2014年7月27日日曜日

日本経済の力?:為替レート101円は円安か、株価15,000円は株高か

日本経済の力をどう判断するのか。為替レート101円は円安なのか、株価15,000円は株高なのか。欧米で政情不安があると安全資産として買われ円高になる。民主党政権時は70~80円台を付け、日本経済にとって理想の為替は110円と言われていた。

株価も円高と連動して、7000円台で推移したが、第2次安倍政権の円安誘導で10,000円を超え、今15,000円台になった。一時は一気に18,000円を超え20,000円を予想するエコノミストも現れたが、今はどう考えているか。

為替は101円台、株価も15,000円台を右往左往する今、アベノミクスの評価も停滞気味で安倍総理は株価のつり上げに年金基金の積立金を使おうとしているし、日銀は株価の支えにETFの買いに入って安倍政権を援護しているようだ。

経済学では為替レートで円高は、日本の経済の強さを反映するものと教えられたはずだが、長いデフレ経済から脱出出来ず、自民党、民主党政権を通じて解散・総選挙、政権交代、そして東北地方太平洋沖の巨大地震・津波災害と東京電力・福島第1原発のメルトダウンによる修復できない原発事故は政治経済に大きなマイナス効果を与えたが円高が続いた。

政権交代直前から言われていたのが、マネタリーベースの問題だ。欧米の中央銀行はリーマン・ショック後、急激に市場にカネを流したが、日銀は従来からの緩慢な増加を繰り返した。

その結果、市場での円の通貨量が少ないから当然円高になると言うのだ。円安にするには通貨量を思い切って増やすことだと自民党は民主党政権を攻撃した。民主党政権だって日銀に通貨量の増加を訴えたが当時の白川総裁はウンと言わなかった。

そこで政権交代した安倍総理は、日銀法の改正をちらつかせ白川総裁の更迭に出た。黒田新総裁によるインフレターゲットの設定、異次元の金融緩和策で円安に動き輸出産業を中心に産業界は潤った。

円安は、また株高に通じた。海外ファンドが儲け時と買いに走り、10,000円を超え、15000円台に。

一気の円安、株高に動くと思っていたが、101円台、15,000円台で市場は足踏み状態だ。
白川さんもそうだったが、黒田総裁も日銀の金融政策には限界があり、政府の成長戦略が重要になってくると主張し続けたが、第3の矢は不評で見直し成長戦略が出された。

成長分野への効率的、集中的投資、法人税下げ、公共投資、地方再生などで100兆円の予算規模になるとも言われている。景気の好調で税収増も期待出来るが赤字国債頼りの財政運営だ。

一方で政府は財政再建も日本再生の車の両輪と言って2020年を目途にプライマリー・バランスの黒字化を謳っているが不可能だ。

国民の負担増となった消費税増税を財政再建の一方策だと国際社会でも訴え、1000兆円で対GDP比200%の借金へのIMF, G20の改善要望に応える姿勢を見せた。

日本経済は長いデフレでGDPも今、480兆円だ。うまく行っていれば今は1000兆円にもなり対GDP比では100%? そうなれば海外から何も言われることはないはずなのだが、そううまくは行かない。

需給ギャップも縮まりプラスに変わり、脱デフレも目前に迫っている。

日銀の量的・質的金融緩和も今の経済状況では、年間60~70兆円のマネタリ-ベースの増加を継続するという。政策決定会合が近づくとメデイアは市場の追加緩和期待を報じるが今は、弱まっているのか。

これからの理想は、成長戦略で企業が活発になり賃上げも出来、持続的な物価上昇(2%?)に移ることだが、これがなかなか難しいとの見方がある。

2%を下回れば、実質賃金は低下、個人消費も伸びず、日本経済は停滞局面になる。欧米も2%物価目標を設定しているので日本が2%を達成出来なければ円高の可能性も出てくる。

日銀が継続している量的緩和策も問題だ。FRBは今秋にも量的金融緩和を終了する。しばらく置いて金利の引き上げをするんではないかと見られている。

一方、日銀は何時「出口」戦略に出るのか。出口戦略に出れば金利も0.6%から上昇するだろう。

どう見ても日本経済は厳しい。本来ならもっと円安に動くはずだ。

それでも円高気味なのはどうしてか。その基底には日本は債権国、アメリカは債務国があるのだろうが、アメリカは自国製品を売るためにドル安政策をとっている。

貿易、投資で為替は変動するが、市場は生き物だ。考えているようには動かない。海外ファンドが儲け口をどこに見いだすか。


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