STAP細胞の小保方さんと元経済産業相・小渕さんが引き起こした事件の共通点は、研究者として、政治家としての本質的面での脇の甘さで一気に転落の道へ走った。女性登用の機運に乗って華々しく登場したが落胆も大きかった。
ノーベル賞候補級の研究発表した若い女性研究者としての小保方さん、女性で子育て経験者、おまけに「将来の総理候補」と囃し立てられている小渕さんの経済産業相として重要閣僚への登用には驚かされたが、いろんな面で2人には共通点があり私たちにもいろんな教訓を与えてくれた。政党やメデイアの言うことを鵜呑みにせず、正当に評価することの難しさも分かってきた。
STAP細胞の小保方さんには研究者としては命である論文作成、小渕さんには政治家の資格に関する事項とも言える公職選挙法、政治資金規正法の本質的面で脇の甘さを露呈させた。考えてみれば致命傷になる事ぐらい分かっているのだが、小保方さんの記者会見での晴れがましい顔、小渕さんの緊張した就任記者会見からこういう結果になる事が予想できただろうか。
そして、私たちは2人のブランド力(?)に目がくらんだ。小保方さんはハーバード大のバカンテイ教授の指導を受けていること、小渕さんは元総理の小渕恵三さんの後継者であることで研究者の資質、政治家の資質を鵜呑みにしてしまった。
また2人は周囲の有力者の取り込みにも秀でていた。小保方さんは笹井さんの寵愛を受け、小渕さんは自民党の長老、安倍総理からの強い引きがあった。
時は安倍総理の主張する「女性の活躍」「女性の登用」に乗っかり脚光を浴びた。小保方さんは安倍総理とツーショット写真を撮る手前まで言ったが論文捏造事件でキャンセルになり安倍総理は冷や汗をかいただろう。小渕さんも組閣後の官邸での記念写真では最前列で安倍総理の左隣の場所を占めていた。安倍改内閣での目玉人事であることは明らかだった。
でも、華々しく登場した反面、転落も早かった。1か月チョットでの出来事だった。
有名になればなるほど世間の見る目は厳しくなる。
発表論文がネットでその真贋を検証できるなんて思ってもいなかった。小保方さんの論文のコピペや改ざん、捏造が指摘されたのは早かった。最終的にはNature誌への論文は撤回されたが、その間の経緯は理研が小保方さんに振り回される結果になり理研のガバナンスの欠陥もさらけ出した。
小渕さんの後援会など政治団体の収支報告に公職選挙法、政治資金規正法の違反疑惑が出て来た。週刊新潮のスクープ記事から経済産業相辞任までなったが、小渕さんは「私にも分からない」「多くのことが分からない」のフレーズの繰り返しで釈明するしかなかったのだ。今後説明責任をどう果たしていくのか。
一方相違点はあるのか。
小保方さんの「STAP細胞はあります」発言で懲戒処分が先送りになり3ヶ月かけて小保方さん自身による検証実験が行われている。11月まで続けるらしい。その結果を見て懲戒処分の検討に入るという。理研の意向に反し文部科学相、科学技術担当相の口利きで処分が先送りになった格好だ。何やら首がつながった格好だ。
一方、理研はSTAP細胞の特許継続の手続きをしたそうだが、理由は「STAP細胞の存在が否定されているわけではない」というらしい。来年3月末までに理研の検証実験が続くのだが、STAP細胞は存在しないとなれば小保方さんの研究者としての道は閉ざされるのではないか。
小渕さんはどうなるか。議員辞職しなければ厳しい追及が続くだろう。早ければ来年の総選挙で「禊ぎを」という考えもあるだろうが有権者の判断一つだ。議員に留まっても、議員を辞めても茨の道であることには変わりない。こんな旧態然としたお粗末な後援会組織しかないのであれば引退するしかないのではないか。
公人で有る限り、自分の立ち位置で信頼を落とすようなことがあってはいけないし、私たちは公人を評価するときには、ブランド(?)に迷わされず本人をしっかり見ることだろう。
しかし2人は私たちに教訓も与えてくれた。
小保方さんは今後、研究者倫理教育でSTAP細胞不正事件(小保方あるいは理研の冠がつくか)として教材を提供してくれたし、理研の組織の脆弱さをさらけ出してくれた。小渕さんは世襲政治家の是非を考えさせる機会を与えてくれそうだ。選挙に圧倒的に強いと言っても山間部の田舎選挙区だ。対抗馬と政策で切磋琢磨する機会のない政治家にはひ弱さを感じる。
私たちは、2人の事件を無駄にしてはいけない。
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