物価目標1%目途から2%目標へ、あれほど拒否していた2%目標を明記せざるを得なかった日銀は、本当に死んだのか。デフレはどの国でも経験しているが短期間に脱出している。一方、15年もの長い間、デフレから脱却出来なかった我が国にとっては、政治家や日銀を良く思っていないエコノミスト、そしてメデイアは「誰かを悪者に」しなければならない状況に置かれ、「悪者は日銀」となったのではないか。
安倍総理は、日銀を悪者にして、言うことを聞かなければ日銀法を改正してでも2%目標を設定し、デフレ脱却、日本経済再生に賭けると訴え、政権の座に返り咲いた。
又、日銀の金融政策を甘いと考えるエコノミストは、通貨供給量の不足が円高に結びついていると批判する。
メデイアも日銀を悪者に仕立て上げ、政権との攻防を煽る。
「日銀は死んだ」と考えられる理由に、日銀は政権の強い要求に屈して1%目途→2%目標に舵切りを余儀なくしたと言う説と、日銀法改正を武器に独立性を危うくしかねない政権の攻勢に「組織防衛」の為に屈したと言う説が考えられる。
でも、今回の2%目標設定で日銀は政権に屈したのか。そうではないと考える。
白川総裁は報告書でも「インフレーション・ターゲッチング」とは、最近では「フレキシブル・インフレーション・ターゲッチング」と言い、目途と目標を区別する意味はなくなっていると説いているではないか。
だとすると、目途を目標に変えたってどうってことはない。政権が目標設定に拘ることも理解できない。
ただ、途中経過として1%の目途を目指すか、途中経過は止めていきなり2%目標を目指すかの違いはあるだろう。
今回の日銀の決定会合で2委員が、2%目標に反対していた。メデイアの報道で、その理由は達成できない目標を掲げることは、日銀の信頼を失うことになるからと言うことだった。
真っ当な意見だ。私もまず1%をめざし、財政政策、成長戦略などの効果が出てきた時点で2%を目指すかどうかを考えるべきだと思う。
目標に向かっての検証を経済財政諮問会議ですると言うのだが、毎回屁理屈と思われる理由をタラタラ述べるのも考えものだ。
安倍総理は、国民に約束したのだから早いうちの成果を狙っているのだろうが、給料も上がったということを肌で感じるには時間がかかる。急ぐあまり悪いインフレを招きかねない。
2委員の反対が正当ではないか。メデイアの報道ではこの委員は緩和論者で民主党政権時に委員に加わった民間人だという。
2%目標明記でも、達成期日は「早いうち」で特に指定はない。向きになって日銀は屈したと判断する必要もないのではないか。日銀の言いたいこともしっかり記されているではないか。
2014年からの無制限買い入れでは、月に13兆円の買い入れになるが10兆円しか増えないという解説に疑問があったが、国債に満期があるので市場に出回るお金は減ると言うことらしい。納得だ。でも、市場はこれで失望したのだろう。
そして内容的にも民主党・野田政権時の合意文書とも大きな違いはない。
ところが、組織防衛のためにやったというのであれば論外だ。国民の生活より日銀という組織を政権から守ル為の譲歩だとすると、そんな日銀は解体すべきだ。
白川総裁は絶対に言わないだろうが、この見方は多い。日銀OBの見方としてメデイアに記載されているが、これこそ日銀の信頼を失する発言ではないか。
日銀自身の意識改革が必要だ。象牙の塔を脱して雇用にも責任を持つ中央銀行であってほしい。
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