日本経済再生には「所得の再分配」が必要なのだが、再分配策の欠ける「アベノミクス」は不完全な経済政策と言える。鳴り物入りで始めた安倍総理の経済政策「アベノミクス」も市場が反応し、円高、株安から円安、株高基調へ変わっていった。
各種メデイアの世論調査でも「景気、雇用]が最優先課題であり、公開の党首討論でもそこに話が集中する。しかし、時間が経つうちに輸入品の値上げによる食料品、電気代の値上げが家計を圧迫するようになり、バブルとともにその「副作用」が大きく議論されるようになった。
NHK のインタビューで「アベノミクス」の評価を聞かれ、安倍総理は66点と書いた。自民党のポスターにも「実感をその手に」と書かれているように、一部大企業は別として中小企業、小規模事業所には実感がない。安倍総理や政権はそのうちに津々浦々まで実感出来るようになるという。
今発生している「好ましくない現象」も「調整局面」と意に介さない。野党や巷間の経済学者の懸念など表向きは無視しているようだ。
党首討論でも自民、公明はアベノミクスを評価するが、維新の会、みんなの党はある程度評価するも、他の野党は批判的だ。
アベノミクスを評価する海外の著名な経済学者も、「賃上げ、雇用の確保が重要だ」と指摘し、アベノミクスに欠けているのは格差是正と所得の分配だというのだ。
「日本を取り戻す。」、「日本経済の再生」を掲げるのであれば、「所得の再分配」は喫緊の政治課題なのだ。
思い出してみよう。86年の前川レポート、福田政権時の21世紀版前川レポートを。
日本経済は若返り、構造改革で内需拡大の必要性を訴えた。しかし、企業は利益を上げながら家計に所得が十分に分配されず、個人消費も盛り上がりを欠いたまま内需拡大は覚束ない。
21世紀版でも、成長の果実の配分に関する考え方を「人為的、政策的に決めることには賛成できないという声が強かったという(朝日新聞2008.7.3)。
何時の時代にも、企業と家計の間での好循環」がないのだ。グローバル化で輸出で収益は上がるが、中国、韓国、東南アジアなどと競争するには人件費を抑制しなければならない。賃上げに消極的なのだ。
デフレの要因なのだ。15,6年デフレから脱却出来なかった原因に人件費の抑制があったのだ。
アベノミクスの効果も、実感としては賃上げ、雇用増が手に取るように分かることで、安倍総理は経済界に賃上げや最低賃金の改善を要求するが、企業家は動きが鈍い。麻生財務相は「43%が無借金経営、内部留保は280兆円に達する。おカネを使え」という。
でも長い年月、デフレ下で収益を上げ、人件費を抑え、巨額な内部留保に慣れきった企業に構造改革が出来るのか。
経済成長とは、「どんな果実」「どんな社会」なのか。成長の意味を問い直す時ではないか。
「所得の再分配」が出来なければ、安倍総理のアベノミクスも大企業、富裕者層を利するだけの従来の経済政策と変わらないのだ。
「給料は上がらず、物価だけが上がる」悪いい循環だけは避けなければならない。
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2013.7.5投稿
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