2013年1月29日火曜日

デフレ脱却、円高対策:果てしなく続く金融政策論争


デフレ脱却、円高に向け「一段の」、「大胆な」、「従来と次元を異にする」など冠は違うが金融緩和論争が果てしなく続く状況にある。ここに来て2%物価目標も加わり、日銀と政府の責任の擦り合いも目立ってきた。安倍総理の28日の所信表明演説でも「日本銀行において2%の物価安定目標を出来るだけ早期に実現する」ことを言い忘れなかった。

今後、政府と日銀の一層の緊密な連携とは言いながら、その責任を日銀に押しつけている感じだ。

中央銀行のバランスシート
リーマンショック後の通貨
供給量が日銀は他国に
較べて少ない
週間エコノミスト2012.2.28
特に円高要因として、08年秋のリーマン・ショック直後からの通貨供給量の違いを挙げる政治家、エコノミストが多い。

米国・FRBは2.8倍、欧州中央銀行は2.1倍、イングランド銀行は3.5倍に増量したが、日銀は1.2倍で明らかに少なすぎる。通貨の高い、安いは通貨の流通量によって決まり、これでは明らかに円高だというのだ。

ところが、日銀はマネタリーベースを国によって経済規模が異なるので対GDP比で比較した結果、先進国一高水準にあり、決して通貨の流通量不足ではないと反論する。

それによると、日本は対GDP比で26%、米国は17%、ユーロは18%で、リーマンショック後、大量に資金を供給しているという。

経済指標の取り方によって、どうしてこのように真っ逆さまの結論になるのか。

包括的金融緩和政策は効果
があった。対GDP比較でも
2012年日本は26%、
米国は17%である
講演チャレンジングな経済
環境下でのわが国の金融政策
2013.1.12
日銀HPより
昨年の国会審議を聞いていたが、質問者である国会議員の「通貨供給量が少なすぎるのではないか」との質問に、参考人の日銀・白川総裁は「対GDP比で見ると先進国一高水準である」と反論した。

結局は、いつも平行線で議論がかみ合っていなかった。

それが今も続き、デフレ脱却、円高対策が遅遅として進んでいない。

リーマンショック時、通貨流通量を90~100兆円とすると、その2倍の200兆円まで増やすとすると、後80兆円ほど必要だ。

それで解決するのか、それとも危惧している好ましくないインフレを招くのか。


28日に国会も開会した。当然に、経済再生の重要課題として、デフレ脱却、円高対策が審議のテーマになるだろう。

今度こそ、平行線ではなく、お互いに納得出来る結論を導き、一致団結して経済再生に当たるべきではないか。

先の衆院選では、「経済の専門家である」ことを訴えて当選した議員もいる。そういった議員が集まって日銀と議論し、知恵を出すべきではないのか。兎に角、突っ込み不足で曖昧なまま政策を実行することだけは止めてほしいと思うのだが。

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