致しない政界再編を嫌う渡辺さんと政界再編、野党協力関係を追求しようとする江田さんとしっくりいかないことは致命的ではないか。

その渡辺さんも一時は街宣車の上で笑顔で耳打ちしながら橋下さんと固い握手を交わしていたのは、何だったのか。橋下さんの慰安婦問題発言が出て来て歴史観が違うと維新の会と離れる結果になったが、渡辺個人商店発想と江田株式会社発想の調整をしなければ、国民の信頼を得ることが出来る政党ではないのではないか。

民主党、みんなの党、維新の会ともに混乱する野党の姿を見せつけるだけの状態ではないのか。

「これで良いのか 野党立て直し」と言いたい。

2013年7月26日金曜日

政界再編:今の野党に再編の力があるのか

2013年参院選で自民党に大負けした野党に、その責任追及と党内抗争が表面化し政界再編の動きが出ているようだが、今の野党に再編の力があるのか。

党内もまとめきれないのに、何故党を越えて結束できるのか。結局権力闘争に負けて党を飛び出し新党結成という動きは自民党時代の小沢さんを思い出すが、その時は何人も志を同じくする同志が付いて出た。

今、メデイアの報道を見ると、民主党の細野さん、みんなの党の江田さん、維新の会の松野さんらが勉強会を始めるという。勉強会を立ち上げ、志を同じくする者同志が新しい組織を作っていくのだろう。果たして何人の人間がついて行くか。

維新の会の橋下共同代表が、「自民党と対峙するには民主、維新、みんなの枠を越えなければ難しい」という意味の発言を繰り返しているが、的を得ていることは確かだが、その橋下さんも責任論がくすぶっている。

今の野党にあって主導権争いのような動きが大きいが、新党結成への主導権を握れる人材がいるのか。

党を飛び出せば身分が不安定しなり、党に籍を置いたまま活動すると分派活動のように見られる。

一層のこと、党内に不満があり、政界再編を説く人間が離党し新しい組織に結集するしかないが、政策の異なる人間が集まっても烏合の衆で笑いものになるのが落ちだ。

自民党政治に危機感を持つ政治家が出て来て、それに結集した日本新党の細川さんの事例もあるが、今そういう人材は見当たらない。

口先だけの政界再編だと自民党を利するだけの気がしてならない。

まずは、党内をまとめ、立て直す方が先決ではないか。国民の信頼を取り戻すことだ。


2013年7月25日木曜日

南海トラフ巨大地震は何時?:間近か、今世紀中ごろか、それとも200年先か

地震 第2輯第64巻2号
に掲載された総合報告
「南海トラフ巨大地震」
地震は繰り返す自然現象、南海トラフ巨大地震も必ず来るが、その日は何時か。今後30年以内の発生確率は60~70%で、いつ起きても不思議ではないと言われているが、今世紀中頃とする予測もある一方、今度は200年先ではないかという新説が出て注目を浴びている。

朝日新聞(2013.7.18)の「南海トラフ巨大地震 200~300年後」によると、東大地震研の瀬野先生が、南海トラフ関連の多数の論文を検証した結果、規模はM9以下(M8.8)で、起きるのは200~300年後だという論文を発表した。

こんな巨大地震が起きる確率が60%だといっても分かりにくいが、繰り返す地震の繰り返し間隔は数1000年、数100年の間に何回発生したかで、回数で割ればいい簡単な計算だ。すると南海トラフ巨大地震の繰り返し間隔は100~150年になり、いつ発生してもおかしくない時期に来ている。

だが、歴史に残っていない、知られていない地震があると、その数値は変わってくるし、メカニズムの違った地震が入ってきても同じだ。 

しかし、こういう数値は、まだ先だという危険が遠ざかる数値の方に惹かれやすいのは当然で、ついつい信じてしまう。

そこで、この論文を日本地震学会事務局から購入し読んでみた。「地震 第2輯 第64巻 第2号2012年1月」の総合報告に「南海トラフ巨大地震・・その破壊の様態とシリーズについての新たな考え」というタイトルの論文が掲載されている。1年以上前の論文だ。

ここで、12の南海トラフ巨大地震に関して疑問点が指摘されている。

684年白鳳地震から1361年の
正平地震までの間隔は200年
だったが、1854年安政地震から
1946年昭和地震まの間隔は90年
一つは684年の白鳳地震から1361年の正平地震までの繰り返し間隔が200年、正平地震から1854年の安政地震までの繰り返し間隔は140~210年であるが、安政地震から昭和の南海、東南海地震までの間隔が90年というのは、何が何でも短すぎないか。

最近の南海トラフ巨大地震が100~150年の間隔で繰り返すといわれていることから考えると90年は不思議ではないが、過去の巨大地震から考えるとい短すぎないかというのだ。

2つ目は、1854年の安政東海地震では駿河湾の奥まで地下のプレートが破壊したが、1944年の昭和東海地震ではここまで破壊しなかった。何故だ。

3つ目は、ゆっくり地震が2001年に浜名湖付近のプレート境界で始まったが、最近終わった。この不安定な滑りは地震を誘発するはずであるが、いつ起きても不思議ではないといわれている東海地震を起こさなかった。不思議なことだ。

これらの疑問点を解明すべく、新しいモデルを提案し、12の巨大地震の中から、宝永地震、安政南海地震、安政東海地震、昭和南海地震、昭和東南海の5つの地震の震度分布の違いを多くの関連論文から精査した。

歴史的地震を固有断層面A,B、C
D,Eに割り振り、安政型地震、
宝永型地震の2つに分類した
そして、歴史的巨大地震を安政型地震、宝永型地震に分類したのだ。

安政型地震には、684年白凰地震、1096年永長地震、1498年明応地震、1854年安政南海地震、1854年安政東海地震が分類され、間隔は400年。

宝永型地震には、887年仁和地震、1361年正平辞意sン、1707年宝永地震、1944年昭和東南海地震、1946年昭和南海地震が分類され、発生間隔は350年という。

そして交互に発生し、今度は安政型地震で1498年の明応地震、1854年の安政地震を参照すると発生年は2210年で200年先になるというのだ。

最近の地震学の成果も取り入れた解析がなされており、南海トラフ関連の多数の報文が検証され、おかしい点は除いてまとめられた論文であり、一読すべき内容だ。

100~150年間隔では、すでにいつ起きても不思議ではないが、今世紀中ごろという説もある一方で、今回の「まだ200年先」という新説でちょっとは安心するが、起きれば壊滅的被害をもたらす南海トラフ巨大地震だ。

死者32万人、経済損失220兆円と言ってもすぐには信じられない。対策を立てれば死者は5分の1、損失は半減するというのも疑わしい限りだ。

3.11東日本大震災を機に、地震学者は何かが吹っ切れたように最悪事態を発表し、責任逃れの様相を呈するが、この論文のような厳しい精査も必要ではないか。

でも、これから200年先、日本はどうなっているか。想像がつかない。

朝日新聞 2013.7.18
南海トラフ地震 200~300年後












2013年7月24日水曜日

財務省vs官邸:やっぱり揉める消費税増税のタイミング

やっぱりもめる消費税増税のタイミング、ここにきて財務省と官邸の対立が始まった。消費税増税の必要論をぶった麻生財務相に菅官房長官が異論を唱えた。8%への増税は「4月~6月の経済指標」で秋口に判断というのが既定路線であるが、その駆け引きが財務省vs官邸で始まった。

