地方vs中央官僚機構は自治体首長の国政関与の様相を呈し、その是非が問題になってきた。地方行政を推進する中でネックになるのが中央官僚機構による規制の数々で、このハードルを乗り越えるには石原さんが言うように「中央官僚機構の打破」しかない。
自民党政権時代から行財政改革、無駄削除でよく言われていたことは、縄張り、縦割り行政、国と地方の二重行政、行政の硬直化、地方交付金のあり方が上げられる。
熊本県知事を辞めた細川さんが雑誌の対談で、行政の不都合な例として上げていたことで「バス停を10m動かすのに2年かかった」と言うのを思い出す。
こういった行政を改革しようと、細川さんは「日本新党」を立ち上げ、当時自民党を離党して政党を立ち上げていた議員たちが連立の細川政権を樹立した。今から16年ほど前の話だ。
そして今、既成政党に加えて自治体首長が関与する政党が参戦してきた。
大阪市長の橋下さん、前東京都知事の石原さんの「日本維新の会」、滋賀県知事の嘉田さんが代表の「日本未来の党」だ。
石原さんは、任期を大きく残して辞任しての国政進出だが、橋下さん、嘉田さんは在職のまま国政に関与する。
石原さんは、もう都政には興味がなくなったのか。キッパリ辞任しての国政進出で、中央官僚機構を打破するには、こまごました政策よりも小異を捨て大同団結が必要と訴え、「太陽の党」を結成したが強引に橋下さんの「日本維新の会」と合流し、「太陽の党」を解党した。
嘉田さんは、小沢さんにどう言い含められたか知らないが、「卒原発」を謳って「日本未来の党」の代表に付いたが、党の実態は小沢さんの「国民の生活が第一」におんぶにだっこで、小沢新党がまた変身したのだ。
2人ともに政党の代表あるいは代表代行との兼職であるが、首長と国会議員の兼職は禁止され、橋下さんが言うように兼職禁止が解かれれば国会に進出したい首長はいるかもしれない。
ところで、自治体の首長でありながら政党のトップにつき国政に関与する過酷な(?)職務を遂行する時間的、肉体的余裕があるのか。
石原さんは、2日/週しか登庁せず、特別秘書が行政に当たっていたことがあり、前前回の東京都知事選では対立候補が「私は毎日登庁する」と公約したほどだ。これだと時間的余裕はあるが、こんな事で本当に都政をやっていたのかと疑問に思う。
橋下さんは自ら「大丈夫だ」という。嘉田さんはどうなのか。むしろ政党の仕事はお飾りの代表で小沢さんが党務を牛耳るのであれば、県知事としての行政は出来そうだが、政党業務では国民を裏切ることになる。
市民、市職員や県民、県職員はどう考えているのか。
嘉田さんは、「自治体運営の経験者が国政に繫がることは価値があること」と考えているようだ。山田京都府知事は「地方の声が国に届いているか焦燥感がある」とこうした動きの背景を説明する(京都新聞 2012.12.2)。
一方で、門川京都市長は「首長は地域密着の仕事で忙しい。兼職は無理だ」というし、滋賀県議会は知事辞職を求める声も出ているという(同上)。
市民の税金から給料をもらって、国政の仕事をやって良いのかという意見も出てくるだろう。選挙ともなると平日に市長の仕事をほっぽり出しての国政選挙になる。
恐らく、「大阪都構想」のためにやっているのだと抗弁も出来るが。
要は、国会議員がだらしないから霞ヶ関の官僚機構、特に財務省を政治主導できないのだ。連合を支持団体にする民主党政権にあっては、ほとんど不可能なのだ。
行財政改革、公務員改革を強力に推進できる政権ができない限り、自治体首長の不満は募るばかりだ。
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