第3回経済財政諮問会議 議事要旨 内閣府HPより |
2%物価目標達成へ、「政府は政府、日銀は日銀としてやっていく」と言わざるを得なかった白川・日銀の孤立が浮き彫りに。鳴り物入りで復活した24日の第3回経済財政諮問会議で金融政策の集中審議がされたが、安倍首相の所信表明では「政府と日銀が緊密な連携で」のはずが、日銀へ丸投げする安倍政権の姿をさらけ出す結果になった。
第3回経済財政諮問会議の議事要旨が公開されたので内閣府のHPを開いてみた。50分という短い時間に官僚や出席委員が作成した資料を基に議論されたようだ。
甘利委員が「金融政策、物価などに関する集中審議」を行うと宣言し白川総裁に説明を依頼した。
白川総裁は、資料に基づいて、経済、物価の見通しと金融政策について説明した。その中で、上場企業における実質無借金企業は4割を超え、非上場企業を含めると現預金保有額は215兆円を超えていることを説明し、この緩和的な金融環境が活用され、企業がもっともっとお金を使う状況になれば日本経済はもっと成長すると発言した。
この発言に、茂木委員が、成長戦略できちんとした目標がなかったり、企業マインドが研究開発や設備投資に向かないから、こういう状況になっていると思うが、「民間に資金がある、新たな成長戦略を取るから金融緩和をやらなくても良い」と言っているのではないと思うが、ミスリードにならないようにと釘を刺した。
これに対して白川委員は、成長力強化の取り組みがないと金融緩和をやらないというわけではない。政府は政府として、日銀は日銀として強力な金融緩和をやっていきたいと全く齟齬はないことを主張した。
安倍政権と日銀の緊密な連携に疑問符が突く状況ではないか。
最後の安倍総理の総括でも、日銀に任せているが大胆な金融緩和を期待する。デフレファイターとして目標を達成してほしい。次回に目標達成に向けた道筋をしっかり描いてほしいと言うばかりだ。
安倍総理に2%物価目標への責任など感じられない。日銀にやれやれと言っているだけだ。
政府の中でも麻生委員は冷静に見ている。
企業が給料を上げたり、人員を増やせばインセンテイブを出すと我々は言うが、民間が乗るか、乗らないかが問題だ。バランスシート上も債務超過は消えたが、企業は設備投資をしない。労働分配率も増やさない状況が続いている。
さあ、これをどうするか。ここのところが問題で、最後の経済成長路線に乗る企業が出てきて、内部留保を取り崩したり、借入金を増やして設備投資をしない限り、日銀が資金供給量を増やしても、そこから先にカネが出ない。如何にその気にさせるか、その気になるかが重要なのだ。
麻生委員の発言は、この会議では日銀寄りの発言であるが、一番的を得ていると思う。
さらに麻生委員は言う。この1ヶ月、何もしていないのに株は2割あがったり、円が1割安くなったりしているが、何をしたかと言えば、何もしていない、国会も開いていないのに気分は変わるのだという。
民間からの高橋委員が同調し、このことを次回にストレートに取り上げて議論したらどうかと提案した。
高橋委員は他にも良い提案をしている。
企業の余剰資金を如何に投資に振り向けさせるか。如何にしたら賃金、雇用を伸ばすことが出来るか。若者や女性を含む人材の育成が出来るか議論していかなければならないと言う。
そして、肝心なことであるがデフレを正面から取り上げて議論したらどうかとも提案している。
私も賛成だ。我が国だけどうしてデフレから脱出出来ないのか。デフレの要因は何なのか。
円高は通貨流通量で議論すれば良いのか。日銀の政策を批判するエコノミストは、リーマンショック後、欧米の中央銀行は通貨を2~3倍に増やしたが、日銀は1.2倍で少なすぎると言えば、日銀はマネタリーベースで残高は120兆円、対GDP比27%で先進国一高い率で、供給量は十分であると反論する。
統一見解もなく、それぞれが別個理由で行動しているようでは、デフレ脱却、円高対策など期待できない。
兎に角、安倍総理の日銀丸投げ姿勢は、「強い経済を取り戻す」公約に反するのではないか。
これから開かれるであろう国会審議で徹底的に討論すべきである。平行線で終わる議論などやっても意味はない。
中央銀行バランスシート 週刊エコノミスト2012.2.28 |
講演 チャレンジングな経済環境 下でのわが国の金融政策 2013.1.12 日銀HPより |
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