2014年10月2日木曜日

アベノミクスの欺瞞(1):「財政再建か、経済成長か」でも、待っているのは円安不況か

安倍総理のアベノミクスの化けの皮もはがれてきたか。「財政再建か、経済成長か」と言っても待っているのは円安不況だ。臨時国会での所信表明で封印されていた消費税増税10%をめぐる賛否で、急激に進む円安、景気回復への足の鈍さから「財政再建か」、「経済成長か」が議論されだした。

しかし、どちらにしても待っているのは円安による経済不況で安倍総理の退陣しかないのではないか。

安倍総理はマネタリーベース増加派の主張に乗って自民党総裁時「思い切った金融政策」を訴え選挙選を戦い、市場は「口先介入だけの期待感」から円安、株高基調に転換した。それ見たことかとアベノミクスが市民権を得たのだ。

総理になった安倍さんは第一の矢として「強力な金融政策」を訴え日銀総裁を更迭してまで日銀にとっては非伝統的「異次元の金融政策」、インフレターゲットとして「2年で2%の物価上昇」を約束させた。

円安で輸出企業は潤い、株高で企業は活気づき安倍総理の「賃上げ」要求まで呑む事態になった。

続く第二の矢で財政政策を打って出た。財政出動で成長路線を進めようとしたが積年の課題である財政再建が海外からも強く要求される事態になり相反する政策を日本再生の両輪として財政再建と同時に経済成長を目指すことになった。

しかし、財政出動では国土強靱化にかこつけての公共事業の増加、バラマキ財政で予算案は101兆円を超えている。このままでは赤字財政の積み上げだ。

一方、財政再建策では消費税増税しかない。相変わらずの大企業、富裕層向けの政策で国民には負担を強いる。

財政再建派は、法に則って消費税10%に上げなければ国際信用はがた落ちで国債の下落は計り知れない影響を日本経済へ及ぼすと警告する。

自民党の野田税調会長は10%への引き上げについて「引き上げなかった場合のリスクは10倍で、成長に悪影響を及ぼすことのないように手立てを講じながらやっていくのが良識的な立場だ」とBS11番組で発言したそうだ(msn2014.10.2)。

「今のタイミングでは増税は無理だが、更なる量的緩和も視野に入れ増税を強行せよ」と言っているようなものだ。財務相は更なる補正予算の必要性に言及した。

又、円安による今の物価上昇を「経済の悪循環」とみていたが、日銀は「前向きな循環メカニズム」が働いていると正常な状態だという。

黒田総裁は消費税10%を目指せと言うが、景気に心配があれば更なる量的緩和など「何でもやる」と言い切った。

しかし、海外のエコノミスト誌は一様に消費税増税へ慎重論を展開し、延期すべきだとの論調だ。増税を後押しする日本のメデイアとは大違いなのだ。

また、第三の矢の成長戦略は特に妙案はなく、逆に族議員、既得権益者の強力な反対に遭い、岩盤規制への改革を訴えているがどうなるか。

アベノミクスは結局は円安を導いているが、今急激な円安で「良い円安か、悪い円安か」の瀬戸際だ。

円安による物価上昇、消費税増税による景気後退での対応は量的緩和しかないのであれば、待ち構えているのは円安続伸による「円安不況」で日本経済は混乱を極めるのではないか。

あれだけ円安、円安と言っておきながら、いざ円安になると「急激な円安」で経営が厳しいと日本商工会議所会頭がいう。

誰かが言っていたが、購買力平価で為替を判断すると「1ドル105107円」だという。そして今110円を超えようとしている。

安倍総理か、麻生財務相あるいは黒田日銀総裁は「最適レベルは1ドル107円」と言えば市場もしばらくはその辺で落ち着くだろうが、そのレベルを超えてしまっては効果がない。

米国経済の景気は良さそうで、FRBも量的緩和を終了し、利上げで正常な金融政策にもどろうとしている。

今後もドル高、円安基調に変わりはないだろう。

日本を待ち受けるのは「円安不況」だ。


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