2012年12月1日土曜日

脱原発:単独テーマでは扱えない理想と現実


原発に対する各政党の政策は多様だ。単独テーマでは扱えない理想と現実が入り乱れる。東電福島第一原発事故から考えると、国民の生命の安全、生活環境(国土)の保全は揺るぎない喫緊の課題であり、各原発施設の下や付近に断層が存在することが指摘されれば尚更のことだ。

しかし、脱原発には理想と現実がある。

政権公約での新聞記事、テレビの討論を見ても政権に近い政党は慎重な姿勢であるし、政権から遠い政党ほどはっきりして「NO」だ。各党の代表が出席したテレビ討論を聞いていても、喧喧がくがくで収拾が付かない。

しかし、考えなければならないことは、日本経済再生との関連で議論すべきではないか。国民が望む政策課題のトップは経済再生、雇用の創出である。

その現実問題から、専門家(原子力規制委員会)が安全と判断した原発は再稼働する。新設で着工した施設は続行である。そして原則40年で廃炉する。核のゴミ処理は続行、原子力技術は確保すると言うことになる。

今、大飯原発で再調査が要求されているように、活断層の真上に重要施設が建つ原発は、法基準違反であり即停止だろう。

さらに、まだまだ分からないことがある。

本当に電力は足りているのか、不足しているのか。電力会社の発電量の計算根拠がはっきり示されていないので分からないが、今夏の関西電力では原発なしでも足りていた

日本維新の会は当初、脱原発を言っていたが、実際問題として夏の電力不足が問題になると再稼動容認した。政治に携わり国民生活を確保するには苦渋の決断だったのだ。しかし、実際には原発がなくてもやっていける結果になった。

橋下さんは、この容認判断を反面教師として、覚えておこうと言う。この例から原発はなくても電力はまかなえるという主張に、テレビ討論に出た松井幹事長は「これは結果論だ」と牽制した。

先日(30日)の党首討論会での主要政党の主張も「2030年代に稼働ゼロ」、「10年後に原発を卒業」、「シミュレーションの中で原発の淘汰を考える」、「ゼロにすると軽々には言えない」など脱原発への表現は違っている(讀賣新聞2012.12.1)。

しかし、エネルギー政策、TPPもそうだが日本経済再生、経済への影響とも関連して考えなければならないのではないか。

原発依存30%というが、電力は本当に不足するのか、それとも満たしているのか。

代替エネルギーは、今後ともに信頼性があるのか。再生可能エネルギー開発の負担分も電気料金に加算されている。先進国のドイツでは消費者負担が課題になっているという。

実際の発電コスト、電気代はどうなるのか。原発再稼働が出来ない事による火力発電で原油の輸入量が増えた分、電力会社は一斉に値上げ申請している。

経済産業相は、何を思ったのか、「そもそも電力料金は低いすぎた」との発言が新聞に載っていた。

その電気代が国内生活、産業などに及ぼす影響はどうなのか。企業の海外への進出の加速、国内雇用の減少による国内経済の空洞化が進まないか。

そして、原発施設に関わる活断層の存在だ。今も敦賀原発で浦底断層が活断層でないかと調査され、10日に評価会合が開かれ、活断層であれば再稼働は出来ないというニュースが流れている。

法基準での再稼働の見直し、情報公開の徹底、原発という危険な設備を稼働するに当たっての企業の安全体制の強化も大事だ。先日も東電が厳重注意されていた。

私は、日本維新の会の石原代表が言う「シミュレーションの中で原発を淘汰していく」案に賛成であるが、今後10年、20年は巨大地震の心配はないのかと言われれば、確信は持てない。

どっちにせよ、各種シミュレーションで国民の納得する資料を公開すべきではないか。ただし放射能飛散予測に見るようにデータ入力ミスなど論外だ。

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