景気が好転しなければ「NO」であるが、たとえ好転の兆しがあったとしても増税へのGOは、景気回復の腰を折る危険があることは自民党・橋本政権で経験済みだ。

どっち道、「GO」判断は、厳しい選択になりそうだ。

そこで、内閣府参与は、「増税先送り」「1%ずつの段階的増税」案をブチあげる。

一方の財務省は、財政健全化→増税は国際公約であると、一歩も引けない感じだ。経済指標のデータをねつ造してでも増税するつもりだろう。

麻生財務相が増税必要論を打つのは、次回のG20で財政再建策を説明しなければならない立場にあるからだろう。

でも、絶対多数を占めることになった政権与党内でも消費税増税に反対する動きもあり、何やら民主党政権時の二の舞になりそうだ。

アベノミクスで経済は成長し、企業と家計間で所得の分配がうまくいき、税収が増える好循環を描いているが、どうなることか。

物価高、増税で家計を圧迫する危険の方が大である。

「自民のほうがマシだろう」と安易に自民党を支持した責任を国民自身が負う羽目になるのだ。


トップの責任のとり方:海江田、橋下、上村さん! 「後は任す」では駄目なのか 

民主党・海江田代表、維新の会・橋下共同代表、全柔連・上村会長の「責任の取り方」が注目されているが、「後は任す」で「さっと退く」ことは出来ないのか。辞任した後の組織の混乱を心配(?)しての続投でアルとしたら、「何か思い違い」しているのではないか。

さっと退けば無責任、居座ることで責任を持つとでも言うことか。

さっと退くことで組織は次を目指して動くはずだが、居座ることは何か利権が絡んでいるのではないかと疑われる。

それが組織の評価を落とし、再建の先送りになるのではないか。

民主党、維新の会は政界にあって巨大な力を持つことになった自民党政権と対峙する野党としての重要な役割がある。

全柔連も講道館のブランドを背負い、日本のオリンピック精神の本丸であるはずで、このような不祥事は2020年の東京オリンピック招致活動にも影響があるのではないか。

それぞれ理由は異なるが、公的立場にあって組織を引っ張って行く人間として「すっきりした対応」が組織にとってはプラスではないのか。


取り敢えず、辞任したらどうか。組織は必ず動くモノだ。

「自分しかいない」と思う人間ほど組織にとっては必要ないのだ。

2013年7月23日火曜日

国会議員って何なんだ:選挙中は集票マシーン、国会では投票マシーンか

参院選が終わって、新聞の開票速報を見ながら「国会議員って何なんだ」と思うことがある。選挙期間中は集票マシーン、国会では投票マシーン、政界の荒波を乗り越えて当選回数を重ねると運良く行けば大臣、副大臣、政務官、党の役職などの役職がついてくる。

当選の可能性があるのかどうか分からないが、多くの候補者は落選すると600万円という供託金を没収される。党から出るのだろうが、維新の会の候補者が当選の可能性がなくなり、選挙後は供託金の600万円の借金が残ることを嫌って立候補を辞退した例も出て来た。

各党ともに手っ取り早く集票出来るように、タレント、スポーツ選手、テレビ番組のコメンテーターなど知名度のある候補者をたてるが、本当に彼らに年間1億円以上の報酬を支払う価値があるのかどうかは分からない。票数を獲得でき人寄せパンダの訳詞か出来ない人材でも党にとっては利用価値があるのだろう。

選挙期間中には、党公認の候補者は、党を政策をオーム返しするしかない。自分の政策、考えは隠すので本当に何を考えているのかは分からない。

それに反して、無所属は持論をぶって元気が良い。当選するかどうかは草の根運動にかかっている。「脱原発」などは打って付けテーマだろう。

投票する候補者は、テレビなどの党首討論で党の政策を確認し、選挙区の選挙公報で党公認の候補者の公約を確認することになる。

運良く当選し、国会へ登壇できても自分の思うようには出来ないようだ。党所属の国会議員全員で十分に議論することなどなさそうだ。

民主党・野田政権の時、予算委員会で質問に立った民主党議員が「党内でも十分に議論されていない」と、消費税増税反対をぶっていた。

国会議員だからすべての政策の議論の場に参加できると思っていたが、実際はそうではないらしい。だとしたら、地元に帰って自分の専門でない政策について質問されたらどうするのか。

各種委員会、国会本会議での賛成か反対かは党議拘束がかかり、自分の判断で自由に投票は出来ないらしい。処分問題に発展し新聞を賑わすので、国民の顰蹙を買うことがほとんどだ。

又、国会議員は選挙で選ばれた全国民の代表者で、全国民のことを考えて判断すべきであるが、どうしても選挙区の事情に影響されやすい。

党議拘束もかからず、自分の考えで行動、判断できる民主政治が出来る日は来るのか。

そして今、国会議員には国会改革、政治改革の重いテーマを背負わされているが、直接我が身に関することなので、身を削る改革など一向に進まない。

安倍政権が推し進めようとする成長戦略も規制改革を必要とするが、巨大組織の官僚の利権と対峙するために不安視されている。

膨大な情報と行政力を持つ官僚組織と対抗できる能力を養ってほしいと思うが、政治資金の確保、地元対策に忙しければそれもままならない。


「国会議員って何だろう」と思っている国民も多いのではないだろうか。

2013年7月22日月曜日

明暗を分けた2,013年参院選:海江田、橋下両氏は責任を取り辞任を

惨敗の結果に苦悩する海江田
代表、橋下代表
心中は「どうすればぞくとうできるか」
を考えているのか
2013.7.22読売新聞
明暗を分けた2013年参院選、敗北の政党は責任をとることから始めるべきではないか。自民65,公明11,みんな8,共産8の党首は満面の笑み、民主17,維新8,社民1,生活0の党首は苦悩の顔、明暗を分けた参院選結果だった。

その後の各党代表の討論会を聞いても満面の笑み組と苦悩の顔組では迫力、説得力に大きな差が出ている。 

特に民主党、維新の会の惨敗は都議選から予想されていたとはいえ、対応策がなかったのかと頭をかしげたくなるが、それが代表の責任問題に関することだから容易には対応できなかったのだろう。

海江田代表は、「都議選で負ければ責任をとる」と言ってみたかと思うと、先送りし「都議選と参院選を一体で考えている」と言う。政権時の不信感が拭われていないことが敗北の大きな要因であったことは確かであるが、責任をとらない体質にも国民は不信感を募らせているのではなかったのか。

