2009年6月30日火曜日

とにかく、古臭いモノから「CHANGE」だ


あの小泉さんが強力に応援し、自民・公明・民主が推薦する現職の市長が落選し、若い元市議の吉田さんが当選した横須賀市長選は自民vs民主の構図ではなかった。
 考えられることは、何でもいい、古臭いモノからの変化だ。
 政党自体も古くさい感じがもたれ、既存政党に関係のない無所属或いは県民党などが支持され、年齢も若い方が良さそうだ。
 「若さ」は何をしでかすか分からないが、そんなリスクは問題ない。

 麻生自民党は、党内人事も思うように行かず、このままでは分裂しかねない状態で、選挙にでもなれば惨敗は目に見えている。

 麻生さんは、「麻生降ろし」が激しくなるにもかかわらず、何故こうも総理・総裁にしがみついていられるのか。誰の目にも「麻生さんでは選挙に勝てない」と思っているが、麻生さんは「自分で勝てる」と思っているらしい。

 党役員は今までのままで、麻生さんで選挙を戦おうとするグループ、麻生さんでは選挙を戦えないので、総裁選前倒しをしようとするグループ、麻生さんで総選挙を戦うために党役員人事をすべきだとするグループが勝手にいろんな動きをしている。

 昨年9月の自民党総裁選で、圧倒的な多数で麻生さんを選んだのだから、ここは麻生で一致団結すべきだという主張も色あせて見える。

 党役員を替えたって、麻生さんが総裁である以上は、自民党の支持が上がるわけではない。総裁選挙を前倒しすれば、恐らく麻生さん以外の候補者が新しい顔として選ばれるだろう。今は、麻生さん以外なら誰でも良いからだ。

 麻生さんは「ポスト麻生はいない」と考えているので、居座っていられるのだろうが、総裁選をやれば引き下ろされる運命にある。

 このまま、麻生さんをたてて選挙に打って出ても、惨敗は分かっている。下野しか残された道はないのだ。麻生さんは「遠からず」と言ったようだが、「遠からず」9月の任期満了になるのだ。

 「国民のため」の政治を考えるのであれば、自民党内の事情は関係ないのだ。早く総選挙を実施して、新しい政権で政策を提案し実行して欲しい。政治の空白こそ麻生政権の人気の無さの原因なのだ。

2009年6月25日木曜日

ここまで来たら、進むしかない八ツ場ダム建設




半世紀以上かけ、総額4600億円にも上り、2015年完成を目指す八ッ場ダム建設の完成が困難であると「八ッ場あしたの会」が見解を発表した。明日26日には、群馬県が支出している建設費負担金の差し止めを求めた住民訴訟で前橋地裁の判決が出る。
その後川原湯温泉がどうなっているのか、7ヶ月ぶりに温泉街と工事現場を訪れた。
新しいキャッチフレーズも作られ「あたらし なつかし 川原湯温泉」の幟が各所にひらめいている。国道に立っても工事車両の通行が多くなったし、工事現場からの重機の騒音がはっきり聞こえて来る。工事が進んでいることが分かる。

秋にはダム本体工事が始まると言う場所に行ってみた。観光ポスターでも有名で観光客は必ず訪れる「瀧見橋」に行き、上流、下流を見ると新緑が眩しい光景が見れると同時に下流では、仮排水トンネル工事の河川水の呑口構造物の建設が進んでいた。ここはダム完成後は水没する事になっている。

何時だったか、テレビ番組で、無くなる温泉を一目見ようと最近温泉客が増えてきたと報じていた。その原因の一つに活性化を目指して再度訪れたときに利用できる3000円の割引券が配られたことらしいというのだ。若い夫婦が「これは嬉しいですね」と喜んでいる映像が映し出されていた。

駅員に「最近、観光客が増えたんですね」と聞くと、キョトンとした顔をしている。どうも増えてはいないようだ。

前に来たときに、昼食をとった「ふるさと」も今年2月1日に胸も痛む思いで閉店したと挨拶の看板が出ていた。名物だった水車も取り外され、軒下に放置されていた。温泉客、住民も減り、計画も遅々として進まない現状では移転を諦めざるを得なかったようだ。

平日で11時頃だったので、温泉客もみあたらない。

山木館の向かいの急峻な斜面に「標高586.00m」の標識が置かれている。ここがダムの堤高で、これから3m下が水面になる。ほとんどの旅館が水没する。

山木館のご主人に「何時移転するんですか」と聞くと、「2~3年にはそうなるでしょう」という。「あそこの塀を見てください。お土産屋さんがあったところですよ。皆廃業して行っている」と寂しがる。温泉街のあちこちで空き地が目立っている。

