2013年1月5日土曜日

経済再生「三本の矢」:何故、「アベノミクス」とはやし立てるのか

東証 市場は期待感だけで突っ走る

安倍総理の経済再生「三本の矢」の口先政策をメデイアは「アベノミクス」と囃し立て、市場が反応し円安・ドル高、株高の基調が続く。安倍総理は伊勢神宮参拝での記者会見でも「経済再生」を強く印象づけた。

4日の円相場は88円台の円安、さらなる金融緩和を想定しての動きだろうが、米国での「財政の崖」問題がギクシャクしたあげく一応の回避が決まったことを好感してのドル買いがあったのだろう。

でも、内需を拡大し日本経済がやっていける水準は95~105円と言われているから3年以上前の水準だ。民主党政権時、菅さんが財務大臣だったときに理想の為替水準を聞かれて90円台半ばと答えていたのを思い出す。

長期金利も上昇している。

株価もご祝儀とはいえ、300円も高い10700円に迫ったが、米国での株高を受けての動きではないか。

安倍総理が唱える「経済再生 三本の矢」は本当に大丈夫か。

一本目は大胆な金融緩和を日銀に要求している。日銀には物価目標2%の設定を強要し、受け入れられなければ日銀法改正、総裁人事での報復をにおわせる高姿勢だ。

しかし、今は市場にはカネがダブついているのではなかったのか。43兆円ものカネが日銀に預けられたままになっているらしい。財界人も今問題なのはカネではなく、投資意欲の湧く成長分野が見いだせないことだという。

物価目標2%だって今はゼロ%近辺だ(ゼロ%近辺で良くコントロールされていると揶揄されている)。2%がどの程度実現可能なのか。物価は上がったが、給料は直ぐには上がらないことも考えられる。今までも大企業は労働者を犠牲にしてでも、260兆円もの内部留保をしている。

政府は法律でベースアップを強制するのか。それも働いている人には良いが、年金生活者などにはどうしようとしているのか。

二本目の矢は、機動的な財政政策で規制緩和や財政出動なのだろう。取り敢えず2012年度補正予算で即効性にある公共事業を掲げるらしい。野党からは自民党らしい無駄な公共投資と批判されそうだし、民主党政権で取り組んできた財政規律の問題をどうするのか。「赤字国債44兆円以下」の縛りを考えないとも言う。

三本目の矢は、民間投資を喚起する「成長戦略」だという。自民党の公約に「成長による冨の創出」がある。

そのために今まで休業していた経済財政諮問会議を復活し、日本経済再生本部を立ち上げるというのだ。又、御用学者を変えて組織化がされるのか。

ところで、民主党政権とどう違うのか。民主党政権で出来なかったことが、何故安倍政権で出来るのか。

日銀への更なる金融緩和を前原さんも要求し、自ら決定会合に参加していたではないか。その時日銀は「様子見」とか、10兆円という小出しの資産買い入れ枠の増加を発表していた。

安倍総理が日銀法改正、総裁人事で攻勢に出てきたので組織を守るためにも日銀は降伏の姿勢なのか。だとすると日銀の独立性などあり得ない。今月の決定会合で日銀がどう出るかが真価を問われている。

成長戦略だって政権が変わっても官僚が作成しているのだから基本は変わらない。変わるのは利権がらみの成長分野だろう。

規制緩和だって進んでいるとは聞かない。利権争いは中央官庁を巻き込んでの抗争になる。官僚は直ぐには手放さないだろう。

結局、安倍政権がアベノミクスと囃し立てられるのは、民主党の不安定政権に変わって強力で安定な政権と思われていることと、財務省主導の緊縮財政から成長戦略に舵切りしたことが好感を持たれているのではないか。

「これからどうなるか」は不安因子も多いが期待の方が大きいのだ。

その期待が、7月の参院選までに実体経済でどう出てくるか。国民や市場は白状であることを忘れてはいけない。

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