日本維新の会の不振も橋下共同代表の慰安婦問題発言が大きく影響していることは誰でも分かっていたことだ。橋下さん自身も「僕の発言、振る舞いが影響していること」を認めていた。「僕への信任のなさ」と言い、進退については執行部内で検討すると言うが、続投意見はほとんどらしい。

自民1強体制に対してがんばってほしい民主党、日本維新の会が、こんな体たらくではどうしようもない。

海江田代表も橋下共同代表も続投の気運作りではなく、自ら辞任すべきではないか。

自ら辞任しないから誰も動こうとしない。民主党には変わりをやる人材はいるではないか。

一方、日本維新の会は大変だろう。橋下人気で成り立っていた政党だから橋下さんが辞任することは、政党として成り立たなくなる。

橋下さんは辞任した後、それでも橋下さんを代表に担がなければならないのであれば仕方ないことだ。それは国民がその是非を判断すればいいことだ。橋下さん再任でも立ち直れないなら、国政政党を諦め、大阪で地方政党で出直したら良いだけのことだ。

兎に角、選挙に負ければ代表は責任を取って辞任し、ケジメをつけるべきだ。そうしないからメデイアも国民も不信感が残ったままになり、政党の立ち直りは先送りになるのだ。


自民1強体制:むしろ国民の監視の目を厳しくしなければ

今回の2013年参院選は、自民党の圧倒的強さで自民1強体制(朝日新聞2013.7.22)が出来上がった。これでねじれ国会も解消し、念願の「決める政治」「進める政治」が可能になったという。

自民1強体制、ねじれ国会解消も国民が選んだ政治体制だ。

かえって国民の監視の目が厳しきならなければならない。

本来であれば野党が結束して自民政権の監視にあたるべきだが、今回の選挙で国民の信頼が得られず、各野党自身が党内体制の強化が求められることになった。

メディアだって今までは野党のふがいなさを追求していればよかったが、これからは今まで以上に政権に対する論評、監視が重要になってくる。

そして何よりも、国民自身が政策をチェックする能力、自民政権を監視する厳しい目を持つことが要求される。

自民党政権も、何でもできる体制にもっていけたのではなく、国民の厳しい監視の目にさらされることになったことを肝に銘じ、国民目線から外れない政策の実行をすべきではないか。


2013年7月21日日曜日

参院選開票経過:驕るな自民!「悪さ加減の少ない」だけの選択なのだ

開票直後に早々と自公過半数確保を報じる
NHK参院選2013開票速報より
2013.7.21
驕るな自民! 悪さ加減の少ない選択結果なのでは。21日のNHK参院選2013開票速報で午後8時を過ぎた途端に自民15,公明1,無所属1の当確が出た。選挙前の予測通りの結果だろう。その後自民の当確数がドンドン伸びた。自公で過半数も確保できるという。

1時間過ぎの当確数は、自民61,民主11,維新6,公明10,みんな5,生活0,共産3,社民0,みどり0,無所属2で残りは23という。

自公で過半数を超え、ねじれ国会も解消になると言う。

野党はどの陣営も「厳しい戦いだった」と言い、民主党の敗因は信頼を取り戻せていなかったことに尽きるか。

それにしても野党各党の党内のゴタゴタが目立った参院選になった。今、国民は「安定な政治」を求めていたはずだが、これでは有権者の信頼を得ることは出来ない。

自民党は今は、政党の中では一番安定した政党だ。政権を託すには「悪さ加減の一番少ない」政党だ。

しかし、安倍総理の「アベノミクス」への期待が大きかったとは言え、自民党は「実感をその手に」と言うが、賃上げが家計に影響し出すのはもっと先の話だ。その間に物価は高くなり生活が圧迫される「好ましくない循環」を経験することになる。

有権者の期待に応えるには「所得の再分配」の政策が必要になる。それがなければアベノミクスも従来の経済政策と何ら変わらないのだ。

成長路線と財政健全化路線をどう両立するのか、手腕が問われるのだ。

これだけではない。エネルギー政策の中での原発の再稼働、TPP,憲法改正と課題は盛りだくさんだ。

取り敢えずは、他の党に比べて「悪さ加減の少ない政党」と見たのだ。民主党政権に期待し政権交代したが、続く党内抗争、稚拙な政権運営には失望し民主党から離れていった。

「やっぱり自民党に託すか」の感情だろう。


自公は過半数を確保し、安定的な議席を確保できたが驕ることなく国民目線から離脱することは避けなければならない。

メデイアの政党の優勢判断、候補者の当落予想:公職選挙法の精神に反しないか

メデイアや選挙プロの選挙期間中の政党優勢判断、候補者の当落予想は選挙人の自由な意思に影響を与え、選挙が公明且つ適正に行われることを目的とする公職選挙法に違反するのではないか。

今回の参院選もメデイアは自民党の圧倒的強さを報道し、選挙プロが予想する候補者の当落予想記事が週刊誌に溢れる。

過去の選挙の結果を見ても、その記事の信頼性が高いことに驚く。

でもこういった記事は、公職選挙法に言う「選挙人の自由に表明せる意思によって公明且つ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発達を期する」目的に反しているのではないか。

確か以前に、「選挙妨害だ」と政党や候補者などから苦情が出ていたことを思い出す。選挙活動の報道でも、主要政党の候補者の動きだけを報道していたが、今は同じ選挙区であれば候補者全員の動きを報道し公平さを出すようになった。

自民党が圧倒的に強いと報道されれば、「ならば野党に入れるか」、「もう決まっているのなら選挙に行く必要はない」と考えを変える有権者もいるかもしれない。

当落予想を出された候補者も戸惑うだろう。その結果を見て選挙戦術を変える候補者もいるだろうが、優勢な陣営ではたがが緩む事もあるだろう。有権者に対する対応も変わってくる。

接戦になれば選挙も違反行為が増える。果ては、民主政治の健全な発達を阻害することにもなるのだ。

メデイアも民主政治の根幹である選挙に悪影響を与える報道は控えるべきではないのか。そうしないと民主政治を蝕むことになりかねない。


[後記]

22日のメディアの報道によると、今回の参院選の投票率は50%を少し超えた程度だ。メディアが自民党優勢の予測を流したので「もう決まったのか」と投票をあきらめたのではないかという見方が出ている。

また、世論調査では「参院選に関心がある」、「必ず投票に行く」、「行くつもりだ」が高率であったにもかかわらず、50%そこそこの投票率はどう見るのか。

世論調査というサンプリング調査では、見えを張った結果なのか。

今回の参院選は、私たちの生活に大きく影響する政策が多い中で、審判に参加した率が低かったということは、民主政治を蝕むことにならないだろうか。

メディアや選挙プロの選挙期間中の予測報道に一抹の不安を感じる2013年参院選だった。

                                    (2013.7.22)

2013年7月20日土曜日

東電・福島第一原発大惨事:防潮堤をかさ上げしていたら最小限に食い止められたか

想定以上の津波の来襲で電源喪失
に至った福島第一原発
2011.4.9 見過ごされた危険
NHKテレビより
東電・福島第一原発の巨大津波によるメルトダウンに起因する大惨事は、防潮堤のかさ上げで最小限に食い止めることが出来たのか。もしそうなら、80億円という工事費をケチった為に未曾有の大惨事を起こした東電の責任、当時の管理者の責任は余りにも大きすぎないか。

