2016年2月27日土曜日

G20での構造改革要請:相変わらずのお題目だけの経済政策なのか

G20を伝える読売新聞 2016.2.27
上海でのG20財務相・中央銀行総裁会議は中国に膨大な構造改革を求めることになったが、相変わらずのお題目だけの提言で終わりそうだ。構造改革を目指すにしても中身は不明で、おまけに記者の数を制限するなど共産党一党独裁の国らしさを覗かせコミュニケーションの難しさを思い知らされた。

現在の世界経済、市場の混乱は中国に起因する要因が多く、中国自体がどう解決していくかが課題だ。

その批判を緩和するために中国は記者会見やセミナーで「金融政策にはまだ余地があり政策手段は残されている(周総裁)」、「中国には行動するための財政的余地がある(楼財務相)」と追加緩和と財政出動を匂わす。

更に、李首相もビデオで「状況はかなり複雑化している。G20は団結を」と他人事のようなメッセージを送り中国は関係ないとでも言うのか。

確かに今の世界経済、金融市場の混乱は中国に起因する。

中国はリーマンショック直後、日本円にして52兆円という投資で世界経済をけん引したことは事実だ。「さすが中国」と高い成長率を信じたものだ。

ところが中国経済が減速に入り過剰投資、過剰雇用が明るみに出、中国バブルが始まった結果、あれだけ競って買い入れていた原油、鉄鉱石など国際商品の価格は下落、人民元も信用を落とす結果になった。

メデイアは中国経済の課題として、6.9%と成長率の鈍化、資金の中国からの流出、元安、株安を上げる。

そして、中国の構造改革として、過剰生産の解消、市場の安定化、財政出動による景気の底上げ、非効率企業の整理そして不動産市況の改善が上げられている。

そのためか、中国は世界へ向け進出を企てているが、中国が貿易による収支改善を目指せば一方の国は収支が悪化する。大気汚染は激しく、河川は汚濁、工事は安全軽視で原発や新幹線建設が出来るのか。
まず、国内のインフラ整備に財政出動したらどうか。内需拡大は世界経済に余り迷惑をかけない。

そして、日本だって構造改革が急がれるのではないか。アベノミクスも限界に来ている。既に破綻しているという専門家も多いが、何故か為政者はアベノミクスを信望する。

だとしたら、日本こそ構造改革、規制改革を進め成長路線に持って行くべきではないのか。

G20IMFは余裕のある国が財政出動せよという。

財政出動と財政再建。政権は選挙も控えてアベノミクスの成果(?)としての税収増分を公共投資などに持って行きたいようだが念願の「2%物価安定目標達成」は17年度に先送りされたが、当てはない。

先の衆院財務金融委員会で野党の玉木議員が「マネタリーベース増と物価上昇の相関関係」を質問したとき、黒田総裁は「直接の関係はない」と「2年、2倍、2%」の異次元の金融政策を否定したのだ。

あれだけ期待感を覗かせていて「ハシゴを外す」結果になったのだ。

麻生財務相はG20に出席する前に安倍総理と会談したという。G20でアベノミクスの成果をどう表現するかで相談したのだろう。

でも、海外の専門家はアベノミクスを評価していないし、経済誌は破綻したという。皆知っているのだ。

G20で世界に向けられた中国の構造改革の必要性は日本にも当てはまる。構造改革、規制改革で実効性のある政策を出して欲しいものだ。否、もうないのかもしれない。あったらもう出ているはずだ。


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