時の政権の意向に反する報道でニュースキャスターの受難が続いているが、キャスターの先駆け(?)とも言われた田英夫さんもTBSの報道番組「ニュースコープ」でのベトナム戦「北爆報道」で米の介入がありテレビから追われた。
学生時代、今から50年以上前、午後6時半からの田さんのTBS「ニュースコープ」を下宿先の近所の食堂で見ながら夕食を取っていた。どの食堂も同じようにニュースを流していたので当時は非常に人気のあった報道番組だった。
時は、ベトナム戦争で南北に分かれての熾烈な戦いをやっていた。南は米国が支援、豊富な物資で北を銃弾爆撃、ジャングルでのゲリラ戦では森林に覆われてゲリラが隠れるのを防止するために空中から枯れ葉剤を散布した。
米軍の空爆、南でのゲリラ戦の被害状況は報道されていたと思うが、北爆での被害の結果は皆目分からなかった。
そこで田さんがハノイに乗り込み米軍の北爆での被害状況を報道したのだ。当然にひどい状況だった。
学校、病院など公共の建物は破壊されがれきの山となり、負傷した子どもをだいて走り回る親、道路に横たわる負傷者の映像は目を疑うほどだったのを覚えている。
その直後だったと思う。米国から報道に対して横やりが入ったのだ。ひどい映像を流されたことに米政権は怒ったのだ。当時の駐日大使は、確かライシャワーさんだったと思う。メデイアがその時のことを報じたはずだ。
こんな状況がいつまで続くのかと視聴者は考えただろう。案の定、北のゲリラ戦が勝ち米国は撤退を余儀なくさせた。近代兵器がゲリラ戦に負けたとメデイアは騒いだ。
その米国の介入の結果、田さんはテレビから姿を消した。最後になんと言ったかは覚えていないが「歴史に残る言葉」でも言ったのだろうか。
その後、田さんは社会党の全国区候補者で出馬し当選した。私も1票を投じたことは覚えているが、国会で田さんがどんな活動されたかは覚えていない。
当時はこういった人は野党第一党の社会党から立候補する事例が多かった。今は社民党として見る影もない状態だ。
安倍政権は昨年来メデイア牽制を強め、主要なニュースキャスターは挙って第一線を離れ、局アナで報道番組を構成しようとしている。人件費の安さは局の運営に寄与するだろうが、何故か圧力に屈しているようにも思える。
最近では高市総務相が「電波止め」の可能性に言及している。報道内容に政権がいちゃもんを付けることは度々あったようだが、安倍政権では極めて多い気がする。
そのきっかけが、又TBSの報道番組「ニュース23」で安倍総理が生出演したときの街角インタビューが偏っていると安倍総理が噛みついたことだ。TBSが関係していることに何か因縁でもあるというのか。
朝日新聞(2016.2.21)の「分かる!放送法」記事中の政治の介入で田英夫さんの記事が載っていたので、当時のことを思いだし記事にした。
「公平な報道」とはなかなか難しいことであるが、メデイアの考えもはっきり報道するのが責任ではなかろうか。
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