復興、防災計画の遅れ、帰宅困難地域、仮設住宅住まい、分断された自治体、汚染駆除作業、そして復興予算の被災地外での使用など腹立たしいことが続く。巨大な復興計画、予算が考えられているが、北海道南西沖地震で津波被害が甚大だった奥尻島の復興を週刊誌で見ると投資する予算に反比例し、人口減で寂れている様子は復興計画の難しさを教えてくれる。

そして、最近福島第一原発事故対応に当たった吉田さんが亡くなり、その働きぶりを英雄視する記事がメデイアに載った。死人にむち打つつもりはないが、安全対策の責任が問われる人物であったことも確かだ。

3.11の東日本大震災、そして巨大津波の来襲で対応不能に陥ったとき、吉田さんは「しまった。あの時やっていれば・・」と一番責任を感じた人間ではなかったか。

東電・福島原発事故調査の報告を報じるテレビニュースを見ていた時、「防潮堤のかさ上げが提案されたが、吉田さんがそれを否定した」というテロップが流れたのを思い出す。

要は、吉田さんが本店の管理部長をやっていた時、最大で15m位の津波が押し寄せるシミュレーションが検討され工事費は80億円だったらしい。しかし吉田さんは「来るはずはない」と否定したらしい。何故だったのか。生きている内にそこのところが聞きたかった。

80億円という巨額な工事費も電力会社のやり方では電気代に賦課されるので東電にとっては痛くもないないはずだが、何故か実施に移さなかった。

考えられることは、当時地震学会では我が国ではM9クラスの地震は発生しないと言うのが通説だったことだ。吉田さんはこのことを主張したのだろうか。

英雄視するのであれば、「周りの反対を押し切って、防潮堤のかさ上げを実施し巨大津波による被害を最小限に食い止めることが出来た」ことで評価してほしかった。
更に、NHKの東電・福島第一原発メルトダウンの特別検証企画番組でも明らかになったことだが、原発という巨大設備にあって十分な訓練もされていなかったことだ。

その検証番組で学識経験者が、「ぶっつけ本番はすべて失敗だった」と言った言葉が印象的だった。

もう終わってしまったことではあるが、防潮堤を15m位にかさ上げし巨大津波に対応していれば、これほどの大惨事は防げたかどうか。

「安全とは、危険であることを知っていることだ」。吉田さんも経営者も「危険であること」を知らなかったことになる。


こういう経営体質の東電に巨大な原発施設を運転管理する資格はない。


東電・柏崎刈羽原発の再稼働に向け、「事前了解がなかった」「福島第一原発の事故調査が不十分」として新潟県知事が協議を拒否しているのは理解できる。

参院選、それでも安倍・自民党政権以外の選択肢があるのか

参院選は、安倍・自民党政権以外の選択肢があるのかと疑うほどの圧倒的強さをメデイアは報道している。今日20日、選挙戦最終日1日で番狂わせが起きる可能性はほとんどない。

「強い日本経済を取り戻すこと」、「脱デフレ」は喫緊の課題であったが、デフレ派変わって経済学では主流でないリフレ派が台頭し、大胆な金融政策、2%物価目標設定で円高、株安から円安、株高に転換し、一見アベノミクスの効果が出たように見える。

しかし、アベノミクスの副作用とも言える「ただの物価高」の様相も見え始めた。実感が見えない有権者に対して「実感をその手に」と期待を持たせる。

冷静に考えてみれば、「アベノミクス」と言って何か違った経済政策のように見せているが、従来の経済政策と何ら変わらないのだ。先の国会で民主党議員から「民主党政権時も考えは同じだ」と言う意味の質問をされた安倍総理は「では、何故やらなかったのか」と反撃していたが、民主党政権ももう一歩と言うところだったのだろう。

脱デフレの最大のテーマは「賃上げ、雇用の創出」だろう。企業と家計の間での「所得の再分配」が出来ず、長いデフレから脱却出来ていないことは、前川レポート、21世紀版前川レポートでも分かることだ。

IMFやノーベル経済学賞受賞経済学者の指摘を待たず、「所得の再分配」が重要なことは分かるが、「アベノミクス」の経済政策に欠けているのは「格差是正」「所得の再分配」だ。

安倍政権は、経済界に賃上げを要求するが、経営者は「賃上げより雇用の確保が第一」と言い、専門家も賃上げに効果が出るのは数年先と見ている。

公明党は「政労使で賃金配分のルール作りを進める」、民主党は「最低賃金上げで所得を増やす」、共産党は「内部留保を賃上げや非正規社員の正規化に活用する」、生活の党は「家計の可処分所得を10年間で1.5倍に引き上げる」、社民党は「最低賃金1000円の実現」、みどりの風は「初任給の引き上げ」などを公約に上げている(讀賣新聞2013.7.20)。

自民党の言う「実感をその手に」は、取り敢えずは大企業、高所得者層向けのキャッチフレーズなのだ。

又、選挙を間近に控えると政策も曖昧さが目立ってくる。憲法改正、TPP,原発再稼働問題では歯切れが悪い。野党は政権が取れるチャンスはないので大胆なことが言えるが政権与党はそうはいかない。

更にメデイアは「ねじれ国会」を解消し「決める政治」が出来るようになるかがポイントだという。

確かに、「決められる政治」、「前に進める政治」は民主党政権でも言われていたことだが、肝心なのは政権与党内が安定しているかどうか、政権を担う人材がいるかどうかだ。

連立政権を組めば良いではないかと言うが、考えの違う政党が政権に入りたい欲望から連立を組むことは御法度だ。何しろ訴える政策の内容が変わってきては有権者を裏切ったことになる。

自民、民主、公明、維新の会、みんな、共産、社民、生活、みどりの各党をみて「政策、政権運営を託せる政党はどの党か」を考えると、やっぱり自公と言うことになるのか。

安倍総理自身も政策を振り返り、第1次安倍政権では自分のやりたい政策を掲げて失敗したが、第2次安倍政権では政策を国民目線、国民がやってほしい政策に代えて成功したという。

参院選後の政策も「国民目線」を貫けるかどうかは疑問だろう。


圧倒的に優勢な自公連立政権を監視するためには「ねじれ国会」も最良の政治体制と思うのだが。


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2013年7月19日金曜日

米・量的緩和縮小懸念で動揺:開始する時より止める時の方が難しい

米の量的緩和縮小懸念で市場は動揺:量的緩和は開始する時より止める時のほうが難しい?。量的緩和縮小に向け、市場もFRB・バーナンキ議長も動揺している。誰が言ったか忘れたが、「開始するときより止める時のタイミングが難しい」といった中央銀行関係者がいたが、その通りになった。