「最近観光客が増えたようですね」と聞くと、苦笑いして首をかしげる。どうもウソのようだ。観光振興のための割引券をPRするために、「やらせ」をしたのではと疑問が出てきた。

「今、反対運動や訴訟が繰り広げられているけれども、こうなったら前に進むしかないですよね」というと、「そうなんです。民主党がマニフェストで反対を掲げると言ってますが・・」と不安そうだ。

「用地買収も進んでいないというニュースも流れているが、移転計画はおくれているんですか」と聞くと「もう数軒移転しています。橋のこちらで右に入っていく道があります。町道なので、移転先に行くことが出来ます」と教えてくれた。

教えられた通りに行ってみるが、「工事関係者以外は通行できません」と看板が出ており引き返し、お土産屋の年配の女性に確認すると、「みんな通っていますよ」と屈託なく笑う。
急ごしらえの道路を上っていくと、「地元民車輌優先」の看板が出ている。

 登り切ると、急峻な山肌を切り土したり、盛り土してできた造成地が現れた。公園も併設され、ゆったりした町づくりになっており、既に8軒ほど建っている。しかしその区画以外は、未だ造成中である。温泉街や駅などの施設はまだ先のようだ。
写真:新しいキャッチフレーズ「あたらし なつかし 川原湯温泉」 の温泉街。 移転代替地にはすでに住宅が建つ

 計画されて半世紀以上、4600億円の事業費、それも最近見直されて大幅に増額された金額なのだ。生活基盤を失って他の町に出て行った人、廃業した人、これから心機一転新しい土地で事業を続ける人、移転して温泉旅館を続ける人。ダムで地域が水没することは多くの人が犠牲になることだ。

 ここまで来て、「中止だ」、「反対だ」はない。前に進むだけだ。この建設で生活が大きく変わる人達をしっかり支援すべきだ。大きな環境破壊と地元住民の生活破壊を残して良いはずはない。

2009年6月24日水曜日

「骨太の方針」修正:まず小泉構造改革の総括を!

経済財政改革の基本方針である「骨太の方針2009」で、賛否両論があった年間2200億円の社会保障費抑制を実施しないことになった。
 麻生さんは、総選挙に向け歳出改革の継続に拘ったようだが、叶えられなかったばかりか、3年後には消費税増税を訴えていたが、これも文言にはなかったという。
 この社会保障費抑制については、医師不足や介護施設の経営難、職員不足など福祉分野で制度のほころびから医師会など関係者から強い批判があったようだ。
 2007~2012年の5年間で1兆1000億円抑制が小泉政権末期に決まったが、少子化、高齢者の増加、介護の必要者の増加で、社会保障費は毎年1兆円規模の自然増が発生しているとも言われる。財源確保に消費税増税が上がってきたが、小泉さんは「自分の政権では増税しない」と逃げ、後の政権でも選挙を控えて増税論は影を潜めている。
 
 一方で、日本の財政は厳しい。国・地方の債務残高は約820兆円に達し、対GDPでは約170%にもなり、先進国ではワースト1だ。しかも09年度税収予想は46.1兆円と見られているが、数兆円の不足で修正される可能性が大だ。さらには経済対策で財政支出も決めており、09年度は44兆円を超える国債の発行が考えられており、税収を超える借金を負うことになるようだ。

 そんな09年度の予算でも、社会保障費は24.8兆円から28.2兆円に増額され、3兆円以上が上乗せされている。2200億円の抑制は、年金特別会計の余剰金から穴埋めされているのが実体なのだ。

 財政健全化へ向けての歳出抑制も、国民生活を守る「安心・安全社会の構築」にとっては社会保障の確保は最優先すべき課題である。

 弱小派閥の領袖で、政権与党である自民党ににらみの利かない麻生さんに、どういう政治力学が働き、こういう決定になったか想像に難くない。

 だが言えることは、小泉構造改革が今まで、これと言って総括されないまま、その時その時の政治経済環境で右往左往している事に起因するのではないだろうか。

 税金(目的税、保険料など)のムダな歳入、歳出は根本的に廃止すべきであり、一般会計の5倍にもなる特別会計はしっかり見直しすべきである。180兆円にもなろうとする特別会計の経費見直しで1%程の2200億円を捻出するなんて簡単に思う(勿論法改正も必要であろうが・・)。この辺もはっきりしないから、民主党政権になると「骨太の方針」も廃棄される事になる。
何をやるにも小泉政権での構造改革という呪縛に縛られたままでの議論になる。「何をどう守り、次ぎに何をするか」、めまぐるしく変わる世界情勢に臨機応変に対応すべきである。

