少子化対策が最優先の成長戦略課題になってきた。若者に増える非正規労働者を正規労働者へ、年収168万円から結婚、子育てが可能になる300万円へ政府、企業がどう対応していくか。人口爆発で成長の限界が言われ、出生率抑制政策がとられていたが、ここに来て人口減でいろんな社会システムの維持が困難になってくることが分かり少子化対策が喫緊の課題になった。
出生率抑制はうまく行ったのだが、今度は止まらないのだ。政策上のコントロールを考えていなかった。
このまま放っておくと4600万人に激減し社会システムの維持が困難になるので、取り敢えず1億人維持に焦点を絞った。900に近い自治体がやっていけなくなると言う。出産、子育て人口の若い女性が減ることが要因らしい。地方都市ばかりでなく、東京も区によっては、ご多分に漏れないという。
政府は少子化対策で、子ども手当、待機児童のゼロを目指した施設の拡充、保育士の待遇改善、若い母親支援政策などを掲げているが、若い女性が満足する内容に至っていない。
少子化対策で一番重要なのは、若者が結婚し子育てできる雇用、年収改善が必要なのだ。政治のウェートも大きいが、企業に意識改革が出来なければ少子化対策に有効な手立ては出来ない。
景気は回復しているという。有効求人倍数は22年ぶりに1.09倍、完全失業率は3.5%でこれも16年ぶりに低い数字だという。
しかし、問題は「雇用の質」だ。米国の雇用者が28万人増加し、失業率も6.1%までになり米国経済の好調をメデイアが伝えていたが、同時に非正規労働者の割合が増加していることも懸念していた。
国際協力銀行の渡辺総裁も米国の雇用の質が悪くなっていることを指摘していたが、日本についても失業率は改善しているが不安定な就業がまだ多いという(読売新聞2014.7.12)。
国際協力銀行の渡辺総裁も米国の雇用の質が悪くなっていることを指摘していたが、日本についても失業率は改善しているが不安定な就業がまだ多いという(読売新聞2014.7.12)。
非正規労働者の割合が36%、仕方なく非正規になっている割合は20%で、25~34歳では30%になると言う。同一労働同一賃金が叫ばれているが国税庁の調査では、正規労働者の年収は467万円であるが非正規労働者の年収は168万円(男性は225万円)だという。
非正規労働者の未婚率は2004年の45.5%から75.6%に上昇している。若い男性が結婚したくても結婚できない社会状況なのだ。
いろんな調査があるだろうが、結婚、子育てには年収300万円が一つのラインになっている。雇用を安定させ非正規労働から正規労働へ、年収も168万円から300万円へ。
将来、優秀な労働力の再生産をしなければ国内経済は破綻してしまう。その付けは企業に跳ね返ってくるのだ。
今、安倍政権は法人税下げなど企業優遇策を先行させ、規制緩和で海外の企業を国内に誘致しようとしている。岩盤規制へ風穴を開ける「ドリルの刃」となると言ってみたり、「アベノミクスで悪魔を倒す」と海外で威勢の良いことを言っているが、海外企業が来ないのは法人税の問題ではなく、日本市場に需要がないと言う理由だったと思う。
製造業は人件費、海外市場対応で生産は海外に移転してしまった。それに関連する下請けも海外へ出て行った。トヨタの社長は「トヨタは日本企業だから国内生産を維持する」と殊勝な事を記者会見で言っていたが、本社機構、社長も海外へ移住する企業も出ているのだ。
「企業の儲けは誰のものか」という事になる。
今問題になっているのは、「人余り」から「人手不足」だ。当然所得にも変化が起こるだろう。日銀のさくらレポートでも、建設業は人手不足、資材高騰に直面、自動車も期間工、パートが集まりにくくなってきたというし、サービス業などでは非正規労働から正規労働へ切り替えている。
「雇用のミスマッチ」もあるので職業訓練の必要性も言われている。経済学では衰退する業種から成長する業種へ労働力はスムーズに移行すると教えられたものだが、年配労働者も含め、そんなにうまくは行かない。
少子化にいろんな手が打たれているが、要は若者(特に男性)が安心して(?)結婚出来る雇用(非正規から正規)、所得の確保(300万円)にかかっているのではないか。
政府の政策もさることながら、企業経営者の意識改革が必要だ。
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