2023年3月2日木曜日

植田・日銀新総裁は「市場の見えざる手」にどう対応できるか

 黒田総裁の10年間の負のレガシーを拾った植田さんだが、それでも日銀総裁はやりたいのか。どうして名前が挙がってきたのか。新聞報道では宮沢さんとの系列で浮かび、前に日銀審議委員を経験、学者出身ということでサプライズを狙ったのか。初の学者出身というが、白川さんだって学者出身ではなかったか。

当初、雨宮副総裁が本命とみられていたが、後の新聞報道で「量的緩和やイールドカーブ・コントロール」を導入した雨宮さんが、出口戦略が課題になる今、その器ではないと断ったという。

安倍、黒田の縛りが無くなった今の本音ではないか。

国会の聴聞では「量的緩和継続」を主張するが当然の話だ。今、見直し発言が出てくると市場は騒ぐだろう。「いつ利上げか」という状況だ。

「2%物価上昇」が問題になるのも当然だ。日銀は「理想的な物価上昇として賃上げによる2%物価上昇を安定的に確保できる」ことを狙っている。今も4%などと上昇をクリアーしているが、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰、円安、輸入品の高騰、FRBの金融政策が大きく影響している。米国のインフレ、雇用状況に影響されるのだ。

だから、日銀にできることは制約も多い。

朝日新聞 多事奏論で編集委員の原さんが「日銀に必要なのは「見えざる手に謙虚に向かい合い科学をもって政策を論じること」という。

異次元の量的緩和策は主流派経済学者からは「非伝統的金融政策」として反対が多かった。量的緩和の実証検証がされていない政策だった。

だから、植田新総裁にとっては「量的緩和の検証」が必要になる。そのためには日銀、政府も脱安倍が必要だ。自民党は今でも安倍派がトップ派閥で政策の背後には安倍がいる。

さらに専門家も指摘するイーグルカーブ・コントロールを撤廃することだ。10年の金利などコントロールできっこない。

そして、市場とのコミュニケーションを保つことだ。急激な変化、インパクト、サプライズは禁物だ。今後は利上げが当然の策になる。いかに市場での混乱を最小限にして正常化した金融政策に持っていくかだ。


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