メガネの誂えは、自分の生活スタイルに合わせて


メガネを誂えた東京の眼鏡店から、「調子はどうですか 一度お寄りください」という連絡を受けた。私の好みのブランドのメガネの新作販売をやっているとも記してある。
 55年近くメガネにお世話になっており、遠近両用にしてからもう20年近く経つが、最近満足のいくメガネが作れないでいた。
 近視用、遠近両用といろいろ試してみた。中近用も検討したが、1セット10万円を超えるメガネである。利用頻度の高いメガネでなくてはもったいないと思って止めた経験がある。
 1年前に誂えた遠近両用メガネで、メガネ店の人と議論したことがある。
 検眼し、近めを調整する時に、店員は「30~35cm離して新聞を読んでください」という。いままですべてこういった調整をしてきた。
 しかし、遠近両用であっても、新聞や雑誌を読むときに、メガネを外さなければ見えにくい状況になり、「何とかならないか」と店員に注文を突きつけた。店員は、近めは通常30~35cm離して見えるように調整しているという。それが姿勢良く本を読む事が出来るのだ。
 私は、「このぐらいの距離を離して新聞や雑誌類を読んでいる」と店員に説明したが、店員は渋っている。私の習慣からして、「このぐらいで楽に新聞が読めなければ、遠近両用のメガネの役をしないのだ」と譲らない。
 店員は「仕方がありません。お客さんの希望に合うメガネを作りましょう」と言って、納得してくれた。
 度数を調整して、習慣になっている姿勢で新聞を読むと丁度良い。
 「僕が欲しかったのは、こんなメガネです」というと、店員は喜んでくれ、気に入ったのか、傷の付きにくいメガネの玉にサービスでグレードアップしてくれた。今そのメガネを愛用している。

 考えるに、理想的には近視用、遠視用と別々に誂えた方が良さそうだ。パソコンをやっていて遠近両用では不便なので、15年ほど前に近視用のメガネを誂えたことがある。しばらく使わずにいたが、試しに今使ってみると良く見える。おまけに度数も変わっていない。

 メガネは、眼鏡屋の言う通りではなく、自分の生活スタイルに合わせて誂えるのが本来のやり方であることが、やっと今知った。

2009年6月23日火曜日

惜敗を期してがんばる麻生さんに先はない

 満面の笑顔で握手する。「生で麻生太郎の面を見た人?」、「テレビで見るよりは良いと思う人?」と受けを狙っての聴衆への問かけ。
 テレビでの麻生さんの東京都議会選候補者の応援の画面を見ていると、支持率とは違う反響に「何故」という疑問が湧いてくる。
 最後に拳を振り上げて、「先頭に立って麻生太郎は戦うぞ」という姿に世論調査の民意とかけ離れた自民党政権の姿が映る。
 麻生さんの演説で、「必勝を期して・・」と言うべき場面で「惜敗を期して・・」と言ったのには驚くが、反面間違えるのも当然だという気もする。自分が「選挙の顔」として来たるべき静岡知事選、東京都議選、総選挙を戦おうとしたとき、「勝利」「惜敗」が頭の中を巡っているのだろう。
 今は、「惜敗」が頭の大部分を占め、それが応援演説の中に出てしまったのだ。言い間違いとは言えないところに、麻生さんの置かれた今の立場がある。

 麻生さんの政治判断、行動は支持率を落とし、どんどん「惜敗」に近づいているのだ。
 西川日本郵政社長続投問題では、認可を拒否する鳩山さんを切り、続投の道を選んだが、国民の西川支持は15%程度。ここでも民意に反する判断をしてしまった。鳩山さんの「正義が通じないことがある」という発言は国民に訴えるところが大きかった。
 補正予算での相次ぐ景気対策は、先に予算ありきで、その効果に疑問がある政策が多く盛られた。
 党首討論も歯切れが悪い。追いつめられても反論できずにニタニタしている姿は総理らしくない。政策責任者としてもっと積極的に論ずるべきだろうが、相手の政策を「財源は?」で切り込むだけでは討論に迫力を欠き、見ていても減点だ。
 