バーナンキ議長は、先に「今年の秋口から緩和縮小をはじめ、来年半ばまでに終了する」という見解を明らかにしたが、今、その修正発言をしている。

メディアの報道によると、「量的緩和は米国経済にとって未だ必要なのだ」と言い、市場の動揺の鎮静化に向かったというのだ。

大量の資金が市場、新興国に流れ、新興国の経済成長に貢献する政策に慣れ親しんだ今、それを止めることへの抵抗は各方面で強い。

米国も、雇用の改善を重視している。

就業者数を20万人にして、19万人を超えたから縮小を始めると言ったが、これでは回復力は弱いのだ。

クルーグマン教授は、クルーグマン・コラム(朝日新聞)で、20万人を目標に、19万人を超えたから縮小を始めてはダメで、30万人を目指すべきだとバーナンキ議長を批判した。

米国の失業率は一時9%あったが、今は7.5%ぐらいだろう。これを7%まで落とすというが、ほとんど無理ではないかとみている専門家もいる。確か6.5%を目指すといったこともあったのではなかろうか。

これが、「緩和策の縮小は景気回復の状況を見てから」と方針変更になったのではないか。ということはしばらくは量的緩和を継続するということだ。

そのうちに、バーナンキ議長の任期問題が出てくる。

確かに開始する時より、止める時のタイミングが難しい。

わが国でも先の国会で「2%物価目標」に対して、野党議員から「止める時は、2%を超えた時か、超える可能性が見えてきた時か」と質問した。安倍総理は「専門家に任せる」とは言ったが、「過去の日銀は早々と止めて、成果が出なかったことがあった」と日銀をけん制していた。

過去に金利上げに踏み切って失敗したときのことを言っているのだろう。

わが国も量的緩和縮小ではひと悶着あるだろう。慣れ親しんだ政策を変更するのであるから当然なのだが、政策を開始する時は止める時の条件をしっかり決めておくことも必要だ。そして政策がブレないことだ。

早く、金融政策も正常な状態に戻してほしいものだ。

2013年7月18日木曜日

富士山大噴火の前兆か:7月17日22時34分山梨県東部・富士五湖地震M3.9、震度3

今の富士山は、1707年の宝永大噴火の前の状況に
良く似ているという 巨大地震の発生で一気に噴火する
危険があるという
箱根大湧谷から富士山を望む
地震情報 17日フジテレビ
富士山大噴火の危険が迫っているのか、7月17日22時34分、山梨県東部・富士五湖を震源とするM3.9,震度3の地震が発生した。テレビでの地震情報を見て、急いで気象庁地震情報を見た。

地震情報によると、震源域は山梨県東部・富士五湖、北緯35.5度、東経139度で、深さは浅く約20km、M3.9で、震度3は相模原緑区中野、大月市、長野県、群馬県でも震度1を観測している。

今回の震源域は富士山の北東約30km、3.11の東日本大震災後の3月15日にM6.4の地震が発生したのは南南西に約20kmの富士宮市、10日にはM3.9、震度4の相模湾地震が発生している。いずれも富士山に近い。

気象庁地震情報
注目すべきは、東日本大震災直後の富士山の状況は、1707年の宝永大噴火と同程度の力を受けていたが、マグマかガス量の不足で大噴火には至らなかったという報告がされていた。

日本気象協会tenki.jpで山梨県東部・富士五湖を震源とする地震情報を見た。2013年に入っては2月、4月、7月の3回でM2~3.9を観測しているが、2012年は17回で、1月29日には3連続で観測された。

ところが、今、富士山は重大な噴火リスクを抱えていることを産業技術総合研究所の研究チームが発表した(ZAKZAK  巨大地震が引き金となる火砕流の恐怖 2013.7.17、MSN産経ニュース 富士山、ひびが入れば噴火? 巨大地震引き金に 2013.7.16)。

それによると、チームは現在の富士山が1707年の宝永噴火直前の状態とよく似ている。約300年間のマグマがたまり続けていると警戒を呼びかける。富士山の地下には、マグマが通った後、冷えて固まった堅い岩脈が多数走っているが、地震による地殻変動で隙間が出来れば一気に噴出する危険があるという(msn産経ニュース)。

テレビの情報番組でも、噴火口は頂上や宝永ばかりでなく100カ所ぐらいあるそうだ。それだけ過去には噴火している活火山なのだ。

2年前の震災が、富士山の火山活動に影響を与えた可能性は捨てきれない。2011.3.15のm6.4の地震発生後も富士山周辺では地震が頻発しているし、富士山の深部では低周波地震も起きている。岩脈が緩んでいるかもしれないので、M9クラスの南海トラフの巨大地震が起こればリスクは一気に高まる(zakzak)。

相模湾、伊豆半島周辺など富士山に近い周辺部の地震は要警戒なのだ。そういう意味での山梨県東部・富士五湖地震も注目すべきだろう。

富士山噴火による降灰は甚大な被害をもたらすことは過去の事例で分かっているが、今起これば交通インフラの破壊、東京を含む首都圏は完全に麻痺することは明らかだ。更にこれほど発達した電子機器をつかったシステムの崩壊は想像したくないほどのダメージを日本社会はおろか、世界経済へも及ぼすのだ。


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2013年7月17日水曜日

参院選投票率:40%台の低調か、50%台か、それとも70%を超えるか

参院選の投票率は過去に例のある40%台か、50%台か、それとも70%を超えるか。今回の参院選は自公が圧倒的に強く、ねじれを解消できる勢いだという。一方の野党は自民党との対決姿勢を崩さない共産党を除いては、特徴を出し切れず伸び悩んでいる。

こんな自民党の一人勝ちでは、投票に行っても仕方がないと、投票率は40%台の低調に終わるだろうか。

民主主義では、選挙こそが政治に参加できる手段であり、政治の核心部分だが、その投票率が最近低下傾向にある。

民主主義政治の正当性が蝕まれている状況だ。

読売新聞(2013.7.17)の世論調査では、「今度の参院選に関心がある」が74%と高率で、「投票に必ず行く」も65%だ・

安倍内閣支持率も下がったとはいえ、依然高率を維持し、自公優勢で「ねじれ」も解消できる予想だ(読売新聞2013.7.17)。

だが、朝日新聞(2013.7.15)の世論調査では、自民党が単独で過半数を占めることに47%のひとが反対し、賛成36%を上回っている。

安倍内閣の政策を支持しながらも、自民党が単独で勢力を持つことには抵抗しているのだ。

選挙では、政権、政党はこれからの日本のあるべき姿、経済成長、社会保障制度、消費税増税、原発再稼働などエネルギー政策、TPP、憲法改正など国民を拘束する政策を打ち出し、有権者はその選択を迫られている。

あらゆる政策が私たちの生活に大きく影響するないようであるだけに、一人一人が責任をもって審判を下さなければならないのに、投票所に行かないことは政治に参加する権利を放棄したことになる。

