このままの経済では消費税増税も無理ではないか。経済成長率が選挙の争点になっているが、内閣府は国内景気を「悪化」と判断した。しかし、経済指標には改善も見られる景気動向指数もあり、多くの民間エコノミストは年明けの回復を予測している。
輸出頼みと言うが、中国、インドの経済の成長は一時の勢いはない。ギリシャに始まった政府債務問題、欧州危機が収まる気配はなく、緊縮財政に反対するデモも報じられている。米国も失業率に改善も見られるが、「財政の崖」問題の解決はまだ先だ。
輸出が頼れないとなれば、デフレ脱却とともに国内の景気対策が注目される。
自民党は、名目成長率3%、円高、デフレ対策で物価上昇率2%を掲げ、建設国債の買い入れなど日銀に大胆な金融緩和を要求し、国土強靱化と銘打って10年間に200兆円の公共投資を提案している。
民主党は、名目成長率3%、実質2%をめざし自民党の政策をバラマキ政策と批判し、補正予算編成を急がなければならないという。名目成長率=実質成長率+インフレ率から考えるとインフレ率1%を念頭に置いているのだ。
日銀は、消費者物価の前年比上昇率1%を目指し、見通せるまで実質ゼロ金利政策、資産買い入れなどの金融緩和を続けるという。
一方政府には、消費税増税に向けGO判断を下す基準を来年秋までには目指さなければならない景気弾力条項がある。
それによると、(1)名目3%、実質2%程度を目指した望ましい経済成長、(2)需要と供給の状況、増税による経済への影響、(3)成長戦略、事前防災および減災などに資する分野に資金を重点配分することが上げられている。
目指すは、名目3%、実質2%、インフレ率1%と言うことか。でも本当に可能なのか。
消費者物価の前年比の最近値を見ると0%近辺だ。あるエコノミストは日銀は0%近辺で良くコントロールしていると皮肉る。
民間エコノミストの13年度の実質GDP予測を見ると、0.5%位だ。復興需要による押し上げも徐々に薄れ、回復ペースは鈍いと見るエコノミストもいる(讀賣新聞2012.12.8)。
日銀白川総裁の「デフレ脱却の道筋 (名古屋 2012.1.26)」によると、潜在成長率=就業者数の伸び+実質GDP伸び率(付加価値生産性伸び率)とすると、今までの実績は就業者数の伸び率が-0.6~―0.8%、実質GDP伸び率が1.5%で、成長率は1%以下だ。大きな流れは改善方向といえども成長率は低下傾向だという
自民党が言うように成長率2%というと、就業者数、GDOPを伸ばす必要がある。
それには政府による強力な規制緩和、産業界では新製品開発、投資意欲、消費者には消費意欲を沸かせる政策が必要になるが、日本貿易会会長もいうように、企業に投資しようという意欲が沸く分野が今は見当たらないというのだ。
自民党安倍総裁も景気弾力条項の条件を満たさなければ、消費税増税はないという。
判断時期で政権がどう判断するか。無理な理由付けでGO判断を下すか条件を満たさずNO判断するか。
GOになった場合、日本経済に及ぼす影響は計り知れず、一段の景気後退も考えられるし
NO判断の場合も財政再建、国債信用問題でどうなるか想像が付かない。
どっちみち、大きな変化、動きについて行けるかどうかだ。
就業者数の減少は成長率を低下させる要因だ デフレ脱却への道筋 日銀2012.11.26 |
付加価値生産性の伸び率 1.3% デフレ脱却への道筋 |
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