 麻生降ろし、内閣改造、総裁選前倒し、総総分離など麻生さんにとっては、足を引っ張る事ばかりが自民党内から噴出しているが、こんな考えが出るたびに麻生さんの心配する「惜敗」に近づいていないか。
 
 民主党にも麻生さんに点数を稼がせる場面も出てくるだろう。小沢さんの公設秘書の公判開始、厚生労働省の局長を巻き込んだ偽造証明書問題での民主党議員への捜査だが、「敵失」を期待した今後の政局運営では、あまりにも寂しすぎる。
 
 今、自民党が考えなければならないことは、「麻生で何をするか」だ。そうでなければ
大方の予想である「惨敗」なのだ。

2009年6月22日月曜日

麻生さんって言われているほど駄目な総理か


「解散・総選挙は何時だ」「麻生降ろし」などむなしい政局が流れる中で、「麻生さんが何をやろうとしているのか」が見えてこない。
 これが混乱と、重要な時期にもかかわらず腰を下ろしての政治が、今ひとつ見えても来ない。
 敵失で一時、人気が戻ってきた(上がったのではない)かに見えたが、リーダーシップの欠如、指導力の無さなど本人の資質が、人気の無さに影響していると見られている。
 福田さんは、自分で解散・総選挙するには、人気が無いと言うことで、選挙の顔となる人に次ぎを託そうと政権を放り出す結果になったが、今考えると福田さんの時に選挙に打って出た方が、まだ良かったのではと勘ぐられても仕方がない状態だ。
 私も以前そう考えていたが、今までの総理と比べて、言われているほど麻生さんはダメなのか。
 資質に問題がある一つに「政策がブレる」がある。
 しかし、他人の言うことを聞くからブレることにもなるのだ。国民の支持を上げたい、何か良い政策はないかとの焦る結果が、ついつい詰めもしないで口から出て、周りの反対に遭い直ぐ引っ込める結果になる。厚生労働省の2分割論が良い例だ。
 麻生さんに良い取り巻き、相談相手がいないことでもあるのではと思える。
 一方、今だかって人気があり、次の総理にしたい人でもトップに名をあげる事もある小泉さんは、変人と言われたブレない政治家だった。しかしその手法は、抵抗勢力、刺客、メデイアを存分に活用したカリスマ政治家で、他人の言うことを余り聞かなかった。当時国民には絶大な人気があったが、彼が進めた構造改革路線は今、否定されつつある。
 強引に進めたかに見える郵政民営化も、西川社長続投問題は小泉さんをはじめとする推進派も絡んで、麻生政権の支持率を下落させる結果になった。
 当時、民営化に反対する議員も、民営化には賛成であるが、今の内容では反対であると言ったほど、その中身の議論が不十分だったのだ。
 
 強力な指導力を発揮するのも良いが、民主的議論を制限するやり方には賛成できない。反対意見もしっかり聞き、「国民のため」になる政策を推進して欲しいモノである。
 小泉政権に続く安倍、福田そして麻生政権では国民に信を問わない政権が、自民党のお家の事情で続いていることに批判がある。おまけに世襲議員のひ弱さが政権放り出しに繋がっているとの見方もある。
 
 しかし、安倍政権では、小泉改革の推進、憲法改正、国民投票法などいままでの政権では出来なかった道も開いた。
 さらに、福田政権では民主党との大連立構想を打診したし、「ねじれ国会」での国会運営の難しさをあからさまにした。「民主党の誰に話を通せば進むのか」、涙が出るほど苦労していると福田さんは党首討論で訴えた。
 その背景には、民主党小沢代表の強権的党運営があり、民主党の政権担当能力の不足を国民に示したことになる。
 行き詰まった福田さんは、国民に信を問うべき「選挙の顔」を次ぎの総裁に託して政権を放り出す結果になった。自分の能力を十分分かっている総理としては珍しい人材であった。
 そして、自民党総裁選における秋葉原での若者に圧倒的人気があると見誤り、麻生さんが選出され、総理の座に就いたが、解散・総選挙を考えている間に、世界的な金融危機が発生し、「政局より景気対策」が優先されたのは、当然の結果だ。
 景気対策で繰り出す、本予算、補正予算そして関連法案の議会通過に全力を尽くす結果になった。何回も補正予算を組めば、先ず予算ありきで、最後の方はドウでもよい政策も上がってくる事になった。その中には景気対策の効果が疑われる政策もあり、麻生さんの指導力が疑われたが、誰が総理であれ財務官僚主導の政治の続きだ。
 今までどの総理も経験したことのない社会不安、金融危機にあって比較的良くやっていると評価出来る面もある。
 
