2023年3月3日金曜日

原発60年超:原発の安全確保は「科学」であり「法」ではない

 理論物理学者で「中間子論」などの研究にも携わった故武谷先生は「原発は安全」という者がかかわる程、「原発は危険」になると警告していた。今、政府は60年を超えて原発を運転できるようにするため原子力基本法、炉規法、電気事業法など5法案を束ねて一括審議に持っていくらしい。問題の多い法案は束ねて審議することによりこじれるのを回避するのだ。

国会審議でも原子炉の運転期間は原子炉の寿命を示しているのではなく、規制委員会が厳正に審査し基準を適合していることの確認が重要なのだと岸田総理は野党の質問に答えている。

原発の安全確保は「科学」ではなく、「法」なのだ。

原子炉は原則40年だったが、規制委員会が認めれば最長20年延長できることになっている。しかし停止期間を運短期間に含めないことで伸ばすこともできるのだ。だから10年止めていれば70年稼働も可能なのだ。

しかし運転が止まっていても設備の劣化は進む。コンクリート構造物の劣化、ケーブルの劣化、金属類の「中性子照射脆化」などだ新聞で挙げられている。最近のニュースで福島第一原発1号機のコンクリート損傷と堆積物のイメージが掲載された。コンクリートの損傷は道の原因らしい。

原子力規制庁は堆積物と同じ成分のコンクリートを使った模擬実験を東電に求めている。これはメルトダウン事故の結果だが科学的には不明な点が多い。

これらの改正に向けた審議は、規制委員会では今まで審議されていなかったという。政府の法案提出で締め切るが決められ審議も全会一致ではなく多数決で決まったらしい。ホぷ案には多数決があるが、科学で多数決があるのか。反対意見があるということは「安全」ではなく、「危険」もあるということだ。

確かに今はウクライナ侵攻でエネルギーの供給も不安定だ。電気料金、電力量は企業活動、国民生活に大きな影響がある。いろんな課題が山積しているが原発の再稼働、新規原発の建設は政治課題で、最終処分場確保も政府が率先して動くと岸田総理は言及しおていた。

しかし、原発という危険で巨大な施設の運転管理はあくまでも「科学」が重要で「法」ではない。そして原発事業者には特段の「安全意識」が重要だ。馬鹿な経営者が巨大津波の来襲を予見できなかったと主張すれば責任が逃れられることなどもってのほかだ。

武谷先生の「原発は安全」という者にかかるほど「原発は危険」という警告を今かみしめるべきではないか。


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