科学の扉 朝日新聞 2014.7.21 |
M8.34,津波高さ17mの過去最大級の延宝房総沖地震が再来襲すると房総半島では10m以上の海岸隆起が見られる。そんな危険が東北学院大、東北大の研究チームの研究から推測される。
それによると、最近の房総半島の地質調査で鴨川市から茂原市の海岸にかけて高さ10~18mの隆起段丘が見つかり、今まで4~6mの隆起を繰り返していた元禄地震や関東大震災では説明が付かないという(科学の扉 関東で起きる地震 朝日新聞2014.7.21)。
古文書や池の堆積物調査から1677年の延宝房総沖地震による海岸隆起ではないかと見られたのだ(同上)。
中央防災会議も2013年12月初めて想定に盛り込んだ。震源断層は日本海溝と伊豆・小笠原海溝を跨ぐ幅100~200km、長さ600kmで、あの東北地方太平洋沖地震にも匹敵する広域で、発生確率は30年で7%と言う。
南房総館山市の根来、西川名付近は、7200年前、5000年前、3000年前、1703年の元禄地震、1923年の関東大震災で海岸線が隆起した海岸段丘が見えることで有名だ。
1677年の延宝房総沖地震による10~18mの海岸段丘が鴨川市~茂原市にかけて見えるのではないかと言うことで28日に外房に行ってきた。
海岸線を行けばよいのだと思い、灯台の立っている岬、漁港を回ってみたがうまく行かない。
大東崎灯台から太平洋を見下ろす この下の海岸線に行きたかったが不可能 |
最初、太東崎灯台に行ってみた。灯台は58mの山頂にあったが、その海岸線に行こうとしたが、NPO法人の人に「危険で無理だ」と言われた。「ここは元禄地震で沈降した。海岸線に出れば色が変わって見えるが船でしか行けない」というのだ。
NPO法人でボランティアしている人が「ここで捕れるタコは伊勢エビを食っているから非常にうまい。我々だって正月しか食えない。市場には出ないので地元でしか食えない」と教えてくれた。NPO法人「太東崎灯台クラブ」の活動資金でもなればと思って「たこカレー」を土産に買った。
大原漁港で |
大原漁港によってみた。「元禄地震再来想定津波高」の標識が設置されて、「緊急時避難誘導路 高台」と表示され矢印が書いてある。道路面から1.5m位の高さだ。
漁港を回って海の方に出るとどうしてこんな地形になるのか分からないが、海岸線が隆起したようにも見える。
勝浦に入り、勝浦市役所によって総務課の防災担当に「1677年の延宝房総沖地震で10~18mの海岸段丘が出来たと言うが、どこに行けば見えるのか」と聞いてみたが、「館山市の方では海岸段丘が見えるが・・・」と分からない様子だった。
気がついたのだが、勝浦市役所は新しく、小高い高台の上に立っているように見え、市の施設も付近に整備されていた。津波対策の一環なのだろうか。
埒があかないので諦めて館山市に向かった。
館山市西川名で 1923年の関東大震災でできた海岸段丘に立つ |
野島崎灯台付近、根本、西川名は今まで1923年の関東大震災、1703年の元禄地震など5回の巨大地震で隆起した段丘が確認出来る海岸線だ。新聞やネットで見ることが出来る。房総半島とともに三浦半島も隆起断層が見えることで有名だ。
この延宝房総沖地震について、1677年に地震動の小さい特異な津波地震が発生し、この再発に注意を喚起している(大地動乱の時代 石橋 岩波新書 2003.12)。
房総半島を中心に東北から愛知県までの太平洋岸で津波による災害報告が多いが、地殻変動を伴う大きな地震で、もう300年以上発生していない。
しかも想定される震源域は、2011年の東北地方太平洋沖地震で割れ残ったとみられる場所で何時割れるか危険視されている場所だ。
もし発生となると首都圏にも近く、その規模、津波高さなどから考えて、その被害は想像を絶するものとなろう。
30年以内の発生確率7%をどう考えるか。
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