STAP細胞の原点ともいえる小保方さんの早稲田大学の博士論文も「取消には該当せず」といえども、厳しい判断が下された。素人には「それでも取り消しなしか」と疑問が高じる。早稲田大の総長も「委員会の報告を十分に尊重しながら大学として対応を決めていく」とコメントしたが、早稲田大も大きく信用を失墜させる結果になった。
理研も、早稲田大も相当厳しい対応をしなければ、この小保方論文不正事件で失った信用は回復できない。
早稲田は総長選にも影響しそうだという記事を見たことがあるが、「教育の在り方」が争点になる総長選になるのか。小保方さんの博士論文を取り消さなければ致命傷になる事態も考えられる。
理研のSTAP細胞論文不正が報じられた時、「どうしてこんなことが起きるのか」と不審に思ったものだが、今回の早稲田大の調査委員会の調査結果で納得がいった。
小保方さん自身が研究者としての資質を欠いていたのだ。
報道によると、調査委員会は小保方さんについて「データ管理のずさんさ、注意力の不足、論文作製への真剣味の欠如」を指摘している。
盗用、実験ノートのお粗末さ、間違っていれば訂正することで問題ないとする考え、博士論文でも草稿版を提出してしまった軽率さは早稲田でも理研でも共通して言えることだ。
調査では、11か所の著作権侵害、15か所の形式上の不備を挙げて、「多数の問題個所、信ぴょう性、妥当性が著しく低い」と言い、審査体制に重大な欠陥がなければ学位を授与されることには到底至らなかった」という。
それでも「学位取消には該当せず」と言うのはチョットおかしくないか。まともに審査していればNOなのだが、授与されてしまった。
朝日新聞(2014.7.18)によると、審査したのは常田、武岡、大和、バカンテイの4人だという。理研のSTAP細胞不正事件でも名前が挙がっていた人もいる。
仲間内の審査ではないか。だから、審査した教授たちの責任も重大だという。常田教授は朝日新聞の取材に「責任問題が今後審議されるので、今はコメントできない」と言った(朝日新聞2014.7.18)。
博士論文は、指導教官が提出しろと言うと必ず通ることは分かっている。その程度の論文だろうが、今回の小保方さんの論文は理研のSTAP細胞論文として華やかな発表となったために逆に注目された。
理研も早稲田も小保方さんと言う若き研究者の作為で完全に信用をなくしてしまった。「早稲田の博士号はこの程度か」、「理研の論文もこの程度か」と世界中の研究者が見ているとすると、他の真面目な研究者には気の毒でならない。
総合科学技術イノベーション会議でも、研究開発法人の評価項目に不正防止策の強化、管理責任の明確化、厳正な対応が評価指針に加わるという。
明らかに小保方STAP細胞不正事件の反省に立っているが、これからしても特定法人への指定では理研は失格である。改革も野依理事長では無理だろう。力があれば既にやっているはずだ。
組織の前向きな解体、野依理事長はじめトップの更迭が理研には要求される。
一方、早稲田大は、調査委員会が「取消に該当せず」と言ったが、誰が考えてもおかしい判断だ。早稲田の体面を考えてのことだろうが、早稲田は自ら「論文取り下げ」、論文審査員の降格など厳しい処分で失地回復を図るべきではないか。
小保方さんもこれだけのことが言われているのだ。研究者としての生命はないのではないか。潔く身を引くべきだと思うのだが。
理研も文科省も、万一STAP細胞が存在した場合の巨大な利権の事を考えて、優柔不断な対応をしているのだろうが、ここは信用回復に力点を置くべきではないか。
STAP細胞の存在を証明して失地回復するか、STAP細胞は一旦諦めて信用回復に努めるか。理研も早稲田も難しい選択だが、一日も早く信用回復に努めるのが筋ではないか。
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