70%以上の高率の投票で、安倍政権の政策、野党各党の政策に対して「YES」か「NO」の意思表示をすべきだ。



2013年7月12日金曜日

景気回復宣言:日銀の「狂った果実」か

今の景気回復宣言は日銀の「狂った果実」か。11日の記者会見で黒田・日銀総裁は「経済は日銀の想定した方向で動いており、「緩やかに回復しつつある」」と景気回復(?)を宣言したが、経済成長で私たちが「望んでいる果実」と同じなのか。何故か、「狂った果実」のようにも思える。

安倍総裁の「アベノミクス」で私たちは賃上げ、雇用の創出で内需拡大し日本再生を目指すのだ。

黒田総裁は「緩やかな回復」の根拠に、設備投資、住宅が持ち直し、個人消費も底堅く推移しているという。しかし、所得ではボーナスは増えているが所定内賃金は上昇していないと言う。肝心の賃上げは春闘でやるので、直ぐには上がらないだろうと見ている。

残念なことだが、現金給与は24万1691円で減少傾向にあるのだ。

雇用面では選挙での党首討論で、安倍総理は失業率は4.1%で横ばい、有効求人倍数は0.9倍でリーマンショック前になったと言い雇用面での改善を主張している。

財界も賃金は確実に伸びていくと言うが、雇用を守ることが先決で、賃金は後になると言う。

賃上げか雇用かと言うことになると、雇用かもしれないが雇用形態は大丈夫なのか。身分の不安定な非正規従業員数が伸びたのでは意味がないと思うのだが。

雇用回復はアメリカでも問題になっている。クルーグマン教授がクルーグマン・コラムで、雇用統計も19万人を越え20万人に近づいたが、これでは不十分で30万人を越えないといけないと言う。それには「何をすれば完全雇用に戻れるのか」と考えるが、雇用創出計画も出ないだろうと言う(朝日新聞2013.7.11)。

そして更に、FRBは積極的に量的緩和をとるどころか、「縮小」を口にし害を及ぼしつつあるとまで言う(同上)。

クルーグマン教授は、日銀のように積極的は金融政策を維持しなければならないのだという。

そのFRB・バーナンキ議長も11日、金融緩和をしばらく続けると講演したニュースがテレビで流れた。つい先日は今年秋口に緩和縮小始め、来年半ばに終了すると言ったばかりだ。

中央銀行の金融政策が難しくなってきた。市場をコントロール出来なくなってきたのではないか。

ところで、今回の日銀の景気回復宣言には、何かしら政治臭がしないか。安倍自民党を後押ししている感じが強い。「緩やかな回復」という表現は、後になっていかようにも変更できるギリギリの表現だ。

一方、民間の見方はどうか。

政府や日銀の見方とは反対に、民間は厳しい見方が主流だ。日銀の「2015年度物価目標2%の達成は可能」とする意見に対して、賃金は上がらなければ物価も上がらない。「実現は厳しい]と見ている、

日銀の「景気回復宣言」が「狂った果実」でなければ良いのだが。


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2013.7.5投稿
参院選で問い直そう:自分にとって成長とは「どんな果実」「どんな社会」かを


2013年7月11日木曜日

参院選、選ぶ政党は

参院選、どの政党を選ぶか。ますます1強8弱の様相を呈してきた。自民党の圧倒的強さに、もう諦めた有権者も入るのではないか。テレビ各社の報道番組「9党党首討論」では、各党の主張点をフリップに書かせたりして討論に入っていく。

各党首の主張を挙げてみる。

自民党は、安倍さんが自らのアベノミクスの成果を説く。経済成長は-3.5%から+4.1%に転じた。税収も1.3兆円増加、年金運用も株高で11兆円にもなったと最近の経済好転を主張し、「実感をその手に」と支持を訴える・

民主党は、海江田さんが自民党政権の暴走にストップをかけ、賃金格差の是正を訴える。野党第1党としての立場を確保したいようだが、劣勢は否めない。

日本維新の会の橋下さんは、株価も上がり日本経済も回復してきた。既得権打破で競争力を高めるという。

公明党の山口さんは、国民目線に立ち、安定を勝ち取る。これが公明党の役目だという。自民党の一人勝ちに埋もれ気味の公明党だが、政権与党としての役目を訴えたいようだ。

みんなの党の渡辺さんは、闘う改革で名目4%成長を目指し、成長果実をみんなで分けると主張する。ここがわが国のデフレ脱却に大事な点なのだ。

生活の党の小沢さんは、格差が目立つが「いのち」「くらし」「地域」を守る。政治、行政、経済で大改革をすると訴える。民主党マニフェストに似た項目を挙げるが、すでに過去の人との評価を勝ち取ってしまった。

日本共産党の志位さんは、「ねじれ国会解消」というが、ねじれているのは国民と自民党の間ではないかと指摘し、「国民の声で動く新しい政治」を提案する。

社民党の福島さんは、強い国より、やさしい社会の構築を訴え、賃上げで景気回復を主張する。自民党の憲法改正、国防軍構想に反対しているのだ。

みどりの党は若者や女性の幸せを重点に、健やかな日本を取り戻すと言い、260兆円(企業の内部留保)を現場に配れと主張する。

日本のデフレは「雇用化、賃金か」と聞かれ賃上の低下を選んだ結果、雇用システムは崩壊し、デフレとなった。デフレ脱却は「所得の再分配」が必要だが、安倍総理の「アベノミクス」には欠けている。

みんなの党、社民党、みどりの党が、所得の再分配に言及したが、やっぱりここは自民党が提案しなければ、脱デフレもうまくいかず、「アベノミクス」は従来の経済政策と変わりはないのだ。

それでも何故か、選挙前の予想では自民党が強い。自民党幹部は「締め付け」に躍起だ。一方の野党は獲得議席数はシングルだ。むしろ責任問題に発展する可能性も出てきて、「1議席でも多く」の発言が多い。

すでに負け戦なのだ。

ところで、街頭演説で民主党の海江田さんが面白い演説をしたそうだ。

読売新聞(2013.7.11)によると、デフレはお年寄りにとっては居心地がいい。モノの値段が下がり、年金をある程度持ったお年寄りは歓迎すべきだ」という内容らしい。

デフレ脱却は民主党政権時でも重要な課題であったが、日銀との調整がうまくいかず、末期まで手の打ちようがなかった。

ところが、アベノミクス、日銀の異次元の金融緩和で円安、株高基調に転じ、食料、電気代などの値上がり、市場にあふれたカネでバブルを呈してきた。これを「アベノミクスの副作用」として訴えるためにデフレ擁護の発言になったのだろう。

投票まで後10日、近くで街頭演説があれば聞きに行こうと思うが、難しい選択になりそうだ。

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2013.7.2投稿
自民か、野党か:参院選への難しい選択







2013年7月10日水曜日

関東大震災が近いのか:10日午前0時21分、相模湾地震M3.9、震度4発生

関東大震災震源域は沖合い約40km
小田原城天守閣から
M7クラスの関東大震災が近いのか。10日、午前0時21分頃、相模湾を震源とするM3.9,湯河原で震度4を観測したというニュースを讀賣新聞(2013.7.10)で知った。

