憲法改正に異論を呈するのを安倍総理は「思考停止」の悪影響と言うが、逆に安倍総理は「思考暴走」ではないのか。2月4日の衆院予算委員会のNHK中継で民主党大串さんと安倍総理の憲法改正の質疑を見た。現憲法は「押しつけ憲法」、指一本触れてはならないと言うことは「思考停止」、弱々しいいい訳は止めて民主党の草案を出せと時論で大串さんの質問に反論した。
今国会での所信表明でも「国のかたち」を決める憲法改正にも正々堂々と議論しその責任を果たしていこうと訴えたが、今回の大串さんの質問で安倍総理が憲法改正にどういう考えを持っているのかが分かった。
憲法改正に必要な国民投票法を整備したのは安倍総理だ。着々と改正に向かって進んでいるのかと思っていたが、今までは総選挙でも言及せず、多数の議席を得た結果、強きになり憲法改正に触れるようになったが総選挙でも争点にしなかったが公約には書いてあるという。
4日の安倍総理の答弁でも、「参院選に向けてどうするか」には応えず、国民の議論が深まることが大切で9条に付いてはまだ十分に深まっておらず、支持が得られる状況ではないと言い、どの条項を改正するかは今後の議論次第という。
安倍総理が憲法改正の理由の一つに挙げているのが「押しつけ憲法」論だが、これについては極めて短い期間に作られたのは事実だ。私たち自身の憲法なのだからしっかり考えてみようという精神を失ってはいけないと言う。
更には、指一本触れてはならないと言うことで思考停止になるのは悪い影響だと指摘した。大串さんは「思考停止はしていない。発言を取り消せ」と迫ったが、「民主党は議論して成果を出しているか」と民主党の憲法改正案を出してみろとたたみかけた。
「弱い言い訳ばかりするな」とも言う。
「どう条項かと」いうと最終的には憲法第9条のどの項かと言うことになるのだろうが、取り敢えずは緊急事態措置、環境権などが挙げられているが緊急事態措置は法律で対応出来ると憲法学者は言う。
取り敢えずは改正の発議が出来る衆参両院でそれぞれ2/3の議席を確保することだろう。内容については憲法審査会で議論し収斂させていくべきだろう。自民党の憲法草案を見たが、国民の義務ばかり記して権力者から国民を守る規定は見当たらない。これでは憲法の役を果たさない。
そして、安倍さんが「押しつけられた憲法」と言っていることには誤解があるのではないか。当時の憲法学者が書いた専門書でも十分に検討され、政府をはじめ数系統で草案作成に当たったが日本側の出した草案では民主政治にほど遠いと言うことでGHQが直接草案を作り日本側に提示され、日本側も見直し修正し新しい国会で成立させた。
又、マッカーサーの話として、当時の幣原首相が総司令部を訪れて「日本は平和国家として国際社会の中で存続するには軍隊を持ってはいけない」と考え、マッカーサーに日本の新法に日本は軍備を一切持たないという条項を入れて欲しい」と懇願したそうだ(経済学は人びとを幸せに出来るか 宇沢弘文 東洋経済新報社 2013.11)。
幣原首相は、「日本のかたち」を考えていたのだ。
一方、安倍総理はどうか。「国のかたち」を考えているのか。自分の時論にあった憲法学者に意見を聞くのではなく、自分でしっかり当時の状況を把握すべきだ。
安倍総理にだけは憲法改正をやって欲しくない。
そして、若い大学生、高校生は98%の正統派憲法学者に現憲法の解釈を教えてもらい、その上で安倍総理など為政者の意見を聞くべきではないか。
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