自民党で消費税増税に向け賛成派と延期派が会合を開き、それぞれの立場を主張した。争点は「アベノミクスでデフレが脱却出来るか」だが、決断が迫っている消費税増税がどう影響するかの見通しが異なっているのだ。安倍総理は7~9月の消費者物価指数など諸々の経済状況を参考に慎重に検討するという。
ところが、10月の月例経済報告では景気判断を2か月連続で下方修正した。消費の低迷で生産活動に弱さが見られ「緩やかな回復基調が続いている」としながらも「一部に弱さ」を「このところ弱さ」と表現を変えた。
1回目の消費税増税による消費の回復が当初政府の想定していたより遅れており、2回目の増税に危険信号が付いたのだ。
朝日新聞の「経済気象台」で、スズメバチを例に挙げ「1回目より2回目の方が効く」と消費税再増税に警鐘を鳴らす。
米国は日本の景気腰折れを危惧し「経済成長路線を目指せ」というし、海外の経済誌は挙って消費税増税に反対する。G20で麻生財務相は「アベノミクスで脱デフレを目指す」というが日本のリセッションが心配されているのだ。
ところで、自民党の増税派と延期派はどう主張しているのか。
増税派は法律で決まっているのだから粛々と進めるだけだ。増税分は全て社会保障に使うので財政再建にも寄与する。延期した場合の市場の動きが心配でリスクが大きすぎる。そして「アベノミクスは失敗した」とみられるのを警戒する。
自民党・谷垣さん、民主党・野田さん、公明党・山口さんは消費税増税で3党合意した張本人だから法律に則り増税を主張する。でも附則の景気条項も法律ではないか。こちらも真剣に検討しなければいけない立場にあるのではないか。
一方の延期派は、アベノミクスで成長基調になったがここで腰折れさせるわけには行かない。延期しても市場は失望しない。市場は良く理解しているはずだと言う。財政再建もあって増税を止めるのではなく一時延期するだけだという。
今の日本の経済状況は、4~6月期の実質成長率は-7.1%で落ち込みが大きい。株価は15000円台で政権発足時より伸びた。消費支出は増税後の買い控え もあって8月は-4.7%、輸出は円安になっても数量が増えない。賃金は確かに賃上げはあったが円安、増税での物価上昇に追いつかず、実質家計はマイナス成長の連続だ。
これだけ見ても増税しても大丈夫とは言いにくい。
おまけに今、大企業、富裕層を除き多くの国民はアベノミクスの成果に疑問を持っている。需要が少なく供給過剰でどうしてインフレになるのか。円安で輸入品の価格は高騰し物価上昇は経済の悪循環の様相を呈し先の消費税増税で生じた景気停滞の回復は遅れている。実質賃金の伸びはマイナスが続き家計収入は上がらず消費停滞は続く。
だのに賛成、反対があるのは財務省の意向を聞くか聞かないかの違いか。
財務省に踊らされるのではなく、国会で十分に審議すべきだが増税の決断は国会閉会後になるとはどういうことか。そして何故十分な審議もせずに急ぐのだ。
何か裏がありそうな気がしてならない。
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