今回の東日本豪雨による大水害は多くの死者、家屋喪失、田畑の浸水となったが、被害の大きかった常総市は避難勧告の遅れなどで行政、市長の責任が追及されている。テレビでの常総市長の釈明会見は、時に記者の質問に顔色を変える場面もあった。
かろうじて避難し助かった住民も、「避難指示がなかった」、「放送はあったが何を言っているのか分からなかった」という批判が多いが、災害があるたびに言われることではないか。
「前に決壊があった場所が気になって考えがそこまでいかなかった」と担当者が弁解していたが緊急事態の時は仕方ないのではないか。誰かがハザードマップ等を見ながら全体を把握する立場にいなければならないが、それが危機管理官なのだ。
さらに現場の状況がしっかり把握できないことも次に指示を出すタイミングを失することになるのだ。
常総市長は、「決壊するとは思わなかった」、「通報がなかった」、「どこが決壊するか分からなかった」と弁解をしていた。
今回の大水害をもたらした豪雨は台風18号から変わった低気圧、台風17号による南北につながる帯状降雨域が出来たことだ。気象庁は早くから大雨の特別警報を出していた。
常総市でもハザードマップを作っていたはずだし、国土交通省は数年前に決壊場所からそう離れていない場所で決壊が起きた場合の水害のシミュレーションをしていた。テレビの報道によると浸水域がぴったり一致しているのだ。
常総市の担当者は、こういう情報を共有していなかったのか。しっかり情報を共有していたら市長にも適切な(?)アドバイスができて、早い時期での「避難勧告」ができたはずではないのか。
そして「通報がなかった」と言っていたが、確かに現場の情報は「避難勧告」を出すのに有効な手段だ。だが、通報がなかったことを理由に挙げてはいけない。
日頃から地域の自治会などと連絡を取り合うシステムができていれば情報は得られたのではないか。
更に「放送はあったが何を言っているのか分からず」状況がつかめなかったという。これは重大なことだ。災害になると雨の音、洪水の音で放送の声など聞きにくい。3.11東日本大震災の発生時、私の住んでいる東京・大田区でも防災無線で情報の提供がされていたが、家具のガタガタ揺れる音、マンションのためもあってかはっきり聞こえなかった。
方法としてサイレンを使う手がある。「こういう状況ではこう鳴らす」という約束を徹底しておくことだ。そして繰り返し訓練すること。そしてあらかじめ避難所も指定しておきどの地区はどこの避難所に避難するかを決めておきことだ。
鎌倉では由比ヶ浜に津波来襲時 の緊急事態を知らせるサイレンと 避難路、避難場所がひょうじされて いた 2015年.5月撮影 |
5月に鎌倉を歩いた時に由比ヶ浜に津波が押し寄せる緊急事態が発生した時に「サイレンで知らせる」と表示されていた。
常総市は大きな犠牲を払って緊急時の態勢の問題点が明確になった。
大事なことは役所の指示を待つまでもなく日頃から緊急時はどうするか考えておくことが大事だ。それには市内の各自治会毎のコミュニケーションが大事になる。
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