当日はTBSのニュース23で党首討論を見ていたが、面白くなかったので途中で止め、寝ている時間なのでテレビで地震情報が流れたかどうかは知らないが、最大震度4から考えると流れたのだろう。

気象庁地震情報
10日朝、気象庁の地震情報を見た。7月10日00時25分発表の情報を見ると、震源域は北緯35.1度、東経139.1度、震源の深さは約10km、M3.9で、震度3が熱海市、震度2が網代、震度1が伊東市、下田市などだ。

新聞では震度4が湯河原町、震度3に小田原市、箱根町、真鶴市などが加わっている。

今回の震源地は熱海沖のようだが、東に約35kmの北緯35.1度、東経139.5度は1923年9月1日11時58分に東京大学理学部地震学教室の地震計を大きく動かした関東大震災の震源域でもある。

首都圏直下型地震の代名詞のように言われている関東大震災は南海トラフ上で発生した巨大地震なのだ。

つい最近も相模湾を震源とする地震の発生があったような記憶があるので、日本気象協会の相模湾を震源とする地震情報をbousai.tennki.jpで調べると、今年5月15日に発生していた。遡ると2012年1月25日M3.7、2009年4月29日M2.4,2009年2月12日M3.1、2008年11月11日M3.3,2008年8月1日M2.6,2008年7月25日M3が観測されていた。

2012.1.25の相模湾地震
の震源域は関東大震災の
震源域と重なる
このうち2012年1月25日13時16分に発生した相模湾地震は1923年9月1日の震源域に重なるのだ。

今、地震学者は南海トラフ関連の巨大地震に注目するが、相模トラフ関連の地震もM7クラスの首都直下型地震の一つとして注目されている。

ところで次に関東大震災M7クラスの地震が発生するのはいつか。
1703年の元禄地震M7.8,1855年 安政江戸地震M7.0,1923年 関東大震災M7.9から考えると100年に1度巨大地震に襲われたことになる。1923年から100年というと次は2023年頃となり間近に迫っていることになる。

ところが、再来期間を220年とする説もある。1703年の元禄地震と1923年の関東大震災の間隔だ。そう考えると2140年と言うことになる(災害社会 川崎一朗 京都大学学術出版会 2009.4.15)。

間近に迫っているのか、もう少し先なのか。確実に言えることは必ず来るのだ。

南関東周辺の「ひずみ蓄積」 元禄関東地震の後、
関東大震災が起きた領域の東側に、まだ地震が
起きていない領域がある
AERA 2013.2.25



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2013.8.6掲載
首都直下型、南海トラフ巨大地震を前震、前兆で予知できるか

2013年7月9日火曜日

野党低調:これでは参院選後の再編は難しいと見るが

都議選に次いで参院選でも自民党が70議席台を獲得する勢いで、圧倒的強さを示し「揺り戻し」の危険もあると言うが野党の低調さが目立ってきた。これでは自民党に対抗できる参院選後の野党再編は難しいのではないか。

更にその時、誰が主導するのか。そのためにも1人でも多くの議席数を確保したいのが党首の本音だろう。

民主党は立ち直りが難しい。「政権交代の期待」を裏切り、稚拙な政権運営に支持者は愛想尽かし去って行った。元首相の中国を利する発言、参院選に至っては東京地方区では候補者2人を1人に絞った結果、分裂選挙になった。今なお党内抗争の様相を呈し、海江田代表では党はまとまらないようだ。

都議選での惨敗の責任を逃れ続投が決まったが、参院選での結果では責任問題も発生しそうだ。

日本維新の会もいつまで橋下共同代表に頼らなければならないのか。今になって、「裸の王様だった」と反省しているらしいが、メデイアはとっくの昔に指摘していたのだ。新聞は読まず、YESマンだけの話で判断しているのか。

みんなの党との協力関係破棄は、橋下共同代表の慰安婦問題に関わる歴史観の違いだけなのか。街宣車の上で耳打ちしながら固い握手を何度もしていた渡辺、橋下代表の姿は何だったのか。

大阪は地方政党維新の会としての斬新さ(?)、東京は旧太陽の党の旧態依然とした自民党色と交わりにくい党なのではないか。

みんなの党も維新の会と袂を分かって以来、急な選挙戦術の変更は不利な面が多かったのではないか。ここも幹事長との主導権争いが内在しているようだ。

そんな中で、日本共産党は議席数を伸ばしている。反自民の受け皿的存在だと言うが政策はぶれていない。党名を変更すれば他党との協調も出来るだろうが、それは無理なようだ。

生活の党も「国民の生活を守る」とアベノミクス、消費税増税に反対するが、所詮は少数政党。議員数が少なければ再編の主導もむずかしいのではないか。
社民党も選挙の度に議席数を減らし、消滅の危機だろう。民主党の社民党系との合流も考えられるが出て行った連中を迎えるほどの度量はないか。

公明党も自民党と連立を組んでいるが、すべての政策に一致点があるわけではない。政権与党でありたいために自らの政策に変更を加える懸念もある。自民党も単独で強引な政権運営と見られるのを避けるために公明党に譲歩することもあるだろう。

維新の会、みんなの党も思ったほど伸びない状況下で、民主党が主導権を持って再編と言うことになるのだろうか。民主党には合意された政策をいとも簡単に破るとも見られている。そんな政党の再編話に乗るほど政治家は人が良すぎることはない。

参院選を機に、まず各党のゴタゴタを解決する方が先決だ。

それから、党単位ではなく、党内のグループが考えを同じくする他の党のグループと協力関係を築いていく。その程度からはじまるのではないか。




2013年7月6日土曜日

東電再稼動申請方針:地元反発、相変わらずの「原子力村」的経営姿勢か

再稼動申請するという東電広瀬社長
日本テレビ報道より
東電の地元の了解を後回しにした再稼働申請方針に新潟県が反発、相変わらずの「原子力村」的東電の経営姿勢に呆れかえるばかりだ。

原発1基を稼働させれば燃料費が年間1000億円浮く勘定になるらしい。東電としては3年赤字だと銀行融資の打ち切りの危機にあり、8日からの新規制基準の施行後、速やかに申請し審査を受けることが経営陣の願望で、2日の取締役後の記者会見での発表になったようだ。

当然自治体は反発したが、地元自治体間でニュアンスの違いがある。

交付金や補助金、雇用問題を掲げる柏崎市、刈羽村では、規制委員会の安全審査をクリアーすれば再稼働も了とすると言うが、新潟県はそうはいかない。

メデイアの報道によると、「東電から事前説明がなかった」、「福島第一原発事故の事故原因調査が不十分なのに何故再稼働を急ぐのか」、「不安に思っている人はいっぱいいるではないか」、「事故検証、総括も無いままの再稼働は時期尚早だ」というのが新潟県知事の主張だ。

確かに、事故原因調査は曖昧なままになっているし、安全協定で設備の増設、変更には事前了承が必要になっているが、重要施設である「フィルター付き排気設備」は事前了承なしで、テレビの報道を見ると基礎工事は終わっている段階だ。

