白川総裁はフリップを用意して 日銀が金融緩和を強力に進め ていることを強調した 2012.12.20 TBSニュース23 |
安倍総裁vs日銀・白川総裁、デフレ脱却で正論? 日本経済再生にはデフレ脱却が喫緊の課題で、なかなか脱することが出来なかったが、ここに来て84円台の円安、10000円台の株高基調が続く。安倍総裁が衆院選に向け大胆な金融政策、物価上昇2%を目標に掲げたことから市場が反応したと自負するが、日銀は20日の決定会合で10兆円の追加緩和をし総計で101兆円の資産買い入れ枠で景気を下支えするという。
安倍総裁の要求する2%の物価上昇目標については、日銀の20日の決定会合で「物価安定についての考え方に関する議長指示」で目指す中長期的な物価の安定について検討するので必要な論点を整理し報告するように執行部に指示したという。次回の決定会合で検討するらしい。
これで、白川総裁は日銀の立場を守り、安倍総裁のメンツも保ったことになる。
ところで日銀は、政界、財界、金融界の圧力もあってか、追加緩和を重ねてきたが、日銀も言うように市場にはカネがダブついているらしく、43兆円ものカネが日銀に預けたままになっているという。デフレ下で先行き不透明なために銀行が貸したい企業に需要がなく、借りたい企業は資金繰りに苦しい企業だという。
そんな状況下で、安倍総裁は大胆な金融政策を日銀に要求しているのはどういうことなのか。
デフレ脱却で国会でも追及されている中央銀行の通貨供給量の比較で、欧米ではリーマンショック後3倍に急増しているが、日本は1.5倍で少ない。これでは円高になるので、もっと通貨供給量を増やすべきではないかという意見がある。
これに対して、日銀は対GDP比では、先進国で一番高い比率であると反論する。20日の白川総裁の記者会見でも資金供給の残高は120兆円超というフリップを用意し、非常に積極的な金融緩和を行っていると苦渋の顔で説明していた。
日銀のデフレ脱却のシナリオは、金融緩和を続けて低金利の資金を用意すれば企業は借りやすくなり、投資すれば物を買うようになるので物価は上がる。物価が上がれば給料も上がり、家計は潤い消費も伸びるというパターンだと思う。
日銀は物価上昇1%を目途にしているが、安倍総裁は2%の目標設定を要求している。しかし、日銀が追加緩和を実施しているのに、今の物価上昇率は0%近辺で推移している。2%は本当に可能なのか。
エール大の浜田教授は、日本は2~3%が適当だろうと安倍総裁の考えを支持する。
でも、物価が上がっても給料が上がるとは限らない。今だって大企業は労働者を犠牲にしてでも内部留保につとめ、その額は260兆円になっている。儲けが増えても内部留保や株の配当に回ったのでは給料の増加や雇用の増加など期待できないのではないか。
しかも、行き過ぎたインフレ、ハイパーインフレを心配する声が多い。日本でも過去に例があったし、アルゼンチンの例もあるらしい。物価の安定を第一の仕事にする日銀に取っては避けなければならない事態なのだ。
市場は無制限枠を考えているのだろうが、円安とともにインフレが進めば日本経済、国民の生活は混乱する。
政府と日銀が物価上昇2%目標の政策協定締結を目指しているという。お互いに責任を共有し合うことはいいことだと思う。日銀も目標に向け責任を持つことも当然である。象牙の塔で責任を追及されることもなく高給をもらっていることは論外だ。
一方、政府は日銀に追加緩和を要求するばかりでなく、規制緩和など民間が投資する意欲が湧く政策を実施しなければならないが、その努力が見えてこない。経済成長戦略、経済諮問会議など司令塔の整備などが進められているが、民主党政権とどう違うのか。
経済成長戦略などは政権党が自民であれ民主であれ、官僚が作成しているのだから同じはずだ。そこに違いを出すとすると、達成への手法と強い意志である。
今の円安、株高は、安倍総裁は自分の主張した大胆で今までとは次元のことなる金融政策や財政政策と思っているだろうが、日銀だって続く追加緩和で今の経済環境を維持できていると思っているはずだ。
先の国会審議で「日銀の政策で効果が出ていると思っているのか」と問われた白川総裁が「それぞれ経済環境は異なっているが、効果が出るものと思って政策を実施している」と答弁していた。
日銀の総裁、2人の副総裁の任期切れによる人事とも絡んで政府の攻勢が続くだろうが、国会審議でしっかり議論してほしいものだ。
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