民主党への政権交代は悪夢で終わるのか。野党からの執拗な「近いうち解散」の追及に、「うそつき」のレッテルを張られたくない野田さんは、党首討論で抜き打ちの「解散宣言」をし、反転攻勢に打って出たが、16日の総選挙結果、政権の座から雪崩的に滑り落ちた。
3年3か月前の民主党CMを思い出す。当時の小沢代表が風雨に飛ばされそうになり、両脇を鳩山さん、菅さんで支える民主党には、この3人に政権交代を託せる期待を持ったものだ。メデイアもこれで「政治が変わる」と書き立てた。
ところが一転、政権の座から落ちると、野田さんの名前はメデイアから遠ざかり、新しい総理の安倍さんに期待が移っている。
最優先課題であるデフレからの脱却、経済成長路線に舵切りした安倍さんは、インフレ目標2%、名目成長率3%以上を掲げて象牙の塔だった日銀にも責任を迫る。
この政策を「アベノミクス」と言うらしい。米国でレーガン大統領が登場し、その経済政策を「レーガノミックス」と言ってメデイアははやし立てたことを思い出す。成果には賛否両論あったはずだ。
それだけ、デフレ経済下での日本経済の停滞には嫌気がさしていたところであったが、デフレは10年、20年前からの自民党政権時代からあったのではないか。その経済政策が何故、今からなのか。
しかし、国民も良く分かっている。自民党政権に復権したことに60%の人が好ましいと思ってはいるが、今回のような勝ちすぎには戸惑いを隠せない(読売新聞 2012.12.19)。
思えば民主党が政権交代する前に、「民主党には政権を担う力は未だ不足いる」ことを指摘する人がいた。消費税増税に反対し、「増税前にやらなければならないことがある」、「マニフェストの原点に返れ」と主張し離党、「国民の生活が第一」を結党したが、小沢不利と見るや小沢隠しのために「日本未来の党」に衣替えした小沢さんだ。
自民党、福田政権の時、野党の抵抗で、なかなか政治が進まないことに閉口していた福田さんが当時代表だった小沢さんに大連立を持ちかけていた。小沢さんは、党に持ち帰って幹部と話し合ったが政権交代を目前にした時点での連立には民主党幹部は大反対だった。
その時、責任を取って辞任しようとした小沢さんのこの発言だったのだが、良く言い当てていた。
その後の民主党政権は、未曾有の大震災、原発事故もあったとはいえ、国民の期待を大きく裏切ったことになる。
そこで再登場した安倍さん率いる自民党政権はどうなのか。
自民党は3年3カ月の混乱した政治と言うが、自民党政権時代から続いている課題が多い。野田さんの「自民党政権の尻ぬぐいをしているのだ」という主張も間違いではないのだ。
自民党政権時代に避けて通った政治課題をスピードを持って処理していく覚悟がないと、来夏の参院選でまた国民は揺れ動く結果になる。
財政再建に向けた消費税増税で民主党が大きな痛手を被ったが、自民党政権だったらどうなっていたのか。デフレ脱却へ向け、市場は安倍さんに好感をもって円安、株高に推移しているが、いい気になってはいけない。
来年の消費税増税へのGO判断を下す時の経済状況の判断によっては、財政再建、国債の信用問題が出てくる。
その時、自民党・安倍政権は国民の信を保つことができるのか。
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