2012年12月14日金曜日

クルーグマン教授の「企業利益の増大は労働者排除から」に納得だ

クルーグマン・コラム「米国の企業利益増大
技術と資本家が労働者排除」
朝日新聞 2012.12.13 

朝日新聞(2012.12.13)のクルーグマンコラム「米国の企業利益の増大 技術と資本家が労働者排除」が目を引いた。米国では経済指標が不況下にありながら企業利益は記録的高さを示しているというのだ。その要因として、ロボットのような技術が労働者を不利な状況に追いやり、独占、寡占化が労働力需要の低迷に拍車をかけているというのだ。企業は労働者の犠牲のもとで企業利益を上げそれを労働者に分配しないのだ。

米国経済ばかりでなく、日本経済もデフレ状態から脱出できず、失業率も高く低成長にあえいでいるが、企業の内部留保は260兆円を超え年間GDPの半分強を占めるに至っている。

そして誰が言ったか覚えていないが、「政治は大企業と高額所得者のためにある」のだ。

クルーグマン教授も今、法人税の引き下げ、相続税の軽減、廃止を誰が望んでいるかと疑問を呈し、この議論をしなければならないと主張するのだ。

私たちも企業の労働者排除を経験している。企業経営ではコストダウンが最大のテーマであるが、固定費に占める人件費の割合が一番高いことから、当然人件費の削減が課題になる。

そこで、あらゆる生産工程で自動化が可能かどうか検討された。ロボット化がめざましい勢いで展開されたのだ。人手作業がロボットの作業に置き換えられたのだ。

それでも人手作業が必要な場合は外注に出す。余剰労働は極力削減し外注の安い人件費で代替する。派遣切り、期間工切りが社会問題と化した。

独占禁止法の主旨がどう変わったか知らないが、今、大企業の合併が相次いでいる。無駄な競争を止め、海外企業と競争できる体質を保つためだという。しかし、人員は2倍も必要ない。効率化を求めて人員削減だ。退職を強いられる者もいるだろうし、意に沿わぬ仕事に回されることもあるだろう。

そういった状況にありながら、企業の内留保は進んでいるのだ。リーマンショック後、売り上げは減らしているものの内部留保は積み増され、日本でも今や260兆円を超えようとしている。内部留保を使って雇用を維持すれば良いのではないかと思うが、経団連はそれが活用出来ないと言う。でも学説は分かれるらしい。
内部留保に回す前に社員の待遇改善、雇用の促進に使ったらどうなんだ。

以前は、労働者搾取は資本家対労働者の問題、労働者間の分配の問題として語られてきたが、それは過去の問題だという。今は労働者全般を犠牲にしているのだ。

クルーグマン教授は所得が労働者から資本家に移動したことは、まだ国民的議論になっていないという。

そして、大企業が要求する法人税引き下げを我々は望んでいるのか。富裕層向けの相続税軽減、廃止など、これまで以上に冨の相続を容易にしたいのだろうかと疑問を呈する。

そしてこういった議論を今こそ始めるべきだと主張しているのだ。

我が国でも法人税引き下げ要求が経済界から強いし、相続税は税収の関係で議論されている。政府はすべて大企業、高所得者に向けた政策を実行しているのだ。

国内雇用、家計の収入を守らなければ良質な労働力を確保することが難しくなる。その付けは必ず企業に回ってくる。労働者を蔑ろにして企業は成り立たないのだ。

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