戦後最大の山の事故となった御嶽山噴火、そして続いて起こるかもしれない富士山噴火、首都直下地震が心配になるが、この「大地動乱の時代」にどうやって情報を得、被害を最小限に食い止めるか。2人の先生の貴重な提言に耳を傾けるべきである。
1人は京大の鎌田浩毅先生、もう1人は寺田寅彦博士だ。
鎌田先生は、サンデー毎日(2014.10.26)の「緊急報告 火山列島 大変動」で、自然災害で不意打ちを防ぐには普段から知識を持ち、災害に巻き込まれる確率を減らす努力が肝要だが、「その知識に全面的に頼ってはならない」と相反することを言う。
「知識は集めても全面的に信用するな」というのだ。
今回の御嶽山噴火事故でよく分かる。気象庁は火山性微動はあるが噴火警戒レベルは1(平常)を維持した。しかし噴火が起こってしまった。噴火警戒レベルの設定が追いつかないことがあるのだという。
確かに気象庁の情報では噴火警戒レベル1だったが、火山性微動も観測されたのだから信用せず火口付近には近づかないことが大事だったのではないかと言うことなのだ。
天気も良いし、3000mクラスの山では登りやすく紅葉も見頃だ。登りたい気持ちは分かるが注意が必要だったのではないか。
もう一人、寺田寅彦博士は随筆「小爆発二件」で、「正しく恐れることの難しさ」を説いている。
それによると、昭和10年8月、軽井沢に滞在していたとき4日と20日の2回続けて浅間山が噴火を経験した。丁度帰京するために駅で待っていると、登山道から降りてきたばかりの学生に駅員が「どうだったか」と聞いていた。学生は噴火したときにはすでに麓近くまで降りてきていたようで、「何のことはなかった」という。その時別の4人連れの登山者が登山道を登りかけていた。
学生が「何でもないですよ、大丈夫ですよ」と言うのを聞いて駅員が「いや、そうではないです そうではないです」という。その情景を見て博士は「ものをこわがらな過ぎたり、恐がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなか難しいことだと思われた」と随筆に書いている。「正当に怖がることの難しさ」を問うたのだ。
2人の識者の提言に同感だ。
しっかり情報(知識)を集め、頼るのではなく自分で吟味し、その怖さを正しく評価し危険を回避する姿勢を今から身につける必要があるのだ。
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