手続き上のミスと言うが、こういう開発事業はまず地元自治体の手続きを優先し、国の審査を受けるべきであり、東電の横暴は経営感覚は「原子力村」的発想がまだ東電に残っていることを示すものだ。

東電は、福島第一原発事故から、何も学んでいないことになる。

私も東京に住んでいて、原子力発電設置の自治体の住民の犠牲の上に恩恵にあずかっていることは確かだが、個人的にはフェードアウトしかないのではないかと思う。

でも、設置の条件である自治体と約束した手続きは同時並行ではなく、段階的にクリアーしていくべきだ。県知事との会談後、「申請は難しい」と広瀬社長は言う。


あってはならない、あれほどの事故を起こしながら東電「原子力村」経営者は、何ら意識が変わっていないことに、一抹の不安を感じざるを得ない。

「アベノミクス」批判に「対案を示せ」は酷すぎないか

アベノミクスの実績(?)に胸を張る自公だが、野党は大方がアベノミクス批判に回る。それほどアベノミクスの副作用は国民生活に大きく影響しそうである。

世論調査でも要望のトップにある「景気、雇用対策」は内需拡大に欠かせないが、15年前から言われていることだがうまくいかない。その要因に「企業と家計の間の好循環」が見いだせないのだ。

つまり、「所得の再分配」が出来ないのだ。

アベノミクスにもこの政策が無い限り、今までの大企業、富裕者層を利するだけの経済政策で終わってしまうのだ。

今のままでは、「所得は上がらず、物価高」の好ましくない循環が目前に迫っている感じもする。

そこで、野党や野党候補者は「アベノミクス」批判を繰り出すが、これに対して政権与党やメデイアは「対案を示せ」と迫る。「対案を示さず、何を言うか」ということだ。

確かに、対案が示せなければ、批判も説得力が無い。

しかし、野党や一候補者にそれを求めるのは酷な話だ。

寧ろ、安倍政権、政権与党が批判、「副作用に対して、どういう対策を立てるか」を示し、有権者の懸念を払拭するのが筋ではないか。政権与党としての度量を示すべきである。自公で過半数に迫る勢いがあるのであれば尚更だ。

「やけくそ」のように「対案を示せ、対案を示せ」では批判も出来なくなる。

有権者がどっちを選択して良いのか分からなかったら、「白票」を投じれば良いのではないか。白票の割合が大きくなれば、政権与党にも反省を促す契機にならないか。


「対案を示せ」で、アベノミクス批判を封じるのは止めた方が良い。

2013年7月5日金曜日

参院選で問い直そう:自分にとって成長とは「どんな果実」「どんな社会」かを

参院選を機に問い直してみよう、経済成長で「成長とは、どんな果実、どんな社会」か。

4日参院選がスタートした。各党党首はそれぞれの思い入れのある地で第一声を発した。5日のメディアは、自公が過半数を取れるかどうかが焦点だという。

一方、「アベノミクス」も政権がいう「本作用」と批判派がいう「副作用」が入り乱れての評価を受けることにもなる。

折しも、日銀が「地域経済報告」を公表し、9地域中8地域で景気判断を上方修正した。賃金と雇用への波及効果に懸念があるが、「景気は回復しつつある」と判断したのだ。

何やら、安倍政権の経済政策を援護しているようにも見える。

しかし、ここは真剣に「成長とは何か」、「どんな社会」を望んでいるのか、1人1人がよく考え、どの政党、どの候補者に政治を託すべきか判断すべきだ。

福沢諭吉が言ったといわれているが、「政治は悪さ加減の少ない選択」という。すべてが良くはならないだろうが、悪さ加減の少ない選択をすべきだろう。


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2013.7.4投稿
不完全な経済政策「アベノミクス」:日本経済再生には「所得の再分配」が必要

2013年7月4日木曜日

不完全な経済政策「アベノミクス」:日本経済再生には「所得の再分配」が必要

日本経済再生には「所得の再分配」が必要なのだが、再分配策の欠ける「アベノミクス」は不完全な経済政策と言える。鳴り物入りで始めた安倍総理の経済政策「アベノミクス」も市場が反応し、円高、株安から円安、株高基調へ変わっていった。

各種メデイアの世論調査でも「景気、雇用]が最優先課題であり、公開の党首討論でもそこに話が集中する。しかし、時間が経つうちに輸入品の値上げによる食料品、電気代の値上げが家計を圧迫するようになり、バブルとともにその「副作用」が大きく議論されるようになった。

NHK のインタビューで「アベノミクス」の評価を聞かれ、安倍総理は66点と書いた。自民党のポスターにも「実感をその手に」と書かれているように、一部大企業は別として中小企業、小規模事業所には実感がない。安倍総理や政権はそのうちに津々浦々まで実感出来るようになるという。

今発生している「好ましくない現象」も「調整局面」と意に介さない。野党や巷間の経済学者の懸念など表向きは無視しているようだ。

党首討論でも自民、公明はアベノミクスを評価するが、維新の会、みんなの党はある程度評価するも、他の野党は批判的だ。

アベノミクスを評価する海外の著名な経済学者も、「賃上げ、雇用の確保が重要だ」と指摘し、アベノミクスに欠けているのは格差是正と所得の分配だというのだ。

「日本を取り戻す。」、「日本経済の再生」を掲げるのであれば、「所得の再分配」は喫緊の政治課題なのだ。

思い出してみよう。86年の前川レポート、福田政権時の21世紀版前川レポートを。

日本経済は若返り、構造改革で内需拡大の必要性を訴えた。しかし、企業は利益を上げながら家計に所得が十分に分配されず、個人消費も盛り上がりを欠いたまま内需拡大は覚束ない。

21世紀版でも、成長の果実の配分に関する考え方を「人為的、政策的に決めることには賛成できないという声が強かったという(朝日新聞2008.7.3)。
何時の時代にも、企業と家計の間での好循環」がないのだ。グローバル化で輸出で収益は上がるが、中国、韓国、東南アジアなどと競争するには人件費を抑制しなければならない。賃上げに消極的なのだ。

デフレの要因なのだ。15,6年デフレから脱却出来なかった原因に人件費の抑制があったのだ。

アベノミクスの効果も、実感としては賃上げ、雇用増が手に取るように分かることで、安倍総理は経済界に賃上げや最低賃金の改善を要求するが、企業家は動きが鈍い。麻生財務相は「43%が無借金経営、内部留保は280兆円に達する。おカネを使え」という。

でも長い年月、デフレ下で収益を上げ、人件費を抑え、巨額な内部留保に慣れきった企業に構造改革が出来るのか。

経済成長とは、「どんな果実」「どんな社会」なのか。成長の意味を問い直す時ではないか。

アベノミクスも第4の矢「財政健全化」、第5の矢「所得の再分配」を放つときではないのか。

「所得の再分配」が出来なければ、安倍総理のアベノミクスも大企業、富裕者層を利するだけの従来の経済政策と変わらないのだ。

「給料は上がらず、物価だけが上がる」悪いい循環だけは避けなければならない。


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