 任期満了まで、どう騒いでも2ヶ月ほどしかない。ここまで来たら任期一杯勤めたらどうか。
 その間、国会で議論しながら、国民に訴える価値のあるマニフェストを各党が作成し提示すべきだ。自民党は民主党の政策に対して「その財源は?」が潰しの常套句になっているが、民主党だって岡田さんは「財源なくして政策なし」と主張している。政権を一度執ってみなければ、財源など把握出来ない面もある。
  自民党は、麻生さんで選挙を戦い負ければ潔く下野して、新生自民党に衣替えすべきだ。
写真:都議選を応援する麻生総理 2009.6.22 スーパーモーニングより

2009年6月21日日曜日

日本郵政に国が口出しするのは是か非か



日本郵政のガバナンスに問題があるとして、鳩山前総務相が反対していた西川社長続投問題で、世論の80%が鳩山さん支持だったにも関わらず、鳩山さんを更迭した麻生さんに批判が集中したのは当然だろう。
 麻生政権の支持率が20%を切って、こんなに落ちるだろうとは麻生さん周辺は思ってもいなかったと言うことは、今の自民党幹部に民意を把握できていなかったことになる。
 このゴタゴタを認可権を持っている鳩山さんを切って収めるか、民営化を推進する人達が強力に推す西川さんを切るかは麻生さんにとっては決断がいったことだろうが、その結果が、更に混乱に招いているは麻生さんの責任でもある。
 ところで、今回の決断で麻生さんや安倍元総理など改革派を名乗る人達の論点に疑問を感じない訳にいかない。
 「鳩山更迭は間違っていない。郵政民営化を進めており、民間の株式会社に政府は口を出すべきでない。西川社長を尊重し、経営は経営者に任せるべきで、株主が判断すればいいことだ」というのが、彼らの考えだ。
 しかも、経営はうまく行っており、収益も上げ、300億円にもなる税金を納めており、西川さんは民営化に向け良くやっているという評価だ。
 しかし、今の日本郵政の置かれている状況は不思議だ。
 2007年10月に株式会社化されたとはいえ、株の100%は国(財務省)が持っている。最後は国が1/3、残り2/3が民間に売却される予定だという。そうなると国はあくまでも大株主で、経営に対して発言権があることになる。
 さらには、総務相に社長などの認可権があると言いながら、日本郵政には社内人事を決める指名委員会がある。指名委員会が指名した社長を総務相が拒否する事態は、当初から想定されていたことではないか。官僚出身者にするか、民間人にするかの争いは当然出てくる問題である。

 私は、日本郵政は、今の段階では国のモノであると思う。日本郵政のガバナンスに問題があれば異論を呈するのは当たり前のことで、「国民の財産」を適正に処理する責任がある。

 「かんぽの宿」の格安(?)売却、DM不正事件、東京中央郵便局、大阪での郵便物未配達事件など民営化の過程で、国民の信頼を損ねる不祥事が明らかになったことがこのような混乱を産んだことで、官邸、自民党、日本郵政も想像していなかった事だろう。
 それだけに今後の不安が残る。
 小泉さんが、郵政民営化是か非かを問い、あれほど騒いだ選挙が何だったのかとの疑問も出てくる。
 当時のことを思い出そう。郵政民営化は米国の年次改革要望事項に沿っていることは別として、税金のムダ遣いを歳入、歳出両面から改革、公務員を3万人削減、郵便局がコンビニのように便利になると良いことずくめであった。
 しかし、郵政民営化に反対した人達も民営化には賛成であるが、今の内容には反対であるという考えが大方であった。小泉さんが功を急いだためか、十分な議論を尽くさない前に民営化に踏み出したのが原因なのだ。
 
 それに初めての今回の3年ごとの見直しも、小泉さんが何か発言したことで、尻すぼみになってしまったが、小泉さんの顔色を見ながらの民営化は止めて欲しい。

 誰がなんと言おうと、今は国が株主なのだ。国民の財産を預かっている総理は、毅然とした考えで日本郵政の経営に口出しすべきである。麻生さんには無理だろうが・・。

写真:売却が決まっていた「かんぽの宿」磯部  東京中央郵便局 鳩山さんのクレームで保存計画の見直し中