今の景気回復宣言は日銀の「狂った果実」か。11日の記者会見で黒田・日銀総裁は「経済は日銀の想定した方向で動いており、「緩やかに回復しつつある」」と景気回復(?)を宣言したが、経済成長で私たちが「望んでいる果実」と同じなのか。何故か、「狂った果実」のようにも思える。
安倍総裁の「アベノミクス」で私たちは賃上げ、雇用の創出で内需拡大し日本再生を目指すのだ。
黒田総裁は「緩やかな回復」の根拠に、設備投資、住宅が持ち直し、個人消費も底堅く推移しているという。しかし、所得ではボーナスは増えているが所定内賃金は上昇していないと言う。肝心の賃上げは春闘でやるので、直ぐには上がらないだろうと見ている。
残念なことだが、現金給与は24万1691円で減少傾向にあるのだ。
雇用面では選挙での党首討論で、安倍総理は失業率は4.1%で横ばい、有効求人倍数は0.9倍でリーマンショック前になったと言い雇用面での改善を主張している。
財界も賃金は確実に伸びていくと言うが、雇用を守ることが先決で、賃金は後になると言う。
賃上げか雇用かと言うことになると、雇用かもしれないが雇用形態は大丈夫なのか。身分の不安定な非正規従業員数が伸びたのでは意味がないと思うのだが。
雇用回復はアメリカでも問題になっている。クルーグマン教授がクルーグマン・コラムで、雇用統計も19万人を越え20万人に近づいたが、これでは不十分で30万人を越えないといけないと言う。それには「何をすれば完全雇用に戻れるのか」と考えるが、雇用創出計画も出ないだろうと言う(朝日新聞2013.7.11)。
そして更に、FRBは積極的に量的緩和をとるどころか、「縮小」を口にし害を及ぼしつつあるとまで言う(同上)。
クルーグマン教授は、日銀のように積極的は金融政策を維持しなければならないのだという。
そのFRB・バーナンキ議長も11日、金融緩和をしばらく続けると講演したニュースがテレビで流れた。つい先日は今年秋口に緩和縮小始め、来年半ばに終了すると言ったばかりだ。
中央銀行の金融政策が難しくなってきた。市場をコントロール出来なくなってきたのではないか。
ところで、今回の日銀の景気回復宣言には、何かしら政治臭がしないか。安倍自民党を後押ししている感じが強い。「緩やかな回復」という表現は、後になっていかようにも変更できるギリギリの表現だ。
一方、民間の見方はどうか。
政府や日銀の見方とは反対に、民間は厳しい見方が主流だ。日銀の「2015年度物価目標2%の達成は可能」とする意見に対して、賃金は上がらなければ物価も上がらない。「実現は厳しい]と見ている、
日銀の「景気回復宣言」が「狂った果実」でなければ良いのだが。
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